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住み継ぐ「コンクリート打放し H型プランの平屋」‐3‐並々ならぬ愛情

 秋分の日も過ぎ、ようやく日差しも和らいできました。

 計画名の「H型プランの平屋」は、敷地が大きくなければ成立しません。

 建物の解体が終わり、庭木もほぼなくなりました。

 こうして見るとやはり広い。

 建物解体が終わった後でも、庭木・庭石がかなり残っていました。

 これらを撤去するのがなかなかの仕事で、相応の時間が掛かっていたのです。

 何よりこの大楠木。

 台風の大型化、近隣への落ち葉のこともあり、ほぼ枝を落とすことになりました。

 もう一段回枝を切るのですが、それでもここまできました。

 母屋にしても、大楠木にしても、代々引き継いできたもので、ご家族にとっては苦渋の決断だったはずです。

 感謝と敬意のをもって、神主さんにお祓いをして貰ってからそれぞれの工事に入ったのです。

 計画がスタートしてここまで3年。

 ようやく地鎮祭を終え、いよいよ建物工事に入ります。

 愛情とは、ともに過ごす時間とも言います。

 愛情や情熱を込めていない建物はひとつたりともありませんが、3年ともなると……

 並々ならぬ愛情が詰まった建物とも言って、全く問題ないと思うのです。

文責:守谷 昌紀

■■■9月11日発売『リフォームデザイン2020』「回遊できる家」掲載
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【News】
■5月16日『homify』(英語)の特集記事に「下町のコンクリートCUBE」掲載
■5月10日『Houzz』の特集記事に「阿倍野の長屋」掲載
■4月8日『Sumikata』東急リバブル発行に巻頭インタビュー掲載
■2月13日 『Best of Houzz』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました

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◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

永住したい打ち放しのマンション「R GREY」‐11‐竣工・入居開始

 9月1日から入居が始まった「R Grey」

 本日、竣工写真を撮影しました。

 今回は全て私の撮影です。

 向かって左に自転車置き場があります。

 一旦、減額でなくなったのですが、最終的には予算を追加して、製作することになりました。

 既製品の自転車ポートなら、つくらない方がましと私が主張したからですが、復活するにあたり、いくらか協力することになりました。

 納得できるものができるなら、それでもいいと思っています。

 晴れたり曇ったりの一日でしたが、夕景撮影時まで晴れてくれました。

 1階右側の102号室。

 モデルルームとして開放してしますが、家具は全て私のもの。

 愛着さえわいてきます。

 キッチンは2.1mですが、1人または若いカップルには適切なサイズだと思っています。

 天井高さは2.6m。開口部の高さは2.4m。

 とても気持ちのよいはず。

 玄関の打ち放しの壁には、フックがついています。

 これはオーナーである弟からのプレゼント。

 コンクリートと相性がよく、なかなか美しいものなのです。

 エントランス。

 1階各住戸の入口。

 左上に防犯カメラがあります。

 2階の階段ホール。

 3階の階段ホール。

 共用部は、階段、手摺、開口部だけの空間ですが、ディティールにはこだわりました。

 奥にある寝室は初めからエアコン付き。

 収納も多めに確保しています。

 洗面。

 ユニットバスは白を選びました。

 何より、マンションのユニットバスで、窓がついているところはそうないと思います。

 風通し、日射のコントロールは常に追求しています。

 広く、風通しのよいバルコニーは、市街地に住むなら、価値はより高いものになります。

 模型。

 パース。

 その都度、設計の精度を高めてきたつもりですが、それは結果となって表れているのか。

 その評価は、全室が埋まることです。

 興味がある方は、気軽にお問い合わせください。

 賃貸住宅サービス

文責:守谷 昌紀

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【Events】

「R Grey」9月からの入居募集開始■
モデルルームオープン

大阪市平野区平野西5-6-24

「さかたファミリー歯科クリニック」7月26日 OPEN■
枚方市津田西町1-24-8

【News】

■3月25日『大改造!!劇的ビフォーアフター』朝日放送(ABC)「住之江の元長屋」再放映■
■10月29日『住人十色』毎日放送(MBS)「松虫の長屋」放映■

『建築家カタログ2016』8月29日発売に「遠里小野の家」掲載

『homify』7月21日「白馬の山小屋」掲載
『homify』6月4日「松虫の長屋」掲載
『homify』5月10日「長田の家」掲載
『homify(タイ)』4月25日「加美の家」掲載
『homify(中国)』4月9日「住之江の元長屋」掲載

