タグ別アーカイブ: 高台

「高台の家 RC打放しの家」‐11‐庭と砂場ができていた

 この日曜日は、微妙な空模様でした。

 「高台の家」の3ヵ月点検へ。何とか雨は上がってくれました。

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 ダイニングのテーブルはブナの一枚もの。

 徐々に家具も買い足され、家は醸成されて行きます。

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 一番の変化は庭。

 竣工時は真砂土の状態でしたが、見事なものに変わっていました。

 ご主人、義父の共作です。

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 そのストーリーを聞き、孫娘への愛情を感じたこの砂場。

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 初めは、砂がサラサラ過ぎて団子が上手く出来ませんでした。

 赤土を混ぜてみると、今度は壊すのが大変なほど硬くなり。

 程良い硬さを求め、様々なブレンドを試して、ここにたどり着いたそうです。

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 こちらの机は奥さんがそのお父さんに作って貰ったもの。

 少し手を加え、娘さんに引き継がれています。

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 2階にあるソファーテーブルは、ご主人のお手製です。

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 以前よりセンスの良い方だとは思っていましたが、庭木の選択がまた素晴らしい。

 中央には株立ちのヤマボウシ。こちらは宝塚市の木だそうです。

 雑木林をイメージして、ソヨゴ、ハイノキ、シマトネリコ、シラカシ、マンサク等を選んだとのこと。それぞれの樹形がまた良いのです。

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 こちらは楽しみのトマト。

 現在、ご主人は週1回は庭木屋さんに通っているそうです。

 「ここまで庭いじりがが好きだとは思いませんでした」と。

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 「好きを突き詰めて行きましょう」というのが、私の物創りのポリシーです。

 好きがこの家によって増えたなら、これはとても嬉しいこと。

 「暮らしが始まってからの写真を」というのも私のポリシー。

 次回の訪問をとても楽しみにしています。

文責:守谷 昌紀

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「高台の家 RC打放しの家」‐9‐家は人となり

 2013年の8月に計画がスタートし、ようやく引渡しが終わりました。

 なかなか金額が合わない時「工事はいつ始めても良いから金額を合わせて欲しい」と施工会社に伝えました。

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 そんな荒業まで使い、何とかここまでやってきました。

 アプローチは西側から。

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 そして東の道路下から見上げた外観。

 南からの光を受けるため、2階では南東の眺望を得る為、階段は擁壁ぎりぎりに浮いています。

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 エントランスには、RCのベンチがあります。

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 1階のダイニング・キッチンにリビングの機能はありません。

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 それらは、全て2階の「P室」が受け持ちます。

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 この部屋、ピアノを置く予定で、当初は「音楽室」と呼んでいました。

 しかし、左奥に見える扉の中に、小さなピアノ室を設けることになりました。

 ご主人から「今、パンダのぬいぐるみが目に入ったので、この部屋を仮に『P室』としておきます」というメールがありました。

 以来、この部屋はP室になったのです。

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 明確な用途がある訳ではなく、空を見たり、星を見たり、時には雨だれを見たり。

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 その為に深い庇を設けました。

 庇の上には、簾が掛けられるように、フックもつけてあります。

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 「P室」の横に並ぶ部屋は「視聴覚室」。

 映画を見たり、音楽を聴いたりする空間です。

 「テレビは存在感が強いので、P室に置きたくない」と、明確にイメージを伝えて貰っていました。

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 坂のある街に家を建てることを決め、コルビジェのファンズワース邸、メキシコのバラガン自邸まで足を運んだクライアント。

 半面、ユーモアを忘れない人でもありました。

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 取り扱い説明の日、お子さんのテンションは上がりっぱなしでした。それを見る夫妻の眼差しが何とも優しい。

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 高台から見下ろすこの景色は、私達からのプレゼントです。

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 「ダイニングには、花を活けておく小さな棚があればいいなと思うんです」

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 家は人となり。そんな会話の積み重ねが、家を形作って行きます。

 生活が本格的に始まったら、また撮影に来たいと思うのです。

文責:守谷 昌紀

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「高台の家 RC打放しの家」‐8‐答え合わせ

 ようやく足場がとれました。

 初めて建物の全容を見る時、緊張もありますが、やはり心躍ります。

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 西側道路を下りながら、全体を確認。

 敷地を読み解けていたのか。自分達の提案は正しかったのか。答え合わせをするような感覚でしょうか。

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 季節によって、太陽高度、日の出、日の入りの位置は正確に分かります。

 冬は取り込み、夏はそれらをいかに防ぐか。

 代わらぬテーマですが、この家は内外コンクイリート打放しの為、特にそれらが需要だと考えました。

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 正面の西側は閉じ、メインの空間は南に開いています。

 1階はダイニングキッチン。

 キッチン設置の前ですが、床材が貼られ、空間の雰囲気が出来上がってきました。

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 2階はP室と呼ぶ部屋。こちらは広いバルコニーと、深い庇に囲まれています。

 P室の「P」に深い意味はありません。空を見上げたり、雨を眺めたりする、余白の部屋なのです。

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 バルコニーのコーナーには開口を切ってあります。

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 南の隣家を気にせず、南東に広がる大阪平野を見下ろす為のものですが、 紅葉した桜が、季節を視覚で感じさせてくれるのです。

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 この敷地は、東にも道路がありますが、4mの高低差があります。

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 クライアントは坂のある街を探し、この土地を選びました。住まい手が求める景色、風景とは。

 それらを感じ、実現する為に、設計という仕事があるはずです。

 「本当にかっこいいですね」と何度も言ってもらいました。私もそう思います。

 残すは外構工事のみ。建物外の部分でありながら、街に一番近いのが外構工事。最後の総仕上げとも言えます。

 建築とは、クライアントとの共同作業です。思いのずれがなければ、失敗はないはずです。

文責:守谷 昌紀

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「高台の家 RC打放しの家」‐7‐やっぱり青空が良くにあう

■10月10日(土) 3:30pm~6:00pm 京都BAL 地下2階
丸善<京都本店>にて
「無料相談会」に参加■

 前回、打放しは雨もいいと書きました。

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 しかし、青空は尚いい。

 僅かですが、上部が見えるようになりました。

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 10月初旬、1階ダイニング・キッチンの奥深くまで光が差し込んでいます。 

 左手にある階段を上ると、2階には「P室」と名づけられた、部屋につながります。

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 ル・コルビジェは「建築それは陽光のもとでの形態の正確かつ壮麗なるたわむれ」と言いました。

 秋の陽光が、壁、天井とたわむれているのです。

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 2階にある「P室」は、目的が明確な部屋ではありません。

 本を読んだり、光が壁に当たる様を眺めたりする部屋。いわば余白です。

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 余白は、更に外部の余白と深い庇でつながっています。

 日本建築で言う、縁側にあたる空間なのです。

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 現在は足場があるので、屋根上にも上がって来ました。

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 梅田の高層ビル群、阿倍野のハルカス、空気が澄んでいる日は、りんくうゲートタワーまで見えるそうです。

 簡単に、1時間位は経ってしまいそうな景色でした。

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 正面は西側ですが、階段のある東側は3mから4mの擁壁になっています。

 こちらの姿も、なかなか刺激的なものになるはず。足場が取れるのは、11月中盤あたりでしょうか。

 晩秋の陽光とたわむれる姿を、心待ちにしているのです。

文責:守谷 昌紀

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