タグ別アーカイブ: 2階のLDK

「ときめく紺色の家〈リノベーション〉」‐2‐人は忘れる

 リノベーションは解体撤去工事から始まります。

 重機では解体は出来ないので、全て職人による「手バラシ」。

 この日は5人掛かりで、2階の壁が一気に無くなりました。

 床に穴を開けて、1階にガラを落として行きます。

 この日はクライアントと現場打合せでしたが、25年住んだ家なので、感慨深いものもあると思います。

 などと思っていたら、2階のガラで1階があっという間に一杯になりました。

 もうもうと埃が舞う中。

 手作業で分別して、トラックに積んで行きます。

 楽な仕事などひとつもありませんが、本当に感謝の気持ちしか沸いてきません。

 屋根裏から、上棟式の際の御幣がでてきました。

 クライアントに「懐かしいですか?」と聞くと、「あんまり覚えてなくって……」と。

 25歳で自宅を建てられてので、感慨深いだろうと思い聞いてみたのですが、ちょっとずっこけました。

 DNAの中には、全人生の記憶が残されているそうです。

 映画等で、車ごと谷底へ落ちて行く際、走馬燈のように記憶が蘇るシーンがありますが、あれは本当なのだと教えて貰いました。

 もしそうなら、本気の危機感を持っていれば、テストでも100点が取れた訳ですが、自在に操るのは難しいようです、

 人は歯ぎしりするほどの悔しい事や、立ち直れないかもと思うような悲しみも、忘れられるから生きて行けると言えます。

 だからこそ、人は人の心に残りたいのだと思います。

 時々、名刺に載せている作品を見て「あっ、この建物知ってますよ」と言って貰うことが時があります。

 私自身が、誰かの心に残らなくても構いません。もし建築が残ってくれたとしたら、これ以上光栄なことはありません。

 いつもそんな物創りが出来ればと思っています。

文責:守谷 昌紀

■■■2月13日 『Best of Houzz』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【News】

■2月3日 『Houzzの特集記事』「阿倍野の長屋」が取り上げられました
■12月3日 『Houzzユーザーが選んだ人気写真:キッチン編』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が5位に選出
■9月30日発売『suumoリフォーム 実例&会社が見つかる本 関西版』「回遊できる家」掲載
■7月21日BS朝日『大改造!!劇的ビフォーアフター』「住之江の元長屋」再放送
■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました
■4月1日発売『デンタルクリニックデザイン事典vol.1』「さかたファミリー歯科クリニック」掲載
「トレジャーキッズたかどの保育園」
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「ときめく紺色の家〈リノベーション〉」‐1‐プロローグ

 大阪府郊外の住宅地。

 25歳の夫妻が、この地にいわゆる売り立て住宅を購入した。

 それから25年。

 子供達が社会人となったこともあり、これからのライフスタイルを考えたという。

 50歳という区切りに、人生の第2ステージにあった家とすることを決めたのだ。

 敷地は西側が道路で東西に長い。

 南の隣地が迫っていることもあり、主要な開口部はどうしても東西となる。

 1階にLDKと水廻りが集まる主要な生活空間だが、採光不足は否めない。

 2階には各個室があるのだが、やはり明るい。

 特に南東の隣地が平屋で、採光、通風、眺望のいずれもが期待できる。

 遠く東には二上山を望むのである。

 玄関を入ると、バイクが壁に吊り下げられている。

 私のクライアントは健康的な人ばかりだが、こちらの夫妻も非常に元気なおふたりだ。

 毎日バイクに乗る夫に、ジムに通う妻。

 打合せがある朝は、何故か私までジョギングにでてしまう。

 ときめく 笑顔でいられる 家にいる時間が大事 ファンキーetc

 キーワードは沢山でて来たが、外観を紺色とすることは、計画のスタートと同時に決まった。

 一番のポイントは、やはりLDKを2階へあげることに尽きるだろう。

 最も条件の良いところから、優先順位の高い空間を順に配置していった。

 天井も壁も取り払い1室大空間とすることで、ダイナミックな空間になると期待している。

 また、高い位置からの光を取り込めるよう、南側の窓はハイサイドとしている。

 1階には、入れ替わる形で各個室を配した。

 実は北東エリアの壁にカビがでており、これらの対策も万全を期している。

 若い頃はサーフィン、現在はバイクとマラソンと非常にアクティブな夫だが、音楽はレコードで聴きたいし、ゆっくりと読書するのが幸せな時間だという。

 反対に、街へ出掛けるのが大好きでおしゃれな妻と、非常にコントラストの効いた仲の良いご夫妻だ。

 この仕事をしていて思うのだが、本当に人の幸せは様々だ。まさに十人十色。

 そういえばこちらの夫妻は『住人十色』「回遊できる家」の回を観て、当社をメモしてくれたそうだ。

 番組のコピーには「家の数だけある 家族のカタチ」とある。

 家は未来の幸せの形

 これは私の変わらぬ信念でもある。

 2月末。解体から工事が始まる。

文責:守谷 昌紀

■■■2月13日 『Best of Houzz』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

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■2月3日 『Houzzの特集記事』「阿倍野の長屋」が取り上げられました
■12月3日 『Houzzユーザーが選んだ人気写真:キッチン編』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が5位に選出
■9月30日発売『suumoリフォーム 実例&会社が見つかる本 関西版』「回遊できる家」掲載
■7月21日BS朝日『大改造!!劇的ビフォーアフター』「住之江の元長屋」再放送
■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました
■4月1日発売『デンタルクリニックデザイン事典vol.1』「さかたファミリー歯科クリニック」掲載
「トレジャーキッズたかどの保育園」
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