タグ別アーカイブ: ゲンバ日記

「千葉の家」-3-いかに伝えるか

地鎮祭の後、基礎工事が始まっています。

基礎工事が終わると次は建て方。柱、梁などを組み上げて行きます。

それに伴い、決めていくべき事が沢山でてきます。

躯体が出来上がったあとは、屋根、サッシ、外壁工事が始まるのです。

立面図に色付けし、仕様を書き込んだものをクライアントへ送付しました。

模型、スケッチとそれぞれの役割があるのです。

意外かもしれませんが、サッシは外壁工事より前に取りつけます。

よって、比較的早い段階で全てを決定する必要があるのです。

いかにイメージを共有できるか。この言葉に尽きるのです。

文責:守谷 昌紀

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「千葉の家」-2-関東と関西で違う地鎮祭

先週の土曜日、地鎮祭が執り行われました。

残念ながら、私はスケジュールが合わず……全て施工会社の方へお願いすることになりました。あの掛け声をかけられず残念です。

何とか雨が降る前につつがなく終了したと連絡があったのです。

この4年程のあいだに、関東圏の仕事は3件目になりました。色々な国、地域で仕事がしたいと思っているので、とても嬉しいことです。

地鎮祭は関東と関西で違いがあります。

設計者の鎌入れ→クライアントとが砂山を堀り→施工者が鎮め物を埋める、という流れは同じですが、クライントの持つ道具が逆なのです。

大阪のクライアントがもつのは鋤(すき)。大きなスコップのような形状のものです。

ですが、「千葉の家」のクライアントが持つのは鍬(くわ)。このあたりの地域差は大変興味深いところです。

大阪からは距離にすると560km。移動には片道4時間半ほど掛かります。しかし、それを上回る刺激があるものです。

確認申請が下り次第の着工で、竣工は9月末の予定。暑い夏になりそうです。

文責:守谷 昌紀

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「千葉の家」-1-プロローグ

 2012年の8月下旬。千葉から電話を貰った。

 webサイトで当事務所を見かけて、とのこと。

 転勤により、様々な地域、国で暮らした結果、この地に家を建てたいという結論に至る。次は、どうすれば自分達の思い描いた家が建てられるかを模索することになった。

 そんな中、大阪の当事務所にも、2度足を運んでくれた。うち1回は車での来所。

 その帰りに、車のトラブルが起こった。原因は整備工場のケアレスミスだったが、幸いにも大事故には至らなかった。しかし、夕方に大阪をでて、家に着いたのは翌朝だった。

 「そんなこともあったねと、いつか笑い話になれば」と言えば歌詞のようだが、計画はゆっくり前進し、ようやく着工へとこぎつけた。

「リヴァプールは夢、柏は生活」とはクライアントの言葉。

 リヴァプールとは、イングランド・プレミアムリーグの名門チームを指し、柏は柏レイソルを指す。熱烈なサッカーファンなのだ。

 初めて敷地を見に行った際、多くの人が黄色いユニフォームを着てスタジムに向かう姿を見る。体感として、地域密着という言葉を理解できたのである。

 スティーブン・ジェラートらが所属するその名門チームのホームスタジアムがanfield。

 何度かこの地を訪れたクライアントは、今度建てる家はあんな外観にしたいと考えた。よって外観はそれらをモチーフにしている。街を愛する人が増えれば、その街は良くなる。その一助となるような家になればと思う。

 内部や、奥さんのこだわりにはまた追々。

文責:守谷 昌紀

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「Shabby House」-30-ロケハン

5月17日(木)は1週間振りの「Shabby House」へ。

 重なる時は重なるものです。

 この日は雷雨の予報で、チンチン電車と地下鉄を乗り継いで。

 早めにお子さんを迎えに行き、ご主人が待ってくれていました。

 娘さんもあっと言う間に大きくなりました。

 現在のお気に入りは、テントの家のようです。

 先月の中頃、情報番組のディレクターから、この家を見せて貰いたいと連絡がありました。

 私は居ても居なくても良いという事でしたが、もし説明が必要ならと伺ったのです。

 来訪したディレクターは本日中に東京に戻りたいとのことで、早速夫妻が案内してくれました。

 この家が出来るまでのストーリーを、土地探し、「サロンのある家」のクライアントを介して私達の出会い、設計のコンセプト、物選びのこだわりまで、的確に説明してくれました。

 もう完璧でした。

 私が補足するようなことは一切無し。

 改めて、この家への愛情を感じました。

 ディレクターも、玄関ドア、酒部屋にはかなり興味を示し「是非取材させて頂く方向で」と新大阪へ向かったのです。

 その後、ビールを用意して頂き……

 こだわりのベルギービールが適度に冷えていました。

 オリーブの実、スモークチーズで乾杯。

 アンチョビで味付けされたオリーブオイルに野菜スティックを付けて。

 何が入っていたのか、最も重要な素材を忘れてしまったのですが。

 家のその後、子供のこと等話題はどんどん展開して行きます。

 クライアントとの四方山話は、最も楽しい時間です。

 「できれば、今後はご友人として」と言って貰ったのですが、説明をし、それは辞めておきますとお返事しました。

 私にとって、友人という関係より、設計者とクライントという関係の方が大切なのです。

 心地よい緊張感のなか、プロとしての技量が問われ、それに何とか応えられた後に出来る清々しい関係が、最も好きなのです。 

 何より真剣勝負の場が好きというのが、偽らざる本音。夫妻には良く理解して貰えたと思っています。

 何と言っても楽しい時間で、帰りは終電。ちょっと長居しすぎましたが。

文責:守谷 昌紀

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「Shabby House」-29-1年3ヶ月点検

5月9日(水)は朝からの雨。

工事中は自転車で通っていましたがこの日は断念。

正面のブンデンストウヒはヨーロッパでクリスマスツリーに使われる樹種。

よって常緑樹ですが、新芽が出ていました。

この日は奥さんとは会えなかったのですが、キッチンカウンターにはポンセチア。

赤い部分はハナミズキと同じように、花弁ではありません。

手摺はスチール製で、マグネットの尺取虫が付いていました。

ここに来ればこの部屋はのぞいて帰ります。

酒部屋の雪見障子は下端が少し擦れているようで、要調整です。

躙り口からの良い写真が無かったので、再度撮影させて貰いました。

点検は主に建具の調整、壁隅の隙間埋めなど。

半日くらいで何とかなりそうです。

家の大きな役割に、街の景色をに担うというものがあります。

以前「小学生が可愛い家やね」と言っているのが聞こえたと教えてくれました。

そんなことが、とても励みになるものです。

様々な種の草木は更に、道行く人の目を楽しませてくれるのではないかと思います。

クリスマスには文字通りのクリスマスツリーをライトアップしていたそうですが、この辺りはそのような習慣はないそうです。

ちょっと浮いていたとか。それもクリスマスくらいは許されるはず。

今年はその写真を撮りに来たいと思っています。

こちらのお家、また来週くる予定です。

文責:守谷 昌紀

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「Shabby House」-28-撮影とハイボール

今週の月曜日、「Shabby House」の写真撮影に行ってきました。

前日の昼からかなり降って来ましたが、何とか晴れ。

今回は、写真家に撮って貰うので、そのサポートが主な仕事です。

ここにUPするのは合間に撮ったディティール写真ですが、外観がないと何か様にならないので載せてみます。

玄関脇にはベンチが増えていましたた。

100年以上は経っている玄関ドアと濃淡で映えています。

このあたりのこだわりは、生半可なものではありません。

酒部屋の撮影は、夜になりました。

外光が入ってこないほうが良いとの判断からです。

この選択肢は私には全くないもの。出来上がりが楽しみです。

1階は主に来客用の部屋。

建具を引き出せば、間仕切れるようになっています。

一年で、最も日の長い時期です。

全ての撮影が終わったのは8時過ぎでした。

そのあと、夕食に誘って貰いました。

オーブンで焼かれるミートパイ。

さっきまで火に掛かっていたパエリア。

もう見ての通り。ビールまで頂き、幸せな時間でした。

ご主人の希望は、ほぼ酒部屋だけ。勿論お酒が大好きです。

この日は、角ビンでハイボールを作ってくれました。

「黄金比があるんですよ」の言葉通り、とても飲みやすく、最高に美味しかったのです。

正直に言って、ウィスキーを心から美味しいと思ったのは、初めてでした。

「ここは人をもてなすあばら家です」とはご主人の弁。

来客が増え、娘さんが初対面の人と打ち解けるのが早くなったと、教えてくれました。

今ここにある、普通の幸せ。

そんな言葉に、偽りのない仕事をしたいと思うのです。

文責:守谷 昌紀

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「Shabby House」-27-祝完成

昨日は「Shabby House」へ。

長く時間が掛かってしまいましたが、木々も植わり何とか完成を迎えました。

今回は、担当のスタッフとご招待頂いたのです。

ご主人が、お子さんのお迎えに出掛けた際、ご近所の方が「最後の梅」と下さってそうです。

確実に街や地域との関係が、築かれていくのを感じます。

計画の初期からあったテーマの一つが酒部屋。

ダイニング横のにじり口から入ります。

中には小縁があり、その上には半畳の畳が2枚。

壁は消し炭色、天井はよしずを海老茶に塗り仕上げました。

見返すと雪見障子。

茶室を意識して造られました。

何故か小宇宙のいう言葉が浮かんできます。

夕方の5時頃、日の高いうちからビールを頂きました。

チューリップ型のグラスにもデュベルの文字があります。

ベルギーでは最もおいしく飲めるよう、それぞれに専用のグラスがあるそうです。

デュベルはとても香り高く、フルーティーですがキリットしたビールで、大変美味しかったです。

その後、何種類ものベルギービール、ワインを頂きました。

次々に出てくる料理、冷えたビール。もう至福の時間です。

写真を撮らないとと思いながら、シャッターを押したのはこれ一枚だけ。

それも忘れてしまうくらいでした。

唯一撮った写真が鴨ロース。

滋賀県長浜にある一湖房のもので、高島屋でも買えるそうです。

お酒のツマミとしてはもう最高、としか言いようのないくらい美味しかったのです。

お子さんもお手伝いをしながら、最後まで付き合ってくれました。

気が付けば、すでに11時。バタバタと失礼したのです。

6時間が瞬く間に過ぎました。

ご夫妻とお会いするきっかけは「サロンのある家」のクライアントでした。

奥様が同じ時期に第一子を出産。病院でご友人になったのです。

その後家づくりのお話しになり、紹介頂きました。

すでに両家族は、お互いの家を行き来され「兄弟みたいな家やね」という話しになったそうです。

残すは竣工写真。とても楽しみにしています。

更に、担当スタッフが自身の家族を連れての見学会もお願いしているのです。

文責:守谷 昌紀

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「Shabby House」-26-着クリスマスツリー

昨日は、1ヶ月点検。

気温は低めですが、日差しは日増しに力強くなってきます。

2階LDKの南に、光庭があります。

そこにはダストシュートがあるのです。


1階に庭から見上げるとこんな感じ。

クライアントからの要望で実現出来たのですが、蓋にはやや苦労しました。

1階の出口は、こげ茶ので覆われています。

3階オーニングの端材を施工会社が上手く取り付けてくれました。

ゴミ箱もこげ茶で探してもらい、美しいダストシュートの完成です。

来客が、まず入ってみるのは、やはり酒部屋だそうです。

この3畳ほどの小さな部屋には、色々な工夫があります。

詳細はまたの機会に。

前回、古川庭樹園で購入したクリスマスツリー。

正確に言えばプンデンストウヒですが、植え付けもこの日に合わせ貰いました。

クライアントと慎重に位置を決めました。外構関係もようやく一段落。

次回は担当者と一緒に、夕刻伺うことになっています。

文責:守谷 昌紀

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「Shabby House」-25-クリスマスツリー

今週の月曜日、クライアントの奥さん、スタッフと河南町の古川庭樹園へ行ってきました。

この日は霞がかかっていましたが、PLの塔が良く見えます。

ここは眺めが良いので、皆喜んでくれるのです。

計画が始まり、かなり早い段階からクリスマスツリーを、と聞いていました。

クリスマスツリーと言えばモミの木をイメージします。

正確にいうと、ヨーロッパではプンデンストウヒやドイツトウヒを指すそうです。この日も専務が案内してくれました。

とても元気な人で、私も会うのを楽しみにしているのです。

しかし今回は予定があり、それらがあるエリアを教えて貰い、あとは自分達で探すことに。

1時間程かけて候補を3本に絞りました。

ナイロン紐でマークをつけて、見取り図をfaxします。

あとは見積りを待つだけ。

春を目の前にして、小さな花がポツポツと咲き始めていました。

その中に、まるで手がついたロボットみたいな種がありました。

花なのか葉っぱなのか。羽根を広げた天使に見えないこともありません。

どんな進化を遂げ、ここに至ったのか。

自然はいつも不思議です。

文責:守谷 昌紀

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「Shabby House」-24-ファサード

建築の正面側をファサードと呼びます。

住宅は個人のものですが、ファサードは街の景色を形作るもの。よって、半ば公的なものと考えています。

美しいファサードが街をより良くするはずだからです。

コンセプトはパリのアパルトメント。

その表情を持ち、まねごとにならないよう検討を重ねました。

住宅街にパリのアパルトメントが現れても……という考えもありますが、純粋にそれを追求するのは意味のあることだと思います。

ただし近隣に迷惑をかけないというのが、絶対条件。

判断は道行く人にゆだねます。

建築は勿論ファサードだけではありません。

新たにチェアも到着しました。

キッチンから見たダイニングを見返した時、クライアントの思い描いていた空間になっているのか。

この判断は本当の暮らしが始まってからになります。

文責:守谷 昌紀

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