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「回遊できる家〈リノベーション〉」‐7‐写真家はシャッターを押すのが仕事ではない

 昨年末ですが、「回遊できる家」の撮影をしました。

 当社の撮影は、人有りのカットを結構撮ります。

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 こちらのご家族はお子さんが4人。

 小1の長男君から、6カ月の三男君まで、男・男・女・男と、とても賑やかです。

 そして、仲がいいのです。

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 外観の撮影時も、お子さんがふらっと出てきてくれたら、その雰囲気を大切にしたいと思っています。

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 次男君が、三男君を気遣う場面。

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 今度は長男君が入ってきてくれました。

写真家の平井さんもそのあたりは心得たもので、寒い中、シャッターチャンスを待ってくれます。

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 撮影とは、風景の一場面を切り取る行為です。

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 光、人の手跡と空気感が写し出されます。

 ロフトの奥にはご主人の書斎スペースがあります。

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 そこから、リビングダイニングを見下ろせるようにしました。

 しかし、それを伝える手段は写真しかありません。

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 4人目の三男君は、このラグの上でとても機嫌がよく、ぐずる場面はありませんでした。

 「ラグはあってもいいですよね」とは、平井さんからの提案でした。

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 多少片づけてはいますが、やはりできるだけ暮らしぶりを伝えたいと思います。

 そんなワンカット、ワンカットの積み重ねが、私達のメッセージなのです。

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 人無しのカットも沢山あります。

 そんな時は、ご家族全員に隠れてもらいます。

 写真の知識、技術はもちろん大切ですが、もう一歩踏み込む勇気がその価値を左右する気がします。

 建築写真家は、シャッターを押すまでの準備、執着心にこそに差が出るのだと思うのです。

 撮影の前、彼は現場日記を一通り読んできてくれます。

 「守谷さん、現場日記は工事が始まったら、いきなり竣工という感じでしたね」と言われました。

 今年は、現場日記もできるだけ頑張って書いていこうと思います。

文責:守谷 昌紀

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「回遊できる家〈リノベーション〉」‐6‐オープンハウス開催

 今年の1月から工事が始まったこの計画ですが、6カ月の工期を経てようやく完成しました。

 クライアントのご協力もあり、オープンハウスを開催することになりました。

■■■オープンハウス開催■■■
日時: 7月3日(日)13:00~17:00

お名前、E-mailアドレス(またはfax番号)を
ご連絡下さい。地図をお送り致します。
tel 06-6703-0181 fax 06-7500-5920
office@atelier-m.com

11 - コピー - コピー

 初めて連絡を貰ったのは2013年の4月。

 設計期間は32カ月。途中、本当に色々なことがありましたが、「あちこちでお茶できる家」の28カ月を抜いて、設計期間第2位。

 ちなみに、1位は「四丁目の家」で51ヵ月。ここまでくると仕事と言うよりは親族のような感じです。

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 30坪程ある平屋を、ダイナミックな一室空間にリノベーションしました。

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 色使いなどは、奥さんのセンスで、愛らしい、大きな洗面です。

 お子さんが3名、この夏には次のお子さんも……

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 スタート時には、年少クラスだった長男君。この春には小学一年生になりました。

 私の写真も、一方的、伯父目線です。

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 辺りには、田んぼも残るのどかな雰囲気です。

 興味があるかたは気軽にご連絡下さい。

文責:守谷 昌紀

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「回遊できる家〈リノベーション〉」‐5‐臨機応変

 4月24日(日)14:00から、セミナーの講師をつとめます。

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 日本建築家協会主催で、会場は天六の大阪市住まい情報センター

 定員は100名ですが、現在の申込は50名程。昨年の半分だそうです。

 「済みません私の知名度不足で」と会場の担当者に言うと「ええ、タイトルがあまりだと思ってました」と結構ダイレクトな感想。

 「住まいは幸せの形」というタイトルにしたのですが、漠然としすぎていると言うのです。

 写真の露出があまり無いのでタイトルが全て。リノベーションをもっと前面に出した方が、受けが良いと言うアドバイスは聞いていました。

 新築も2、3軒取り上げるつもりでしたし、タイトルは私の哲学でもあります。やはり、受けの為のタイトルはいやだなと思っていました。

 しかし結果が全て。リノベーションに関しては、18年前から手掛けてきましたし、現在も3軒のプロジェクトが進行中。

 内容も、リノベーションを分厚くし、臨機応変に対応したいと思います。

 また、参加者の中から抽選で5月15日に「阿倍野の長屋」に私が案内します。

 時間がある方は、大阪住まい情報センターのページから是非申し込んでください。

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 告知が長くなりましたが「回遊できる家〈リノベーション〉」です。

 近所に幼稚園があり、見事な藤棚がありました。

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 桜の後。この時期、藤の淡い紫は本当に美しい。

 品、高貴、そんなことを連想させます。

37 - コピー この日は午後からの打合せでした。

 娘さんのみ保育園で、長男君、次男君が、現場に遊びに来てくれました。

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 勿論、現場には危険が沢山あります。奥さんはお腹が大きいこともあり、気が気ではなさそうでした。

 私は、打合せをスタッフの田辺と監督に任せて、2人をつれて出ました。藤棚のある幼稚園が園庭開放していたからです。

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 お子さんを見たり、危険がありそうなら叱ったり出来るのは、私だけだろうと判断しました。

 私が現場に居る方が、良いのは間違いありませんが、迷いはありませんでした。

 田辺のキャリアも9年目に入りました。前打合せをしていましたし、今回の内容なら解決出来ると思っていました。

 何より、それがベストだと思ったのです。判断とは、常に覚悟です。

 しつこいですが、場の雰囲気を見ながら、臨機応変に話をするつもりです。良ければ是非セミナーにも。

文責:守谷 昌紀

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「回遊できる家〈リノベーション〉」‐4‐屋根裏ほどワクワクするものはない

 今週末、大阪の桜はピークを迎えそうです。

 しかし今日は生憎の雨。花がおちなければ良いのですが。

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 「回遊できる家」は構造補強が終わり、間もなく、サッシが付いていく段階です。

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 工事を担当してくれるのは「阿倍野の長屋」に続いて市川工務店。

 そして大工工事も同じく「I親子」が担当してくれます。

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 電気工事の配線も始まっていますが、この家は屋根が高い。

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 よって、屋根裏も大きくなります。
 
 小学校に上がる長男君にも、少しのぞいて貰ったのですが、最高の笑顔で答えてくれました。

 この歳になっても、脚立を登りこの景色が見えて来た時、ときめきを感じます。

 フィンランドが生んだ偉大な建築家・アルヴァ・アアルトの愛読書は「ハックルベリー・フィンの冒険」だそう。

 男を駆り立てるのは、年代、時代を問わず、いつも答えの無い冒険です。

文責:守谷 昌紀

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「回遊できる家〈リノベーション〉」‐3‐活かし、歩み寄る

 内部解体が終わり、大工工事が始まりました。

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 従来の構造体を補強したり、柱位置を変えたりしながら、新たな空間を創造して行きます。

 この段階になり、抜けないと分かる柱が出てくることもあります。

 今回も、1ヶ所出来てきました。

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 リノベーションは、従来からの構造体と、新たな構造体のコラボレーションです。

 よって、一方側の論理では解決できないことが起こります。

 監督、棟梁、そしてクライアントに相談し、最も良いだろうという答えを探るのが私の仕事。

 互いを活かし、歩み寄る。それがリノベーションです。

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 また、現物確認にはこだわっています。

 現物と言っても、この段階ではスイッチも、コンセントもまだなく、原寸大の紙を貼り付けます。

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 鏡や、洗面カウンターの高さも、現場で、実寸を確認して貰うことにこだわっています。

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 模型も、同じことかもしれません。

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 設計図面がCAD化され、手描き図面はほとんど無くなりました。

 パース、3D、ウォークスルー(3Dの世界を歩いているような動画)と、データなら万能のような時代。

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 なおさら、縮尺こそ違えど、現物である模型が大切だと考えます。

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 視点を再現すれば、かなり正確に建物を把握することが出来るのです。

 データは簡単に変わりえます。現物は簡単に変わりえません。

 変わりえないものを、変わりえるもので設計する。この矛盾を理解していないと、物創りにおいての、深みにはまってしまうのです。

文責:守谷 昌紀

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「回遊できる家〈リノベーション〉」‐2‐リフォームローンとは

 実際「リフォームローン」とはどのようなものか。

 一般的に言えば、500万円から1000万円までが相場。

 一方、新築の住宅ローンは土地と一体で組むこともあり、4000万円位までは問題なく下りることが多いのです。

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 先日解体を終えたこちらの計画。

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 今回は、外壁、屋根はほぼ活かしますが、内部はスケルトンです。

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 南向きの掃き出し窓を入った景色。

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 奥から見返すとその大きさが良く分かります。

 この家は、140㎡弱(42坪)あります。新築で建てた場合を、仮に坪80万円で試算してみます。

 80万円/坪 × 42坪 = 3360万円。

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 新築に比べて追加されるのが解体・撤去工事。

 それが約100万円程掛かっていますが、それをひとまず除いたとして、工事費用が1000万円の場合は以下のような計算になります。

 1000万円 ÷ 42坪 = 23.8万円/坪

 壁紙の貼り換えや、設備機器のやり替えだけなら全く問題ありませんが、この規模の建物のフルリノベーションでは、正直難しいのです。

 建物の規模、リノベーション後の価値などを合わせて、融資の金額を決定して欲しいというのが希望ですし、それが時代のニーズなのです。

 クライアントは、いくつもの銀行に相談をしました。しかし「1000万円までなら」という回答ばかり。

 しかし一行、新築と同じような流れで審査してくれた銀行を見つけました。スムーズにとは言わないまでも決済がおり、ようやく着工となったのです。

 クライアントは「同じような希望を持っている人の励みになれば」と、言って貰いました。

 その過程も、詳らかにして行きます。

文責:守谷 昌紀

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