カテゴリー別アーカイブ: C45 「阿倍野の長屋〈リノベーション〉」

「阿倍野の長屋」‐2‐清き水の中で

 家を建てる動機はさまざまです。

 しかし、子供の成長に合わせて「思い切って建て替えようか」というケースが一番多いでしょうか。

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 この計画も、上の男の子が小学校に上がるまでに、という目標がありました。

 ただ、竣工は5月末となり、お兄ちゃんには2ヶ月間、苦労を書けることになってしまいました。

 下の男の子も、何度も一緒に来所してくれました。夜の打合せが多く、お弁当持参の回もあったのです。

 このおにぎりを見るだけで、幸せな家庭が想像できるのです。

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 現場は解体が終わりました。

 ここからは、大工の手による解体と、構造の付け替え工事へと進んで行きます。

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 築44年と聞いていましたが、奥の壁を見ていると、もう少し古いのかもしれません。

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 切妻屋根の場合、屋根裏はいつも宝の山。今回も当然狙って行きます。

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 リノベーションは調査が全てです。計画の最中、何度も現地へ足を運びました。

 夫妻が不在の時は、ご主人のお母さんが応対してくれます。

 いつもお茶菓子が置かれていたのですが、これは若奥さんが準備してくれたもの。

 ある時は栗の和菓子でした。毎回、趣向が凝らされているのです。

 お菓子が無くても、勿論全力で取り組みます。しかし、人の心を動かすのは、やはり人の心です。

 栗の和菓子から「期待してます」、熱いほうじ茶のポットから「寒い中お疲れ様です」というメッセージを感じ、より意気に燃えるのです。

 駆け引きや、疑いのない、清き水の中で仕事をさせて貰っていること。それこそが、私達にとっての誇りなのです。

 ただ、それには結果を出すのが必須条件となります。

 今回も簡単ではない計画です。熟練大工の到着が待ち遠しいところ。

文責:守谷 昌紀

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「阿倍野の長屋」‐1‐5段の距離がいいと思うんです

 2013年の3月。

 「大阪の住まい力アップ:第1回リフォーム・リノベーションコンクール」で「住之江の元長屋」が、最優秀賞を受賞した。

 イベントの一環で、オープンハウスを開催することになったのが、その年の9月。

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 結構な雨の中、夫妻は小さなお子さん2人を連れて現地に見えた。

 ご主人のお母様も一緒に来られ、その5名が「松虫の長屋」の住人である。

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 屋根上からハルカスが見えるこの地域は、古くからの住宅地で、密集している。

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 築44年、四軒長屋の中央二棟をリノベーションして住んでおられた。


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 光を求め、塔屋ができ、洗濯干し場が屋根上に出来る。非常に良く乾くはずだ。

 その洗濯干しは残しつつも、家の中を明るくしたいという相談だった。洗濯干し場は、いつも重要な課題なのだ。

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 北側道路を挟んだお向かいは、外壁が白で良い反射光を提供してくれる。

 これを活かさない手はないが、十分ではない。

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 大きく環境を変えようとするなら、屋根上部分から直接の光を取り込む必要がある。今回は2階に大きな光庭をとるプランを考えた。

 ご主人のお母様と同居になる奥さんが、その距離感を「5段くらいが丁度良いのでは」と言った。

 近すぎず遠すぎずという意味だが、絶妙の距離感だと感じる。

 連棟の中央に光をとりこみ、5段の距離がいい家。

 これが「松虫の長屋」のメインテーマである。

文責:守谷 昌紀

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