タグ別アーカイブ: レンガ

「四世代で暮らす家」‐7‐焼きあがり1ヵ月

 2016年の6月に着工した「四世代で暮らす家」。

 引越しは先月の下旬でした。

 11ヵ月掛かってようやく完成したですが、外構は6月20日までかかってしまいました。

 建物向かって左に、黒いレンガ積みのエリアがあります。

 このレンガは、最も濃い色で焼いた特注品です。

 最終盤になって、上の4列分が足りないと現場が言い出しました。

 裏からみると分かりやすいのですが、透かし積みにしたうえで、隙間に小さなレンガを入れています。

 空気の動きはあるが、外部からの視線を切るよう考えたものです。このRにピタリと合うレンガはもちろんありません。

 焼きあがるのに1ヵ月掛かるという報告を受けました。

 何のための施工図なのかと激高しましたが、いくら怒っても、納期が縮まることはありません。

 ただただ施工会社と一緒に頭を下げるしかなかったのです。

 そして、ようやく外構も完成に至りました。

 度々遅れる現場。納得できないことばかり起こります。

 しかし、建築は私1人で創れるものではないので、施工会社というパートナーは常に必要です。

 厳しく、かつ愛情を持って接しているつもりですが、感じ方、反応は本当に様々なのです。

 人は弱いものです。とびきりに弱いものです。

 私も全く同じですが、そこから少しでも前に行こうとするなら、ものごとを真っすぐに見る以外に方法はありません。

 逃げ腰や半身で見ると恐れが追いかけてきますが、正面から見据えれば、何とかなりそうだと思えることが殆どだと思うのです。
 
 特注のレンガにしなければ、もう少し早く出来上がったかもしれません。

 しかし、やはりその質感は本物でした。

 多くのことを許容頂いたクライアトにはただただ感謝しかありません。

 3階から、桜並木を見下ろす景色は素晴らしいものがあります。

 引渡しが終わったあとは、豊かな暮らしが生まれることを願うだけです。

文責:守谷 昌紀

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「四世代で暮らす家」‐6‐常にキラキラ

 まもなく竣工を迎える「四世代で暮らす家」ですが、ようやく足場が外れました。

 御影石と左官仕上げは、ともに黒を基調としました。

 前面道路にある、桜並木もこの季節は青葉がまぶしいかぎりです。

 もちろん、ロケーションだけでなく細部にもこだわっています。

 レストルームの黒いタイル。

 クロコダイル模様で、光沢があるものが選ばれています。

 このタイルは早くから決まっており、1年半くらいはメーカーに在庫をとっておいてもらいました。

 すでに廃盤になっているので、もう代わりはありません。

 洗面には、キラキラと光沢のあるモザイクタイル。

 ペンダントライト。

 そしてスレンドグラスと、全て奥さんのセレクトです。

 計画がスタートしたのは2015年の1月なので、2年と4カ月が過ぎました。

 しかし、奥さんの「キラキラ」が好きは、常に一貫していました。

 外観は、それらをより引き立てるため、黒を基調にしたのです。

 外構も、計画のスタート時からこだわりの部分でした。

 クライアントは、すでに大手ハウスメーカーから、プラン、見積の提出を受けていまた。

 しかし、特に外構部分がしっくりきていないようで、設計事務所を探していたとのことでした。

 キラキラと真反対にある素焼きのレンガ。

 これは全て特注で、隙間をコントロールしています。

 全て積みあがると、その対比は完成します。

 引越しまであと1週間。いよいよ追い込みです。

文責:守谷 昌紀

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「千葉の家」‐12‐竣工写真

■■■「セブンドリーマーズ銀座店」のオープニングセレモニー■■■
3月28日(金)-30日(日) 11:00-20:00 東京都中央区銀座5-8-3

550kmという距離を超え、そして厳しいコストの中、完成した「柏の家」。

写真撮影は、担当スタッフも連れて行きました。空は雲ひとつない快晴。

ご主人がこよなく愛するプレミアリーグのリヴァプール。そのホームスタジアム「anfield」がモチーフになっています。

玄関を入ると、右にあるのが「作業室」。奥さんが、木工細工をしたり、縫い物をしたりする部屋です。

ここで作品を作り、数ヶ月に一度、ワンデイショップを開きます

壁も自ら漆喰を塗り、照明なども全て奥さんのセレクト。作業室であり、アトリエであり、店舗であり。

スタッフはこの部屋に泊めて貰いました。

2階はLDKの1室空間。正面が北向き。南の奥に広いバルコニーがあります。

