昨日の午前中、北摂のクライアントの自宅へ伺いました。
計画のスタートから1年以上掛かってしまいましたが、ようやく工事請負契約が成立。
私は、監理者として判を押しただけですが「一仕事終えた」という気分になるものです。その足で京都へ。
新緑萌える京都。昨日は30℃を超えました。
季節が良いだけに、混雑を予想していましたが、龍安寺はそれ程でもなく。
アプローチにある鏡容池(きょようち)はハスの花もちらほら。
いやが上にも気分は盛り上がります。
大切なのはファーストコンタクト。
なんとも言えない感嘆の声を上げますが、訪れたのは20年振り位でしょうか。
この日は、姪っ子も一緒に連れて行きました。
子供達は、こういった所をあまり喜びませんが、関西は日帰り圏内に沢山の世界遺産があります。
先日、ル・コルビュジエの国立西洋美術館が世界遺産に登録されたというニュースがありました。
コルビュジエの作品群の一つとして登録されたのですが、東京では初だそうです。
京都、奈良、熊野、姫路城、法隆寺と、多くの世界遺産がある関西に、海外からの観光客が集中するのは、当然なのかもしれません。
禅寺の庭園、枯山水は 「枯れ」の通り、水を白砂や白石で表現されます。
中でも石庭は、石と砂のみで表現されたもの。この石庭は1500年頃に出来たと言われます。
絵画でも、古典主義から写実主義、そして抽象画へと変化していったように、突き詰めれば突き詰める程、単純化されて行くのです。
25m×10mの石庭は、2方を檜皮で葺かれた土塀で囲まれています。
この土塀には菜種油が混ぜられ、時と共に変化を見せます。
利休は、庭木は塀によって幹を隠すのが良いと言いました。太い幹をみせず、軽やかな葉、花だけをこの土塀によって切り取りとるのです。
背景、間合いにある、「余白の美」こそが、日本独特の美意識なのです。
衣笠山の麓を2km程北西に上がれば鹿苑寺(金閣)。
長男によると、テストでは金閣寺は×で、金閣が○とのこと。一般的には金閣寺ですが。
晴れの日の金閣は圧巻でした。
夕方に来たのは初めてですが、西日を受け、燃えるように輝いています。
東から見れば、床の照り返しを受けた軒が、まさに燃えているよう。
三島由紀夫の「金閣寺」は、その美しさにとりつかれた学僧が、放火するという小説です。
その気持ち、少し分かる気もします。
黄金には、人を変える何かがあるのでしょう。
世界遺産だからと言っても、子供は喜びません。実は、先に太秦の映画村へ寄ってから来ました。
映画村も思いのほか面白かったので、また回を改めて書こうと思います。
枯れて石庭、燃えて金閣。これらは対極にある美です。
金箔貼の天守閣を持つ安土城を築いた織田信長。金の茶室を作った豊臣秀吉。
足利義満と同じように、権力者は金を目指します。
一方、市井の人の代弁者として、禅寺や利休の存在はあったのかもしれません。
ただ、誰にでも出来そうなものは難しく、腕の差が出るのは、いつも同じ構造です。
石庭をみると、常に気が引き締まるのです。
最後に、5月21日発売の『住まいの設計07・08月号』に「松虫の長屋」が掲載されました。
リノベーションの掲載は4ページですが、詳細な工事金額も載っています。
小さくですが、私の顔写真も掲載されました。勿論、主役はクライアントです。
webサイトの写真も、子供さん2人は頑張ってくれましたが、この撮影の日もアクセル全開でした。
良ければ是非手にとってみて下さい。