【1】どこに住もうか?
よくよく考えて見れば人は自由ですから、どこで暮らすかも、どこに家を建てるのかも自由です。
しかし、制約が少なければ少ない程、「どこに住むのか」を決めるのは難しいかもしれません。どのようにして、暮らす街、建てる敷地を決めたのか。実例で紹介してみます。
1. 候補が3つ
「職場の関係で、概ね住むエリアを決めているもの、何から始めて良いのか……」
こういった悩みをもって居る人は結構居ます。制約が少なければ少ない程、土地探しは簡単でないのです。
2007年に来所した「池を望む家」のご夫妻も、職場の関係から、概ねのエリアは決めていました。
しかし、A崖の土地、B閑静な住宅地、C池のほとりと、3つの土地で迷っていました。そぞれぞれに長所があるのです。
崖の土地は何と言っても見晴らしがよい。閑静な住宅街は、土地の安全対策にはお金が掛からないので、建物にお金が掛けられる。池のほとりは、北側の大きな池をいつも眺めることができる、といったように。
2. アドバイスは『第一印象』と『響く』
それで、ご夫妻にこうアドバイスしました。
「消去法ではなく、ここに住みたい!と思った土地がいいと思います。
『第一印象』はこれまで全ての経験が導き出した貴重な情報です。
また、心に『響く』といったことも同じように大切なものだと思います」
3. 池のほとりに「池を望む家」
するとご主人は、高校生の頃、悩みがあると大阪城の堀を見ていたことを思い出したそうです。
その結果、池のほとりに「池を望む家」が建ったのです。
4. 答えはあなたの心の中、ただし会話は重要
RC打放し「高台の家」のクライアントは、ご主人が仙台、奥さんが京都の出身です。
色々な土地を見れば見るほど迷ったと言います。自分達が住みたい場所とは?
多くの敷地を見に行った後、自分達は「坂のある街」が好きなのだと分ったのです。
スティーブ・ジョブズもこう言っています。
”自分の内なる声、心、直感というのは、どうしたわけか君が本当になりたいことが何か、もうとっくの昔に知っている。だからそれ以外のことは二の次でいい。”
もし、自分達の住む場所を探している人がいたら、大いに悩み、好きを見つけて欲しいと思います。
ただ、それを探り当てるためには、誰かと会話するとこはとても役に立ちます。好みや、大切なことを整理したり、アドバイスをすることは、建築家の役割だと思います。
また、その土地なら「こんな建物が建てられる」という提案もできます。
答えはあなたの心の中にしかありませんが、専門家として出来ることは沢山あると思います。
(2021.11.17更新)