「池を望む家」-15-さらに検査

 先週末、完了検査が終わったのですが、外部を中心に若干残工事が出ました。

 その検査に行って来ました。

 庭などの外部工事は、搬入経路確保の理由から、やはり最後になります。

 何度も繰り返される減額作業の中で、生き残ったこのデッキ。

 2階からの景色も抜群ですが、ここは座禅でも組んでみたくなります。組んできました。

 上を見上げれば、2階部分にあるバルコニーの床です。

 その上部の屋根も大きく張り出し、その中に光が落ちる部分を設けました。

 イメージとしてはこの外部空間を建物がしっかり捕まえている感じです。

 池の対岸には竹をはじめとする木々が生い茂り、隣接するバス道からの視線を遮断してくれます。

 その竹の隙間から撮ってみました。池の上に建つ姿が良く分かります。

文責:守谷 昌紀

「池を望む家」-14-完了検査

 今日は、朝から建築確認申請の完了検査がありました。

 外部の工事は少し残っていましたが、検査は問題なくクリア。

 無事、完了検査済書が発行されました。

 7月下旬から5ヶ月掛かりましたが、何とか明日の引越しに間に合いました。

 午後からは、クライアントへ取扱い説明と引渡しです。

 各工事の担当者が説明してくれるのですが、色々な設備を使いこなすには、少し時間がかかるかもしれません。

 それほど、最近の住宅には様々な機器が付いています。

 キッチンのコンロ一つにしても、何と便利で、何と複雑なことか……

 それぞれの場所に、様々な思いがありますが、今日で私達の手を離れます。

 冬の夕暮れがそうさせるのか、今日はすこし……

 クライアントから感謝の言葉を貰いました。勿論、仕事人としてこの上ない喜びです。

 計画の間に出産された事もありますが、ほぼ2年のに渡っての仕事でした。

 考えてみれば、いつもそんな言葉を掛けて貰いました。スッと言葉に出来る方なのです。本当に見習わなければなりません。スタッフ、家族にそんな言葉を果たして……

 心より感謝しています。
  
文責:守谷 昌紀

「池を望む家」-13-竣工検査

 昨日は、当事務所の竣工検査に行っていまいた。

 脚立が無くなる前に、屋根の上に上がりました。

 大阪の南部にあるこの高台から、遠くは大阪湾の向こう、る六甲山で見渡せます。兎に角眺めが抜群なのです。

 玄関を入ると、天井にはスリットがあり、2階の光が階下にも届きます。

 まだ、残工事はありますが、今週末の検査機関の完了検査、引越しをなんとか迎えられそうです。

 かなり遠景ですが、前回と反対からの外観です。

文責:守谷 昌紀

「池を望む家」-12-足場撤去

 12月中旬の竣工を目指して、現場は奮闘中です。そんな中、クライアントと現場で打合せしてきました。今回は主に、造り付けの家具や塗装についてです。

 「池を望む家」のテーマはいくつかありますが、1つに読書と勉強があります。

 クライアントは、とにかく読書と勉強が大好きなのです。そう書くと照れるかもしれませんが、間違いありません。

 1階廊下には本棚が3ヶ所あります。

 こだわったのは机の高さ。なんと780mmです。この件は竣工してから、ゆっくり書きたいと思います。

 本棚と壁の取合い部には10mmの溝があります。

 これを底目(そこめ)といって、違う素材がぶつかってくる時、縁を切って納める手法です。

 大工工事も塗装工事も大変ですが、特に細い刷毛でペンキを塗るのは大変です。

 しかし、その苦労の分、愛情の分、非常に美しい壁と本棚の関係が出来あがります。

 寝室のカウンター部は、柱、壁、天板、腰壁の全てが底目で見切られています。

 現場は非常に苦労していましたが、塗装が終われば、必ず誇らしい壁となるはずです。

 曇天ではありましたが、ついに足場が外れました。

 まずは、池の対岸からの姿を。

文責:守谷 昌紀

「池を望む家」-11-定例会議

 建築工事の最中には、定例会議があります。

 定期的に、設計事務所と現場監督、各工事の責任者が打ち合せするもので、本工事では、前半は当事務所で、後半は現場で開かれています。

 現在は隔週、火曜日、現場にて。

 完成予定日まで一ヶ月を切り、多くの職人で賑わってきました。

 会議の机は2階の一番いい場所にありました。

 1:30pmから3時間程、ここが私の職場です。


 池側の大きなガラスが嵌め込まれました。

 足場とシートが取れる日までもう少し。

文責:守谷 昌紀

「池を望む家」-10-位置決め 2

 クライアントには2週続けて、現場にお越し頂きました。

 前回、時間が足りなかった、タオル掛けなどの位置を確認して貰います。

 タオル掛けの位置は以外に難しいのです。

 タオルを2つ折りにするとおよそ45cm。その性格上、洗面カウンターと干渉する場合が多くあります。
 
 ご夫妻の身長差も加味して、今回は135cmを基準高さに設定しました。

 これは内部の手摺の取り付け下地。

 ガラスの手摺が付く場所ですが、隠れてしまうところで支持するので、ここが大事です。

 同じく階段も、美しく仕上げようと思えば、見えない部分が重要です。

 支える部材をササラと言いますが、一手間掛けるとそのモノ自体が美しくもあります。

