「伊東内科クリニック」-6-地鎮祭

 無事解体が終わり、本日は地鎮祭。

 ここ数日、大阪は季節はずれの寒さでした。

 しかし今日は、暑いくらいの青空に。

 祭壇やお供え物は神主さんが、竹や砂山等は施工会社が準備してくれます。

 設計者、施工者はお酒を供え、合わせて図面や模型も清めてもらいます。

 神主さんの「それでは、地鎮祭ならびに工事の安全祈願祭をはじめます」の声で式は始まりました。

 祝詞奏上のあと、土地の四方を清めます。

 全て神主さんが進めてくれますが、施主、設計者、施工者が役割を担うところがあります。

 はじめに設計者は、砂山の上にある草を鎌(カマ)で刈り取ります。これが「苅初め(かりぞめ)の儀」。

 次は施主が砂山に鋤(すき)をいれ、三度に分けて左、右、左と砂をよけます。これが「穿初(うがちぞめ)の儀」。 

 最後に施工者が鍬(くわ)で盛砂をします。これが「鎮物埋納の儀」。文字通り、鎮物を埋めるのです。

 いずれも「エイ、エイッ、エイ」と掛け声を発しながらが一般的。

 その後、玉串奉奠(たまぐしほうてん) ですが、これも「時計回りに3/4回転して根元を祭壇へ向けて……」と全て説明してもらえるので、心配は無用です。

 と、書きましたが、務めていた期間が2年の私は、自分の現場で初めての地鎮祭を経験しました。

 「苅初めの儀」は一番はじめにやってきます。

 どのくらいの声を出して良いのか分からず、小さな声で「えぃ…えぃ…えぃ…」のような感じで。

 思い出すだけで、顔が赤くなります。その後の施工会社の社長の声の勇ましかったこと。

 手順を覚えたからと言って、緊張しない事はありませんが、まずは元気よくです。今日も大きな声で「エイッ!エイッ!エイッ!」と。
 
文責:守谷 昌紀

建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm