働く人にとって、仕事場は人生で最も長い時間を過ごす場所だ。
クライアントは、そこを「最も心地よく、緑あふれる空間にしたい」と言った。
「山本司法書士事務所」から「(仮称)司法書士・土地家屋調査士 山本合同事務所」へと業務拡大にともない、オフィスの建て替えを考えるようになった。
敷地は京都の北部。
ウナギの寝床とまでは言わないまでも、敷地の間口は6m弱。南北は14mという細長い敷地だ。
旧オフィスは大正時代に建てられたという木造2階建てで、天井はかなり低かった。
それでも創業者の父が手をいれながら使ってきたその建物を、皆で大切にしていたのだ。
しかし、隣地との等価交換があったり、仕事の幅をより広げて行きたいという気持ちから、建て替えを決断したのだ。
新しいオフィスは鉄骨3階建て。
1階は全て駐車場で、2、3階がワークスペースとなる。
3階は応接室であり、休憩室でもある。
リビングのような空間をイメージしているが、吹抜けを介して2階ともつながる。
2階には天窓へ向かって伸びるシンボルツリーがある。
それを囲むオーバルカウンターには、葉の間を通り抜け、木漏れ日がおち、高低差のある開口部からは、穏やかに風が流れる。
働く時間の中で、「心地よい」や「幸せ」とは何かを考えた、ひとつの答えだ。
創り手は、常にクライアントの期待に応えなければならない。
文責:守谷 昌紀