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アトリエmの現場日

永住したい打ち放しのマンション「R GREY」‐10‐自分の顔に責任を

 足場の解体が始まりました。

 シートを外し、1日がかりで撤去します。

 今日、ようやく全ての足場がなくなりました。

 「R Grey」の名の通り、全てがグレー。

 階段ホールもグレー一色です。

 余談ですが、2、3階のガラスは、コストダウンのため父に施工してもらいました。

 コンクリート打ち放しは、いわば1点ものです。

 均一こそが現代技術とするなら、反対項にあると言えるかもしれません。

 建物の正面をフランス語で「ファサード」といいます。これは英語のフェイスと語源をともにするそうです。

 人を見掛けだけで判断してはなりませんが、髪も切らず、顔も洗わない人を好きな人はいません。

 また、リンカーンが「40歳を過ぎれば自分の顔に責任をもて」といった通り、大人にとっては言い訳無用なのです。

 住まい手が帰宅したとき、日々わずかでも「ここでよかった」と思ってもらえるような、秩序ある清潔なファサードを目指しました。

 この建物が好きな人が、ここで暮らしてくれたら……

 創り手にとって、これほど嬉しいことはありません。

 現在、3階は埋まったようです。引き続き、多くの人が見にきてくれればと思うのです。

101号室 LDK北向き
101号室 ダイニング 101号室 リビング
101号室 キッチン
101号室 寝室
101号室 洗面
101号室 浴室
101号室 玄関

文責:守谷 昌紀

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永住したい打ち放しのマンション「R GREY」‐9‐モデルルーム OPEN

 当社webサイトでも募集している、打ち放しのマンション「R GREY」

 竣工は8月末なので工事は追い込みに入っていますが、本日からモデルルームがOPENしました。

 9月からの入居にむけて、1階の2部屋を見ることができます。

 右側が101号室、左側が102号室ですが、101号室には家具も置いてみました。

 玄関を入って右手の扉はトイレの入り口です。

 LDKは13.5畳。

 手前の扉が玄関で、その奥にあるのが洗面への扉。

 キッチンから南を見返します。

 洗面と洗濯機置き場。

 その右に浴室があります。

 浴室の窓にはこだわりました。

 防犯のために面格子をつけ、外出時にも換気をできます。

 マンションで最もよく聞くのが、カビの不満だったからです。

 追炊き、浴室乾燥機あり。

 キッチン奥の扉を開けると寝室です。

 広さは4.5畳ですが、1直線に風が抜けるように設計しています。


寝室はエアコン付きです。

 ダイニングの照明は、ルイスポールセンのPH5をつけています。

 ヤコブセンデザインのセブンチェアは、当社打合せのお古ですが。

 天井高さも、通常より20cm高い2.6m。

 南向きのバルコニーの窓も、高さは2.4mあります。

 どんなマンションなら「永住したい」と思ってもらえるのか。長所は一度まとめてみました。

 建物自体にも愛着を持ってもらえる美しい建築にしたいのですが、住戸内で言えば、やはり打ち放しの天井です。

 壁は断熱材を入れるために仕上げをしていますが、この天井は見ていて飽きないのです。
 
 計画をスタートした時点では、木造のハイツという選択肢もありました。

 なかなか金額が合わず、木造で再設計をしなおそうかと考えた時期もありましたが、やはり鉄筋コンクリート造にして良かったと思っています。

 安心感、安定感が全く違います。

 それには体感して貰うのが一番。入居に関してのお問い合わせは「賃貸住宅サービス」まで。

 それ以外の見学希望は、当社へ連絡下さい。

 建築途中の賃貸住宅を見れることは滅多にないと思うので、気軽にお越しください。

文責:守谷 昌紀

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永住したい打ち放しのマンション「R GREY」‐8‐現場というオーケストラ

