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松原/脳神経外科「うえだクリニック」‐10‐光という移り気な素材

 「うえだクリニック」のオープンまで、残すところ2週間となりました。


 
 外壁が仕上がり、かなり最終形が見えてきました。

 濃い茶が青い空に映えています。

 クリニックの顔とも言える受付。

 やはり人の心象に最も影響を与えるのは人です。

 来訪者が分かりやすく、またスタッフが働きやすいよう、院長と模索した受付カウンター。

 受付時に荷物を置く下段のカウンターも、綿密に設計したつもりです。

 しかし、何と言ってもこの下地です。大工の手数が見てとれますが、建築は見えないところで差がでるのです。

 6m強ある待合の吹き抜け。

 まだ、移動足場が残っていますが、明るく、開放的な空間を演出してくれるはずです。

 診察室は適切な大きさがあり、あまり大きな空間は求められません。

 しかし、院長はここでかなりの時間を過ごすことになるので、少しでも快適な空間を目指しました。

 まず、東面に小振りなハイサイド設けています。

 加えて、患者さんが座る席の横に、トップライトを設けました。

 建物の中央部はどうしても暗くなるからです。

 屋根が高い位置にあるので、見上げると煙突のような形状になっています。

 明るすぎない間接光を、安定して供給してくれるはずです。

 床の仕上げ工事に、職人が休日出勤してくれていました。

 2階では電気工事も。

 待合の大開口の前には、バルコニーのような空間があります。

 この外側に光の入り過ぎを抑えるルーバーを取り付けます。

 明るく、明るすぎない空間を求めて、建築設計の仕事を四半世紀続けてきました。

 建築に失敗は許されないので、動物が巣穴を中心に狩りをするように、少しずつ、少しずつ、その距離を伸ばしてきました。

 待合の開口部には、その経験を全てつぎ込んでいるのです。

 光という形のない移り気な素材を、どこまでリードできたのか。間もなく答え合わせの時間がやってきます。

文責:守谷 昌紀

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ギャラクシーブックスから2017年11月27日出版
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『homify』5月7日「碧の家」掲載
『houzz』4月15日の特集記事
「中庭のある無垢な珪藻土の家」が紹介されました
『デンタルクリニックデザイン事典vol.1』4月1日発売に「さかたファミリー歯科クリニック」掲載
「トレジャーキッズたかどの保育園」
地域情報サイトに掲載されました

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緑を囲む京都のオフィス「山本合同事務所」‐6‐バームクーヘンも登場

 今年も残すところ1週間あまり。

 遅れ気味になっていましたが、ようやく「山本合同事務所」の引渡しが終わりました。

 このオフィスは北向きなので、光は裏側からとることになります。

 反対に言えば、北側に対しては思い切って開くことができるのです。

 駐車場脇にある階段が、キューブの中に貫入していきます。

 階段前にある看板は、クールに仕上げました。

 エントランスはワークスペース中央。

 奥に進むとオーバルカウンターを備えたメインのワークスペースです。

 南の開口から、またトップライトから、冬の柔らかい日差しが差し込んでくるのです。

 手前にあるのは、今回初登場のバームクーヘンデスク。

 この有機的なフォルムを持つ2つのデスクが、人の流れ、関係性を創造してくれることを期待しています。

 バームクーヘンの北側はガラスのカーテンウォール。

 北側道路を望み、吹抜けで3階と繋がっています。

 3階は、応接室でありリビングでもあります。

 右手に見えるのはロフトへのハシゴ。

 一番奥にあるトイレにはシャワーが備え付けてあります。

 繁忙期や打合せ後には、宿泊することも視野にいれてのことです。

 ミニキッチン、冷蔵庫は無印良品でまとめました。

 そして右手は再び吹抜け。

 3階も含めての大きな1室空間になっているのです。

 オーバルカウンターに合わせて、天井から吊り下げられたペンダントライト。

 これは、クライアントが東京で見つけてきたもの。

 シーリングファンが、緩やかに空間を撹拌してくれるでしょう。

 各席の横に移動して使う、ムービングキャビネット。

 オリジナルを木で制作しました。これはなかなの出来です。

 働く場所を快適に。

 誰もが思い、誰もが望むことです。

 その思いにどこまで応えられたのかは、本格的な業務が始まってからの評価になるでしょう。

 タイトルにある「緑」が中央にやってくるのも年始。

 いくらかの不安もありながら、楽しみにしているのです。

文責:守谷 昌紀

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