タグ別アーカイブ: 脳神経外科

松原/脳神経外科「うえだクリニック」‐5‐あなたもよくなれ、わたしもよくなれ

 今日は夏を思わせる日差しでした。

 現うえだクリニックから松原警察署へ抜ける長尾街道は、つねに混雑しています。

 活気がある素晴らしい通りと一度書きました。

 クリニック前には多くの自転車が停まっていましたが、地域の皆さんが求めてくれるのには勿論のこと理由があるはずです。

 入口に「新クリニックオープンは9月24日」と張り紙もでていました。

 現場の方も更にギアを上げていかなければなりません。

 屋根の防水工事が終わり、壁の補強工事が進んでいます。

 吹抜けとなっている待合には、足場が組まれていました。

 反対を見ると受付があります。

 このスペースは私が今まで設計してきたクリニックに比べても、かなり大きい方です。

 私は「もう少しコンパクトにしても大丈夫だと思いますよ」と伝えたことがあります。

 しかし、ここはゆったりした空間を確保してあげたいという院長の希望でした。

 反対に診察室は現クリニックより、少し広ければ十分とのこと。

 私としては天井を上げ、トップライトを取り入れることを提案させて貰いました。

 写真の右上の部分から光が落ちてくることになりますが、この空間も楽しみにしています。

 受付の奥にはスタッフ用の動線があります。

 まだ階段はありませんが、階段を上りこの廊下の突き当りがスタッフの更衣室。

 左に曲がると、吹抜けの背面に廊下があります。

 この廊下に面して、キッチン、スタッフルームなどが並んでいるのです。

 現クリニックは、これらのスペースがかなり小さく、院長は何とかしてあげたいと思っていました。

 これらも、クリニックを新築する大きな動機になっているのです。

 この空間にはトレッドミルが置かれる予定。

 ジムにあるランニングマシンと言った方が分かりよいかもしれません。脱衣室、シャワー室も備えています。

 院長はかなり本気のアスリートで、ここでトレーニングをするのですが、スタッフの中にも、昼休憩にジョギングをする方が居られるそう。

 類は友を呼ぶと言いますが、これほど健康的なクリニックはそうは無いかもしれません。

 現場を回っていたら、棟梁がアイスコーヒーを買ってきてくれました。

 最近のコンビニコーヒーの美味しさには驚かされますが、その気持ちが何より嬉しのです。

 監督、棟梁と少し打合せをしてから会社に戻りました。

 衣食足りて礼節を知ると言いますが、よい診療をするためには、やはりスタッフにも働きやすい環境を提供しなければなりません。

 この点が、クリニックを設計する際には特に大切だと考えています。患者さん一番と言うは簡単ですが、それができる理由が必要だと思うからです。

 相手を幸せにするだけで十分という、仏のような人も居るでしょうが、生身の人間は中々そうはいきません。

 しかし、相手を幸せすれば、確実に自分も幸せになります。

 これは尊敬する始道塾塾長の恩田さんに教えて貰った考え方です。

 「あなたもよくなれ、わたしもよくくなれ、みんなよくなれ」なのです。

文責:守谷 昌紀

■■■『大改造!!劇的ビフォーアフター』4月7日(日)BS朝日で「住之江の元長屋」再放送
■■■『デンタルクリニックデザイン事典vol.1』4月1日発売に「さかたファミリー歯科クリニック」掲載

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『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
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■『homify』5月7日「碧の家」掲載
『houzz』4月15日の特集記事
「中庭のある無垢な珪藻土の家」が紹介されました
「トレジャーキッズたかどの保育園」
地域情報サイトに掲載されました
大阪ガス『住まう』11月22日発行に「中庭のある無垢な珪藻土の家」掲載
『住まいの設計05・06月号』3月20日発売「回遊できる家」掲載
『homify』6月29日「回遊できる家」掲載

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建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

