「伊東内科クリニック」-9-建方

 6月13日の日曜日、近畿地方も梅雨入りしました。

 3日後の6月16日(水)が建方。

 心配していましたが、梅雨の合間を縫って晴れ間が広がりました。

 レッカー車を据え、工場で事前に加工が済んでいる木材を組み上げて行きます。

 以前は、現場でノミやカンナで刻んだものを、先に済ませるのでプレカットと言います。

 一抹の寂しさはありますが、後継者不足、コストダウン、精度などなどの理由を考えればやむ得ないのかもしれません。

 とは言え、やはり最終的には人の経験と技術です。

 レッカーで吊り上げた梁をゆっくりと下ろして行きます。

 中央にある柱を支点にして、掘り込まれた溝に、梁を押し入れます。

 支点がある場合、反対の人は持ち上げ、こじる感じです。

 そのあとは大きな木槌で叩き込みます。

 梁の上を歩く姿は、さながらスパイダーマン。

 思わず手を合わせたくなるのです。

 建方は大工さんを長とした、チームワークが全てです。

 都会の真ん中でレッカーを使うには、何重にもなった電線の間を通し、しかも左右に動かし、上げ下げします。神業と言えば大げさかもしれませんが、熟練の技には間違いありません。今回は複雑な構成なので、あと2日は掛かりそうです。

 現場日記を読んだ方から、どんな建物になるんだ?イメージを見せて欲しいと、コメントを貰いました。

 いつも勿体つけていたのですが、模型写真をUPしてみます。

 機能にあわせて直方体と曲面を組みあわせて建物を構成しました。

 曲面壁の部分に待合室があります。 

 待合の正面には受付。その後ろには光庭があります。待ち時間に、少しでも自然を……と考えたのです。
 
文責:守谷 昌紀

建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm