素材は揃った

 何度か途中経過を紹介した境内の中の家。計画開始から1年と2ヶ月を経て竣工しました。

 ずっと取材して貰った、テレビクルーのみなさんもこの日で最後になりました。

 アトリエでは掲載誌の撮影とコメント撮り。映像を見ると火が出るくらい恥ずかしいんだろうと、今から覚悟はしています。

 解体、着工、竣工、引越し。20分の番組を創るのに、費やされた時間と労力は膨大です。

 ディレクターは「撮り残しは無いナ。よし!」素材は揃ったと、自分に言い聞かせました。後は編集作業。楽しみにして待つだけです。番組の性質上、放映日はディレクターも少し前にしか知らされないそうです。2月中旬から下旬にかけて、関東のみの放送ですが、ここで告知したいと思っています。

 どの計画も、初めの図面にはテーマを書きます。この計画では”緑溢れる境内に、家族の空を持つ家”。

 目的は達成出来たと思います。

 竣工写真の完成はもう少し先ですが、一番面白い場所から撮った写真です。

 計画地は平安時代より前からあるという神社の境内。神聖な場所での仕事ですが、日々の現場通いでは、つい礼拝を忘れてしまいます。

 竣工の日は、今までの失礼をお詫びし、感謝の気持ちで頭を垂れて来ました。

 一年を通してに神社に伺い、自然溢れる境内で強く感じたのは「この国の四季は本当に豊かだな」という事。どの国にでもあることではないのです。

モダンリビング NO.177

 2月7日発売の『モダンリビング NO.177』「加美の家」が掲載されました。

  P215の1ページだけですが、加美の家は初掲載なので素直に喜んでいます。

 ただ、写真がやや赤っぽくなっているのは残念なところ。前にも同じような事がありましたが、印刷物の色というのは、繊細で微妙なものだそうです。

 加美の家は、私としても自信を持っている仕事です。そんな気持ちとは裏腹に、色々な事情でなかなか取り上げられませんでした。メディアに載る事だけが評価とは思いませんが、作品を通して、世に何かを問うてみたいという思いはあります。

 空間を感じるには、その場に立つ意外に方法はありません。それに次ぐのが、完成度の高い写真。その写真を多くの人に見て貰えるのが出版物です。

 Web全盛の時代ですが、紙媒体に対するこだわりはあります。細部の表現力、手にとった重み、新しいページをめくる喜び、紙の匂い。それらと一緒に、感じる事が多くあると思うのです。

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雪の吉野

 日曜日は近畿地方も寒い一日になりました。

 電車で何処かに出掛けようと、近鉄阿部野橋駅へ。40分で橿原神宮まで行けるようなので、手頃かなと急行に。

 「1300年前はここが首都!」など、駅のパンフレットを読んでいると、子供が寝てしまいました。2人だったのでそのまま乗り過ごす事に。

 大阪は雨だったんのですが、生駒山地を越えると一面の銀世界に。奈良盆地は、昨夜から雪だったようです。

 何気に雪景色を楽しみながら、終点吉野までは1時間40分、急行の旅。

 千本桜で有名な吉野も、この時期はガラガラです。

 目が覚めた子供は、閑散とした駅前ではしゃぎまわっていました。

 手袋が無かったので随分拒んだのですが、雪だるまを作らせられるはめに。素手なのでかなり小型です。

 「お父さんは冷たいのを頑張って雪だるまを……」。振り返ると、知らぬ間に手袋を脱いで、雪を掴んでまわっていました。

 乗車券950円に特急券500円。帰りは特急の旅に格上げです。阿部野橋まで1時間30分。10分しか変わらないのです。

 夜は節分につき、寿司とイワシでした。丸かぶりは手巻き寿司で代用です。

 今朝の新聞に、鬼は陰陽師(おんみょうじ)などの陰(おん)がなまったものとありました。

 まだ寒いですが、昨日は陰を追い払い、陽を迎える準備の日でした。今日は皆が待っていた立春です。

銭湯

 我が街には銭湯があります。大阪の下町は、小学校区にひとつある感じでしょうか。

 半年振りに行って来ました。「銭湯」という響きが、すでに雰囲気を持っています。

 『湯の町温泉』。どうですかこのネーミング。もちろん温泉は湧いていません。

 靴箱はこのタイプ。この日は「3」が空いてなかったので「5」に入れました。1と3はいつも人気です。

 ここは「傘立て」でなく「傘入れ」があります。

 間違って持って帰る(あくまで勘違いで!)人が、よっぽど多かったのでしょうか。随分頑丈に出来ています。

 電気風呂、寝湯、水風呂、露天風呂にサウナまでついて390円。燃料の高騰で大変でしょう。

 私も思い出がたくさんあります。地域のソフトボール大会の後は皆で、実家が建て替えの時は毎日、大学生の時も友人が集まれば皆で行きました。

 地域のコミュニケーションも、銭湯を核にすれば、案外スムースに進むかもしれません。裸の付き合いが一番です。

 700円のスーパー銭湯より、390円の銭湯。たまに芳ばしい感じのお兄さんもいますが、それも含めてコミュニティーです。生活に密着していると言うことが大事。これは下町ならではの娯楽です。

海遊館

 少し前後しますが、先々週の日曜日大阪、天保山の海遊館に行っていました。

 前に来たのは5年ほど前でしょうか。見た目は変わりませんが人出は増えていました。

 朝一番にも係わらず、順路の前半では肩車しないと見えないほど。

 後半がそれ程でもないのは、スロープを下りながら見るので、行ったり戻ったり、という気分になれないのだと思います。つい過剰にゆっくり歩いてしまうという。

 北海道の旭山動物園の成功からでしょう、ペンギンパレードがありました。海遊館前を列になって散歩します。ただし館の前なので無料です。ちなみに入館料は¥2,000。

 中央の大水槽にいるジンベイザメは「海」。

 淡水魚最大のアマゾンに住むピラルクー。

 現在も食べれるのか知りませんが「白身で美味しい」と作家、開高健が書いていました。

 イワシが回遊する姿も、キラキラと美しく。

 完成は1990年、設計は ケンブリッジ・セブン・アソシエイツです。もう18年目です。

 「海遊館」という名前が、やや前時代的だなと調べてみると、面白い話がありました。

 公募の大半は「マリン○○」のようなネーミングで、この名前は公募した中で1票しか無かったそうです。選考委員のタレント、上沼恵美子さんが「この名前なら当たる」と推し決定したそうです。ウキペディアより

 もし私なら選びません。名前だけで結果は出ませんが、成功だったのでしょう。さすがタレントと言うべきか、さすが上沼恵美子と言うべきか、時代の気分が良く見えているようです。

商店建築増刊 クリニック&オフィス

 昨日発売された、『商店建築3月号増刊 クリニック&オフィス』「つるみ歯科クリニック」が掲載されました。

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 なかなか重厚な感じの仕上がりです。価格も¥3,150、厚み1cm以上。ずっしりと重みがあります。

 商店建築社の紹介サイトで、少し内容が見れます。

 信用している出版社に評価してもらうのは励みになります。

 進行中の現場では、今年一番の梅の花。僅かながら春の息吹が。

近鉄百貨店建て替えセール

 今日の寒い朝で、今週は始まりました。

 生駒山もうっすら雪化粧です。

 昨日、日曜日は久し振りに天王寺へ買い物に出ました。

 天王寺(アベノ)エリアは、JR、近鉄、チンチン電車、地下鉄2線が乗り入れ、キタ、ミナミに次ぐ昇降客数を誇ります。

  その中心となる近鉄百貨店は、2014年に高さ約300m、59階で日本一高いビルに建て替え計画が発表されています。

 外観デザインは、大阪NHKなども手がけたシーザー・ペリ。

 現在は新高輪プリンスホテルなそで有名な村野藤吾の設計です。昭和の巨人から、現在随一の高層ビルの名手へ引き継がれる訳です。

 1/18(金)から始まった建替え前の売りつくしセールに、開店前から行列です。

 私達も負けじと朝一番に入り、靴下7足1000円、鞄半額などを獲得してきました。

 昼時、百貨店の食堂街は混んでいたので、隣の「新宿ごちそうビル」にあるオムライスの北極星へ。

 詳しくは、Webサイトにありますが、オムライスの考案者の、次世代の、支店ですが、その名に恥じない味と値段でした。

 単品690円、セットは色々付いて800円まで。

 トマトソースは酸味が残り、甘くサッパリ。中のケチャップライスはしっかりソテーしてあり、味は濃いすぎず、焼き飯として食べても美味しいくらいです。

 地下鉄に乗って12分。子供の頃から、最も身近な繁華街が天王寺でした。その魅力は、未だ北東と南西エリアに、残るドヤ街に象徴されます。

 そのバイタリティーと西に隣あう新世界、山王エリアの猥雑さも併せ持った雰囲気が天王寺なのです。

 街は変化していくことで活力を保ちます。

 しかし天王寺に日本一高く、ガラスで覆われたスカイスクレパーは無いのでは、と思っています。

 雰囲気は言葉にできませんが、すぐ西の道路にはチンチン電車が走っているのです。

標識 信号

 近所でのこと。道路標識が2つ並んでいました。

 うしろの標識は「自動車通行止め」。手前のは可動道路標識と言うようです。

 例えば高速道路で強い雨が降ってきた時、制限速度が80km/hから50km/hに変わったりします。どんな仕掛けになっているのかなと思っていました。まさか一枚ずつ張り替える訳にはいかないだろうし。

 たまたま、変わる瞬間を見掛けると、中心から回転して表示が変わるのです。写真のものは、その途中で壊れてしまったのでしょうか。しかし何に変わろうとして止まってしまったのか。

 決して正しいと思っているのではありませんと前置きした上で。ある女優がテレビで言っていました。「絶対車が来ない。絶対安全だ、と思ったら、私は赤信号でも横断歩道を渡る。安全かどうかは自分で判断出来る」と。

 間違いなく法律違反ですが、逆は真なりです。青だから絶対安全という訳ではありません。何が言いたいかと言うと、安全という大事な事を信号にだけ託すのは、ちょと問題なのかなと思った
のです。

 本来自分の身は自分で守るもの。信号を疑った事などありませんでしたが、機械ですから壊れる可能性だってあるのです。

活、車えび

 今日は成人の日で祝日。15日でないとピンと来ませんが、そのうち慣れるのでしょうか。

 日曜日の晩、生きたえびが届きました。妻の妹に来ていたお歳暮が回り回って来たようで、カタログの中から選んで下さいというあれです。

 全て食べ物で、候補に普段食べないような霜降りステーキ肉も有りましたが、迷った末それにしました。

 気分的にもゆっくり出来るだろうと、配達日は連休一日目の夕食です。

 私が一番好きな食べものはエビフライです。

 それは以前も書いたので、今回はやめておきますが、大抵はブラックタイガーです。

 近頃、食の安全は自分で守るしかなく、妻もなるべく国産ものにしていますが、えびのほうは値段の事もありなかなかありつけません。

 牛肉は一週間、魚は鮮度の良いうちに〆た後一晩寝かすと熟成が進みます。

 しかし、えび、かに、貝は新鮮なら、新鮮なほど良いのです。

 到着した時もおがくずの中で跳ねていました。

 当家にやって来た、熊本産”活”車えび。良くぞ元気に届いてくれました。

 人は生まれながらに業を背負った、罪深い生き物なのです。

 その晩も、実家に集まって皆で夕食でした。

 子供は塩焼き、大人は造りで食べました。

 鮮度が良い分、殻を取るのは手間ですが、ちょっと感動するくらいの味でした。

 身は半透明に澄み、甘く、プリッと張りがあります。

 口に入れると、舌の付け根の端に甘い余韻が少し残る感じ。この感覚は私の知る限り、新鮮なえびの造りだけです。

 まさに”活”。この美味しそうな文字は、一体誰が当てたのでしょうか。

 頭も焼いてミソも残さず食しました。

 カタログギフトは「帯に短し、たすきに長し」と感じることも多いのですが、今回は大満足です。貰い物の貰い物ですが。

 予断ですが、私の父が食べた後の、えび、かに、魚の残骸はネコも食べないと笑います。

 その位何も残っていないのですが、その時の箸使いはまあ見事なものです。

DVDを4本ほど

 昨年の後半から年始にかけて観たDVDです。ちなみにDVDはデジタル・バーサタイル(多目的)・ディスクの略だそうです。

 妻からのリクエストは「出来るだけ新しい感のあるもの」。要するに、値の高い新作をあまり借りてないという事です。レンタルショップの準新作コーナーから物色し始めるのです。

 ナイトミュージアム 2006年 アメリカ 満足度 80%

story  自然史博物館に勤務する夜間警備員のラリー。一人巡回していたラリーは、館内のティラノサウルスに追いかけられ・・・!?「ピンク・パンサー」のショーン・レヴィ監督が贈る奇想天外アドベンチャーファンタジー。

感想 ゆるーい感じが貫かれ、駄目パパが、最後にはちょっとカッコよく。あの人はなんとロビン・ウィリアムスでした。「のんびり見る映画ポイント」なら100点満点。最後の楽しい感じもまた良かった。

 エラゴン 遺志を継ぐ者 2006年アメリカ  満足度85%

story  アメリカの人気ファンタジー小説“エラゴン”を実写映画化。1人の少年とドラゴンのファンタジー・スカイ・アクション!

 帝国アラゲイジアはかつて平和な土地だったが、今は邪悪な王の支配下になっていた。ある日、17歳の少年エラゴンは光を放つ青い石を見付ける―それは、世界の命運を握るドラゴンの卵だった…

感想 基本的に年甲斐もなく、ファンタジー好きなのです。エンディングの-続く-感は、今後の楽しみとも、尻切れトンボとも……

 しかしおとぎ話感がウソっぽくなく(?)良かった。どの国が舞台で、何処で撮影したのか分かりませんが、景色がまた素晴らしい。

 尾根に続く道は実写なのにファンタジー。この原作小説はなんと10代の作家が書いているのだと。凄い。

 School of Rock 2003年アメリカ  満足度 90%

story  破天荒な行動ぶりから、結成したバンドからクビにされてしまったロックギタリストのデューイは、居候している親友ネッドの家からも家賃未払いで追い出される寸前に。

 ネッドへの一本の電話を受けたデューイは、ネッドになりすまし、家賃返済のために小学校の代用教員の依頼を引き受ける。

 そこで音楽の才能ある生徒たちに出会ったデューイは、ある案を思いついた。それは、子供達にロックを教え込み、バンド・バトルで優勝させて、賞金を手に入れようというものだった!

感想 ジャック・ブラックのクレイジーさが最高。つい体が動き出す。進学校の小学生の演奏は凄かったが、本当にオーディションを勝ち抜いてきたとは……納得。彼のオーバージェスチャーが嫌じゃなければ、文句なしのエンンターテイメント作品。

 24 シーズンⅥ 2007年アメリカ  満足度95%

感想 最後はやっぱりこれ。内容にについては触れませんが、というか触れる必要のない安定した面白さ、ドキドキ感。あいつがジャックの弟だったとは……

 見てる人しかわかりませんね。自分を落ち着かせる為に「これは作り話なんやから」と言い聞かせながら観ている時さえあります。年末年始も頑張って仕事しましたが、深夜これを見るのが楽しみでした。

 24のように決めてから借りに行く時は良いのですが、作品を選んでいる時間は楽しくも、プレッシャーが掛かるものです。

 映画ならその2時間が掛かっているのですからこちらも真剣。入って行くときは、予め作ってある候補リストを手に、鼻息荒く突入していく感じなのです。

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