 本格的に募集を開始した「R GREY」

 マンションの公式サイトも開設されました。

 モデルルームのオープンも決まり、工事は仕上げの段階に入っています。

 1階、2階、3階と上内装工事は進んでいきますが、間仕切り工事はほぼ終わりました。

 2階は換気扇の取付中。

 1階にはキッチンが据え付けられました。

 追いかけるように、内部のクロス貼が始まります。

 クロスの裏に糊をつける機械を糊付け機といいますが、その前に職人が座る姿は、まるでピアニストのよう。

 施工チームをオーケストラに例えるなら、空間を奏でるピアニストだとも言えそうです。

 私たちが作曲家だとするなら、現場でタクトを振るのは監督です。

 私は簡単に人を褒めませんが(自慢できませんが)、この現場は2人体制でよく頑張ってくれています。

 どんな曲を書いても、演奏者にやる気がなければ、素晴らしい演奏会になることはありません。

 反対に、どれだけ演者が頑張っても、楽曲が分かるければ聞くに値しないかもしれません。

 ここのところが、意外に理解されていないと思うことがよくあるのです。
 
 作曲もしますが、演奏会にも口出しします。「そこはもっと丁寧に」とか「そこはもっと思い切って」などなど。

 空間と音楽は、共通点が多いのです。 

 聞けば、もう一部屋仮予約が入ったとそうです。

 演奏会と同じく、空間はその場でしか感じることができないもの。モデルルームで、是非、打ち放しの空間を体験下さい。

文責:守谷 昌紀

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永住したい打ち放しのマンション「R GREY」‐7‐既製品の功罪

 梅雨明け宣言はまだですが、すっかり夏の日差しになりました。

 足場がとれるのは今月末あたりになりそう。

 7月29日(土)にモデルルームをオープンする予定です。

 各階で進行状況は違いますが、概ね内部間仕切りができてきました。

 ますます暑くなる日本ですが、このファン付きのジャンパーを見る機会が増えました。

 結構涼しいそう。

 ユニットバスが据え付けられると次はキッチンです。

 これらが入ってくると、一気に空間を把握しやすくなってきます。

 玄関回りは、コンクリートと白い壁の対比が美しいはず。

 玄関をでると、いわゆるパイプスペースがあります。

 水道、電気、ガス管などが通るスペースですが、それらをスチールのパネルで覆っているのです。

 このパネルは、高さ2.75mの1枚もの。

 金物の製作担当と話し合い、この納まりに決定しました。

 図面には継ぎ目無しで描いていますが、現場が始まると「施工が難しいので、継ぎ目を入れさえてもらえませんか」となるケースは結構あります。

 そこから話し合いが始まるのですが、知識のある、またやる気のある担当者なら、何とか実現しようというスタンスで案をだしてくれます。

 反対の場合は、このパネルが1枚である価値や、それが出来上がった時の景色の違いを、繰り返し説きます。

 建築は省コスト、リスク回避を求め、既製品を使う部位が増えています。

 それでも、既製品では対処しきれないところが必ずでてくるのですが、そこがポイントなのです。

 「折角フルオーダーでつくるのだから、芸術作品のようなとびきり美しいものにしよう」と担当者を口説きます。

 たかがパネル、されどパネルなのです。

 建築にはかなりのコストが掛かるので、無駄なところなどほとんどありません。

 わずか30cm角のこのパネル。モデルルームがオープンしたら、まじまじと眺めてみて下さい。

文責:守谷 昌紀

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永住したい打ち放しのマンション‐6‐「R GREY」に決定

 着工して3ヵ月半が経過した、「平野西アパートメントハウス」。

 正式名称が決定しました。

 「R Grey」

 フォントは仮決定ですが、オーナーである弟も気に入っています。

 Rは鉄筋コンクリート(reinforced concrete)の略、Greyはそのままでグレイ。

 コンクリートは人がつくる石のようなもの。よって単純な色ではありません。

 しかし、木の手摺もグレイとするので、キーワードとしました。
 
 紅茶のアールグレイとかけたのですが、紅茶のほうは”Earl Grey” と書き「グレイ伯爵」の意味だそうです。

 私が色々候補をだし、最終的にはオーナーである弟が決めました。以下がその他の候補です。

<スペイン語>

Casa Gris (カーサ  グリス)→ 灰色の家

Techo Gris (テコ  グリス)→ 灰色の天井

Pared gris (パレド グリス)→ 灰色の壁

<イタリア語>

Muro grigio(ムーロ グリジオ)→ 灰色の壁

<英語>

Grey Box → 灰色の箱

Grey  Cube → グレイの立方体)

