「四丁目の家」-8-根切と根切り

 先月末から、掘方が始まりました。

 今年の梅雨入りは特別早く、やや気にはなります。

 現場では根切が始まりました。

 この写真はクライアンより。携帯で送ってくれたのです。

 距離が離れているので、写真を見ると安心できます。

 監督にも催促しようと思っていると、届きました。まさに以心伝心。

 根切が終わり、砕石を敷いているところ。

 「根切り」でなく「根切」。

 建築用語は、送り仮名を出来るだけ省く風習があります。

 読み違いなどを無くす、知恵だったと思いまが、他にも色々な専門用語があります。

 これが代用のきかない言葉なら当たり前なのですが、そうでもないのです。

 また敷地が「バチッている」といえば『直角がでていない』ことを指します。漢字の八から来ているのです。

 また「矩手(かねて)」もしくは「矩の手(かねのて)」という言葉も良く使います。直角を意味し「矩が出ていない」というと『直角が出ていない』を意味します。

 25歳で独立した私は、現場経験が少なかったこともあり、何故「直角と言わないんだろう」とか「斜めになっているでいいんじゃないか」とか思っていました。

 しかし、今その意味が分かる気がします。

 世間では「直角」という言葉に変わって行っても、建築現場でそれが変わらなかった。それだけ重要だったからだと思います。

 直角が出ていない根切など、何の意味も持ちません。目指していなければ別ですが。  

 瞬くまに15年が過ぎました。若者に「みつけ」と言うのは……などと教えているのです。
 
文責:守谷 昌紀

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