松原/脳神経外科「うえだクリニック」‐4‐現場は全てを知っている

 関西地方が梅雨入りする前日、「うえだクリニック」の建方工事がスタートしました。


 
 基礎工事、配管工事までは非常に順調に進んでいました。

 消費税の駆け込み需要もあってか、プレカットにかなりの時間を要してしまいました。

 しかし泣き言を言っている時間などありません。

 早速、建方1日目の現場へ行ってきました。

 きわめて人通りの多い長尾街道ですが、道路の使用許可もギリギリの建方工事となりました。

 安全を預かる警察としては、勿論「出来るだけ出っ張らないよう」、工事をする側は「仮歩道をつくるので、ここまでの許可を……」といった交渉になるのです。

 建築とは、人手と時間が兎に角かかるものなのです。

 1階の柱を建て終わったところで、昼休憩となったようです。

 建築現場では垂直のことを「たち」と言います。

 たちのでていない柱はまるで、枝葉の無い林のよう。

 それが微調整され、梁と繋がれた時にピリッとした景色に変わります。

 1階エントランス部は、条例によるバリアフリー対策と、重量のある医療機器を搬入するため、段差はほぼありません。

 うず高く積まれているのは羽子板ボルト。

 その数は、現代の木造建築がいかに頑丈かを視覚で証明してくれます。

 この日は、2階床の合板まで張る予定だと、顔見知りの大工が教えてくれました。

 私はここでタイムアップ。

 翌々日の梅雨入り2日目、朝一番に再訪しました。

 躯体は2階まで組みあがり、ピタリとたちもでています。

 この段階でも、この建物のポテンシャルを感じさせてくれるのです。

 先程の、段差ゼロのエントランスからクリニック内に入っていきます。

 正面に受付を見ながら、左手が待合。

 2層吹抜けの空間は、優しい光が差し込むよう設計しました。

 受付横にメイン通路があり、右に診察室、左に検査室が並んでいます。

 丁度コンクリートの道が、高度な医療機器が通っていく花道です。

 奥に掛かっていたハシゴで2階に上がります。

 2階は全てバックヤードですが、とても面白い空間構成になっているのです。

 吹抜け部にはキャットウォークのような空間があります。

 その両サイドが外部となっており、間接光を高い位置から取り込みます。

 患者の人は上がれませんが、奥まっているところがポイントで、その部分は院長が年に1、2度掃除してくれることになっているのです。

 全ての柱に「うえだクリニック」と刻印があります。

 同じく梁にも。

 枝葉の無い林が、柱、梁と役割を与えられたとき、材木から建築となって行きます。

 役割がそれぞれの価値を持たせるのは、人であれ、材であれ全く同じです。
 
 自由で居たいと反発する人を見ることがありますが、自由と怠惰をとり違えているのではと言うと、言いすぎでしょうか。

 仕事が好きそうな、若いオペレーター君。

 まだ20代だそうで、ここで昼ごはんを食べていました。

 穏やかな、熟練の大工。

 ブルーシートを日よけにしての昼食です。

 仕事が好きで、現場が好きな人と会うと、それだけで気分が良いのです。

 独立してすぐは、人など雇えないので、クライアントからの電話も、営業を断るのも、現場からの電話も、全てひとりで受けていました。

 休憩時間などと言うものは、私にはありませんでした。

 今も人手不足で、それに近い状態に逆戻りしていますが、それでも何とかやっていけます。

 楽しく、充実した人生を歩みたければ、仕事を好きになるしかないのです。特に男にとっては。

 友達が居ない私が孤独を感じないのは、家族が居ることと、仕事好きの人間と、時々会うことが出来るからだと思います。

 正直に「時々」と書いたのですが、できればそんな人とだけ、仕事がしたいものです。

 一歩一歩前に進んでいっている実感はあります。自分の仕事人生の中で、目標にどれだけ近づくことができるのか。

 現場だけが全てを知っているはずなのです。

文責:守谷 昌紀

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松原/脳神経外科「うえだクリニック」‐3‐必ず勝つ

 前回まで、医院の場所を南大阪と書いてきました。

 移転をまだ公式にアナウンスする前だったからですが、晴れてその環境を説明できます。

 近鉄、河内松原駅から北に商店街が伸びています。

 この商店街は中高野街道で、守口と高野街道を結ぶ南北の主要街道でした。