天井は4m以上。延べ面積26坪以上の広がりを出せたと思います。

向かって右にキッチン。袖壁後ろは、両面の全面収納になっています。

外からみると、丁度レンガが張り出している部分です。

見返すと、ダイニング後ろの大きな窓が見えます。

北側の光は明るすぎることがなく、思いきった開口計画が出来るのです。

水周りの上にはロフト。ここはサッカーミュージアムと呼ばれます。

リヴァプールと柏レイソルのお宝が展示されている、至福の空間。

訪れた際は、私が主寝室で夫妻がロフトへ。

しかし、こちらの方が寝やすいかも、と言っていました。

明るいバルコニーに面した浴室。ユニットバスですが、外部へ出られるよう、扉を設けました。

腰壁は高めに設定し、男性なら裸で外へ出られます。夢がかなったと、言って貰ったのです。

22日(土)は、朝から晩まで撮影。そして晩御飯は、大変なご馳走でした。

蒸し鶏、パエリア、デザート。美味しい料理でビールを頂き、12時まで盛り上がっていたのです。

フルコースに感激したのですが、朝ごはんは感動しました。好みでトッピングを選べる中国粥。優しい美味しさで、その心遣いがもう。

仕事をさせて貰い、宿泊付きのフルコース。こんな事を受け入れてよいのかとも思います。

しかし、共に戦ったのは事実。クライアントであり、戦友でもあるのです。

では、何と戦ったのか?コスト、期間、「一般的には」という慣習……

上げれば切りがありません。建築家と家を建てるのは、戦うことでもあるのです。

文責:守谷 昌紀

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「千葉の家」‐11‐ワンデイショップ

昨年の10月に完成したこちらの住宅。

奥さんから、写真がおくられてきました。

家の前に、告知の看板がをおくと、道行くひとが興味をもってみてくれるとのこと。

明日3月15日(土)、10:00amから4:00pmまで、「ワンデイショップ」が開催されます。

店内の写真には、輸入雑貨なども並んでいます。

店名は「Rabitts」。

3月の連休、泊りがけで撮影に行く予定なのですが、その際には本当の「うさぎ」が家族に加わっているとか。楽しみにしています。

文責:守谷 昌紀

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「千葉の家」‐10‐自宅で雪見風呂

千葉の家のクライアントから、大雪の写真が届きました。

雪の中、レンガの外壁がなかなかに映えています。

「自宅で雪見風呂」を堪能いたしました!と、昨日メールを貰いました。千葉は今や雪国です。

かまくらの写真もあり、雪の休日を満喫しているとの事。

風呂は2階にあるため、ユニットバスにしています。

裸でもバルコニーに出られるよう、大きな出入り口を備え、腰壁もかなり高くしました。それが、ご主人たっての希望だったのです。

バルコニーにも降り積もる雪。いよいよ雪見風呂の写真です。

もう説明は不要でしょうか。

念のためですが、ご主人に了解は貰っています。

文責:守谷 昌紀

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「千葉の家」‐9‐ うれしくて…

先月竣工した千葉の家。奥さんから「うれしくて…」とメールが届きました。

 月曜日の昼に職場の友人とお子さんで我が家でパーティーをしました。大人13名、子供5名で・・・・

 椅子の数も偶然ですが13脚ありゆっくり座って食べて飲んでしゃべってと楽しい時間を我が家でできました。

 来客の皆が全員素敵なお家で、いたるところがちゃんと考えてて良いお家だね~~~と言ってもらいました。羨ましい~~~!!と

 いろいろな方の力を借りて自慢できるお家になり感謝しております。ありがとうございました。

 憩いの場所(落ち着くおうち)ができたそうで、また次回もやる計画になりました。また報告のご連絡をさせてもらいます。

照明のセレクトと、棚の制作は奥さんによるものです。

食材の入った缶も、こだわりが伝わってきます。照明も、思い切りのいい選択です。

この家のモチーフとなったのは、リヴァプールにあるanfieldというサッカー場。

玄関には、そのジグソーパズルが飾られています。

階段のエンブレムは、リヴァプールの選手たちが、ピッチに立つ前にタッチしていくものだそう。

毎朝、ここにタッチして仕事へ、学校へ行くなら、こんな素晴らしい仕掛けはありません。

anfieldというモチーフを考えたのはご主人です。現地へ行くほどの、熱烈なプレミアリーグ、リヴァプールのファンでした。

建物には、多くのストーリーがあればあるほど、愛着が生まれます。それは困難と置き換えても良いかもしれません。

近いうちに撮影に行く事になっており、楽しみにしています。

