移住して住む、築100年の「下北山村の古民家」
移住して住む、築100年の「下北山村の古民家」– 掘り炬燵のある平屋<リノベーション> –
移住して住む、築100年の「下北山村の古民家」
– 掘り炬燵のある平屋<リノベーション> –
奈良県は南北に長く、その南東端にあるのが下北山村。随分道路が良くなり、大阪から車で2時間強といった距離感だ。
この平屋の古民家は、大正末期か昭和初期に建てられたものだと思う。築100年程となるが、建物の状態は非常に良かった、と思っていた。
鴨居の高さは5尺6寸。昔の住宅に多い高さだが、170cmを少し切ることになり、現代の住宅としてはやはり低い。
できるだけ既存建物を活かしたいところだが、大きく間取りを変える必要もあり、フルリノベーションを選択した。
解体してみると、見えない部分にシロアリの被害があり、基礎や柱を大幅にやり替えたり、プランを変える上で梁の架け替えが必要な場所もあった。地元の建築会社が柔軟に対応してくれた。
雨の多い地域なので、軒の深さは当初のままとしている。湿気が多いため、キッチンはあえてフルオープンのものとし、何でもできる夫にDIYでお願いした。
LDKには掘り炬燵がある。寒い地域なので、炬燵としての価値もあるが、夫妻は床に座っての生活を望んでおられたからだ。
床には現地で採れた無垢の杉板を無塗装で使っている。
夫妻は、都市部からの移住組だが、この地での暮らしが10年を超え、この地域に愛着を持っている。
カフェ巡りが好きな妻がコーヒーを煎れるため、ゆったりとしたカウンターも造作でしつらえた。
アウトドアの趣味が多彩な夫は、広い土間を趣味の空間として活かし、楽しんでいる。
時に厳しく、時に美しいこの地で、民家を改修し、逞しく、楽しく暮らす一例を示せたのではと思う。
【追伸】なぜこの地で仕事をすることになったかを、書いておこうと思う。
1996年5月4日、下北山村にある池原ダムで64cm、5.1kgのブラックバスを釣りあげた。
小学生の頃にしていたルアーフィッシングを社会人になって再開。池原ダムへ通い始めて2年目だった。当時は道も悪く4時間近く掛かっていたと思う。
現在では外来魚として悪者の象徴となってしまったが、元は大正末期に食用として北米から輸入され、初めは芦ノ湖、その後いくつかの湖に移植される。
下北山村では重要な観光資源と考え、1988年にフロリダバスという非常に大きくなる種を輸入して放流。釣り人は、遊漁料を払い大自然の中で釣りを楽しむという環境がつくりあげられた。池原ダムが「バスフィッシングの聖地」と言われる所以だ。
一緒に行っていた仲間と写真を撮ったりして盛り上がっていると、人が集まってきて「〇〇さんのところに持って行った方がいい」と言われ、翌日伺った。
「日本記録級かもしれない」と、釣り業界に顔が広いこの方が、釣り雑誌、釣り新聞などに声をかけてくれた。
その後、色々な釣り雑誌に掲載して貰った。
「日本記録級」という言葉を聞き、なんだか偉くなった気がした。アマチュアボクサーがラッキーパンチで日本ランカーになってしまったような感じだろうか。
休み明け、当時アルバイトで雇って貰っていた若い所長と口論になり、勢い余ってその設計事務所を辞めることになった。
それが、25歳で独立することになった顛末だ。
多分、池原ダムであの魚と出会っていなければ、これ程早く独立することはなかったと思う。
説明は難しいが、日本一になれるかもという、根拠のない自信が沸いてきたのだ。
下北山村の大自然に背中を押して貰い、現場監理の経験無しで創業したが後悔は全くない。
新緑の二連滝。
エメラルドグリーンの真夏の備後筋。
けあらし立ち込める晩秋のダムサイト。
秋口に熊と遭遇したこともある。
大雪の大晦日も、大自然はいつも変わらずにそこにある。
目一杯働き、休みができるとこの地に飛んで行く。それが私の休日だ。
30年間この地に通った縁でクライアントと知り合い、この計画の相談を受けた。
下北山村で仕事ができるのは、建築家として誇らしいが、その分プレッシャーもあったが、今は引き受けて良かったと思っている。
Data
| 所在地 | 奈良県 |
|---|---|
| 構造 | 木造 平屋建て |
| 竣工 | 2024年9月竣工 |
| 敷地面積 | 702.54 ㎡(212.52坪) |
| 延床面積 | 78.25 ㎡(23.67坪) |
|---|---|
| 建築面積 | 78.25 ㎡(23.67坪) |
| 建築費用 | 2141万円 |
















































































































































































































































































































































































