 隠れる部分でも、人が目にした時、美しいと感じることは大事です。

 人の目は本能的に、安全、機能的など見分けると思うからです。

 池の対岸は紅葉していました。

 この眺めが、この土地にクライアントを導いたのです。

文責:守谷 昌紀

「池を望む家」-9-位置決め

 今日はクライアントに、現場でスイッチ、コンセント等の位置を確認して貰いました。

 まだ壁も仕上がっていないところで、完成した姿を想像するのは、仕事にしている人間でも大変です。

 今までも色々やってきましたが、結局、脚立、テープ、チョーク等、あるものを使って、何とかその大きさを再現するのが一番と考えるようになりました。

 実際には、早い段階で仕込んでおきたい物もあります。

 十分わかっていますが、この過程を踏んでからが最終決定で、その前に施工する場合は変更の可能性がある事を了承してもらいます。

 フロアーコンセントも少し変更が出ました。しかし、床、壁、天井が仕上がってからよりはずっと対応しやすいのです。

 現場にある木材などを積んで、カウンターの高さを決定し、付近のコンセント位置を決めました。

 コンセント、スイッチなどは型紙を現場に貼りつけて、使い勝手を見て貰います。

 朝10時から始めて、昼の1時半まで続けましたが、来週に持ち越したものも出ました。

 クライアントには多くの時間を割いて頂きますが、「現場に来るのが楽しみ」と聞くと創り手としては嬉しい限りです。

 大きな意味で、すでに建築としての概容は決まっていると言えます。しかし、家としての機能は、この辺りからの細かな打合せが大きく影響するのです。

 現場は細かくて大変だと思いますが、ついて来て貰うよりほか無いのです。

 文責:守谷 昌紀

「池を望む家」-8-天井下地

 快晴の秋空。現場に行って来ました。

 JRの最寄り駅からバスで15分弱。前が池なので、バス道からも良く見えます。

 内部は丁度、天井の下地工事中でした。

 バルコニーは広めに確保して、池側に張り出しています。その奥には、主寝室とリビング。

 今はガラスが無く風が心地良いですが、その有り難みを感じるまでもうじきでしょうか。

 反対の正面側も大分感じが出てきました。

文責:守谷 昌紀

「池を望む家」-7-外壁下地

 鉄骨の骨組みが完成したら、次は外壁工事です。

 壁内結露を防止する為に、外壁内に通気層を取るのベストです。

 防水を担う透湿防水シートの上に縦桟を打ち付け、その上に仕上材を張るのです。

 現在の住宅には、電気、電話、インターホン、LANケーブル等、壁内、天井裏には多くの配線が走ります。

 それらの工事は当然ながら、外、内とも壁が出来る前に済ませます。

 無いものをイメージしながら創って行く事は、簡単ではありませんが、そこがモノ創りの醍醐味かもしれません。

 床には、壁の中心線、通り芯を墨出しします。

 日本では、いまだに「墨壷」や「墨汁」を使いますが、外国ではどうしているんでしょうか。

 外壁の下地にあたる、間柱が303mmピッチで入いると、今度はサッシの取り付けです。

 この辺りまで来ると、クライアントも随分イメージし易くなると言います。

 竣工予定日は12月中旬。残すところ1ヶ月半です。

 遅れ気味なのがちょっと心配ですが。

文責:守谷 昌紀

「池を望む家」-6-スラブ打設

 1階、2階、屋上のスラブ(構造体としての床)が打ちあがりました。

 

 スラブが無い部分は、階段か吹抜です。
 今回は2階床に階段以外にも床の無い部分が有ります。

 どうなるかは完成後にまた。

 これからスラブ上に仕上げとしての床面を構成して行きますが、仕上げ面から1000mm上にマークが付いています。

 壁の中央を走る通り芯も、非常に重要ですが工事になると隠れてしまいます。

 その際も同じ考え方で、例えば1m離れたところに「逃げ墨」という線を記しておくのです。

 1階床の下は空気が行き来できるよう、基礎パッキンという部材を置き、土台を20mmほど浮かします。

 以前は、換気を取る為基礎を切り欠きましたが、今はこちらが主流です。

 建築物は基礎の強度に大きく影響を受けます。この工法なら、強度を失わずに通風が取れるのです。

 そろそろ木工事が始まります。

 構造体は鉄骨ですが、大工工事が建築の良し悪しに大きく影響するのは今も昔も同じ。

 大学生の頃、家業のガラス屋として現場に入っていました。

 2人で大きなガラスを抱えていた時のこと。

 邪魔になった道具箱が有ったので、足で脇に寄せました。すると「コラッ!何するんじゃっ!!」と怒声が。

 棟梁(大工の親方)の道具箱だったのです。

 もうそんな事はしませんが、カンナを見ると今でも良く思い出すのです。

文責:守谷 昌紀

1996年、25歳の時に生まれ育った大阪に設計事務所を設立しました。関西を中心に、東京、長野まで、注文住宅、クリニック、別荘、店舗、オフィス、保育園と、直接依頼頂いたクライアントにおよそ100件の作品を持たせて貰いました。 形態も新築、リノベーション、コンバージョンと様々で、 物づくりの現場より面白い所を私は知りません。ダイナミックな現場を、動画を交えてあますところなくお伝えします。