文責:守谷 昌紀

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「千葉の家」‐8‐ 寄りと引き

千葉へ行ったのは先週でした。

明日が引っ越しというタイミンで、外部だけ撮影して来ました。

表札は焼物です。こういった素材感は、無垢ならでは。

正面のスチール庇はスチール製です。レンガの対比がなかなか美しいものです。

外観が「引き」の写真なら、素材感が伝わるのは「寄り」の写真です。

引きで形が良く解るのは、この角度でしょうか。

どのアングルがこの家を最もよく伝えることが出来るのか。これが、撮影の楽しみであり、緊張であり。

今回は思い切って、ミラーガラスも使っています。

正面が北向きなので、昼間なら家の中はほぼ見えません。中から見ていると、結構指を指している人も多いとのこと。良い話であれば嬉しいのですが。

内部の撮影は、奥さんによる家具工事が終わってから。その連絡を楽しみに待っているのです。

文責:守谷 昌紀

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「千葉の家」‐7‐ ぞくっと

昨日、現場へ行っていました。

審査機関の完了検査だったのです。

審査機関の人が「関西弁だね」といい、書類に目を通しました。「ああ大阪から。大変だね」と。

全く大変でないとと言えば嘘になりますが、声が掛かる内が華だと思っています。検査は問題なく終了。まずは一安心です。

内部は最後の掃除か残っているものの、概ね完成です。

決して大きな家ではありませんが、2階は1室空間。天井高もあり、開放的な空間になりました。

道路が北にあるので、南側に大き目のバルコニーをとっています。

フルオープンの窓を開ければ、外部とも一体に。

大きく窓を開けてお風呂に入りたい。出来ればそこから外に出たい。

よって、お風呂からバルコニーに出れるドアをつけました。

奥さんが夕方現場に来てくれました。「足場が外れ、初めて外観を見た時は、ぞくっとしました」と。

初めに書いたのですが、この建物にはモチーフがあります。

プレミアリーグのリヴァプールの本拠地、アンフィールドというスタジアムです。それでも、そんな感想を貰うと設計者冥利に尽きるのです。

文責:守谷 昌紀

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「千葉の家」」‐6‐ タイルと表札いい感じ

先週にかけて、8月24日(土)、30日(金)、9月4日(水)と現場に行っていました。

現場も追い込みです。

駅前商店街も、見慣れた光景に……と言えば大げさかもしれません。

しかし、回を重ねる度、愛着が湧いてくるのは事実です。

当初より、計画の中心にあったレンガのファサード。その姿が、ようやく現実のものとなってきました。

奥さんが、時々写真を送ってくれるのです。

更に、2階梁は自身で塗られたもの。他の家具も塗って貰う予定です。

プロの仕事がいつも最善とは限りません。粗っぽく、濃淡を付けたいなどは、DIYに限ります。

焼物の表札も付きました。名前のところは加工していますが「いい感じです」とのことでした。来週、実物を見るのが楽しみです。

現代において「良い感じ」と「いい感じ」は違う表現。いい感じなのです。

文責:守谷 昌紀

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「千葉の家」-5- 屋根の上で宇治金時

8月20日(火)は、10:30amには現地につきました。

3時の休憩には、クライアントからアイスの差し入れ。宇治金時を食べるのは何十年振りでしょうか。

高い所で食べるアイスは、とても美味しく、かつ涼しいのです。

どこで食べたかと言うと、建物正面の一番上。ここに庇があり、へこみがあるのが見れるでしょうか。

足場がある、今だからこその醍醐味です。

奥さんは、非常に身軽な人です。ハシゴのないロフトまで、ヒョイヒョイと登ります。

ここからの景色がなかなか良いのですが。

工期が遅れ気味で、ご迷惑を掛けています。しかし「職人さん達に無理をさせないでくださいね」という気遣いまで。

物創りと言っても、人と人の関係から生まれて来るもの。その気遣い、期待に応える仕事をしなければなりません。

千葉通いも今回で12回目になりました。あと何回現場に来られるのか……

常磐線に乗り換えるのが上野駅。初めて通った時、その天井の低さに、驚いたものです。

京都も、大阪も暑いですが、東京も暑い。

ジリジリと高層ビルを焼きつける様が、尚そう感じさせます。

文責:守谷 昌紀

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