 永住したいと思って貰うためには、名前も響きも大切です。

 しかし、必然性のない名前は避けたいと思っていました。

 ここで暮らす人が、この建物を好きになって貰えるよう、本気で考えたつもりです。

 名は体をあらわすといいます。

 イギリス貴族の名をかりたこのマンションで、豊かな暮らしが生れることを心から願います。

文責:守谷 昌紀

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永住したい打ち放しのマンション「R Grey」‐3‐1フロア1ヵ月

 1階の鉄筋工事が終わったら、型枠大工による工事が本格化します。

 鉄筋を包み込みように、化粧型枠が建て込まれていきます。

 これらの型枠は、コンクリートが硬化したあと取り外されます。

 中でも、剥がれやすいよう、コンクリートの表面が平滑になるよう、塗装がされているのが化粧型枠です。

 黄色いウレタン塗装がされている面が、コンクリートに接するのです。

 これらは全て手仕事。

 型枠を鋼管でしっかり固定したら、いよいよコンクリートの打設です。

 タンクローリーが入れ替わり横づけされ、ポンプ車を介して型枠の中に打ち込まれていきます。

 コンクリートが均等にいきわたるよう、木槌で叩くのも手仕事。

 とにかく人手がかかるのが、コンクリート打ち放しです。

 先週後半から、部分的に型枠の撤去が始まりました。

 住戸内の壁も姿を現しました。

 断熱工事を施すため、壁は打ち放しではありませんが、天井は全て打ち放しになります。

 1階から2階の階段を見下ろしてみます。

 エントランスドアの高さ、上がりやすい階段の高さ、そして法規と、全てギリギリの線を狙って決めました。

 鉄筋コンクリートの建物は、1フロア毎に1ヵ月掛かるといわれます。

 この忙しない時代、ゆっくり進むのが鉄筋コンクリート造の建築。

 固く強いものが、早くできないのが建築の世界ですが、ある意味もっともだと思っています。

文責:守谷 昌紀

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「下町のコンクリートCUBE」-1-取材下見

 今週の月曜日は、久しぶりに「下町のコンクリートCUBE」へ。

 今は最も太陽高度の低い季節です。

 しかし、中庭を介しダイニングには光が差し込んでいました。

 この建物は、本当に敷地条件に恵まれています。

 目的は、テレビ取材の下見。

 まずはディレクターが、ハンディーカメラで下見の撮影をします。

 そして、実際に取材するかを決めるのですが、更にその映像をみて、本職のカメラマンが、どんな動きで、どんな撮り方をするかを決めるそうです。

 いつも思いますが、テレビというメディアは本当に多くの人が関わって出来るものだと実感します。

 また、決定したらお知らせしたいと思います。

 奥さんも元気そうで、四方山話をしていると、1つ違いに気づきました。

 前に居た、小型犬が見当たらず、若いゴールデンレトリバーが庭からこちらを見ています。

 聞くと、イングリッシュ・コッカー・スパニエルのボブは1年前に亡くなったそうなのです。

 2005年に計画を始めた頃、前の家は今の庭の部分にありました。

 そこで打合せをしていたのですが、ボブがやってきた時の事を明確に覚えています。

 私がくると繋がれるので、よく吠えられたものですが、可愛い犬でした。webサイトにも載せていたのです。

 新たにやってきた彼はボビー。彼が乗っているのは「TRUCK」のイスと言えば、驚く人が居るかもしれません。

 まだ1歳で遊んで欲しい盛り。

 何でも口にくわえて、持ってきます。

 家の中は6年が経たことを、全く感じさせない程、愛情が注がれていましたが、ボブのこと、庭木が、時間の流れを感じさせてくれます。

 諸行無常。時が縷々とした流れを止めることはありません。そして今年も終わりを迎えます。

文責:守谷 昌紀

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