 駅から40m程北上すると、東西を走る長尾街道にぶつかります。

 交差点には「阿保(あお)茶屋跡」の石碑があり、当時からの賑わいを知ることができるのです。

 この長尾街道を西に200m程進むと国道309号線(内環状線)にぶつかります。

 この交差点が「松原警察西」。

 桜の御紋が輝いていますが、近くに警察があるのは、治安面においては何とも心強いもの。

 その「松原警察西」と「阿保茶屋跡」の中央あたりに、現「うえだクリニック」はあります。

 この長尾街道は、現在もよく整備されており、非常に人通りの多い生活道路なのです。

 うえだクリニックの一番の特徴は、MRIやCTなどの最新設備を使った、脳神経外科の専門性です。

 この日も多くの自転車とまっており、時折のぞく待合室は一杯でした。

 より高度な診療機器を導入し、より快適な待合を備えたクリニックにしたい、という院長の動機がこの計画の推進力になりました。

 新敷地は、現クリニックから約60m東に行ったところ。

 院長は、以前近くの総合病院に勤めていましたが、この活気ある長尾街道がともて気に入っていたと言います。

 私も何度か足を運びましたが「ここはベトナム?」と言いたくなるほどなのです。

 警察の前から、クリニックの前まで渋滞が連なることもしばしば。

 広い歩道は、ひっきりなりに人が行き交います。

 現場は基礎が立ちあがり、いよいよ建方を待つ状態になりました。

 その前に、埋設配管を埋める作業が続いていました。

 現在も繁盛医院ですから、新しいクリニックを設計する私としてはプレッシャーも感じます。

 クリニックの専門性、人柄、活気ある環境、そして最新の医療設備。更にクリニックは大きく、新しくなります。

 これで発展がなければ間違いなく私の責任です。

 長らくこの仕事をしてきましたが、「必ず勝つ」と決めています。

 建築はかなりの金額が掛かりますし、やり直しはほぼ出来ません。よって、負けることなど許されるはずもありません。

 その時に、一番大切なことはやはり「人」だという結論に至りました。

 建築家・高松伸さんも「建築家にとって最も大切なものはクライアント」と言われていました。

 私に友達は居ませんが、クライアントには大変恵まれているのです。

文責:守谷 昌紀

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松原/脳神経外科「うえだクリニック」‐2‐小さなトップライト2つ

 暑い、熱い4月後半になりました。

 現場では、型枠大工が3名。

 汗を流しながら基礎の立ち上がり部を組み上げています。

 親方は50歳中頃でしょうか。

 若者2人を含めて3名のチームですが、1人はもしかすると10代かもしれません。

 若者の現場離れが進む中、1人でも居てくれると嬉しいですし、一声掛けたくなります。

 「是非またウチの現場にきてよ」と伝えました。

 当然ですが、建物は地面に近いところからでき上がって行きます。

 スポーツでも足腰が大切なように、基礎がしっかりしていなければ、地震に耐えられるはずもありません。

 整理整頓がされた現場に、悪い仕事があることはないのです。

 基礎を見れば、敷地一杯だということと、細かい間仕切壁が沢山あることが分かります。

 クリニックという性格上、多くの機能=部屋が必要になってくるのです。

 その中でも、中枢部であり、かつ司令塔となるのが診察室です。

 経験上ですが、院長は自らの診察に適した空間の大きさをよく把握しています。

 かなりの時間をこの空間で働くので、少し大きめの、ゆったりとした空間を提案するのですが、ジャストサイズを指示して貰うことが殆ど。

 人気のクリニックなら、ナースがテキパキと動いている姿を思い浮かべることが出来ると思います。

 無用に大きい空間では、動きに無駄がでてしまい、診察の質が落ちてしまいかねないのです。

 その空間を少しでも快適にしたいと思い、ある提案をしてみました。

 反対に、待合室はゆったりと大きく確保しています。

 南面のもっともよいエリアを贅沢に使い、吹抜けとしました。

 高い位置にある正面のルーバー越しに、かつ側面から、柔らかい光を取り込むことに注力しています。

 2つある診察室には、小さなトップライトを提案しました。

 模型を俯瞰した写真が分かりやすいでしょうか。

 様々な患者さんが来院するので、明るすぎるのも問題となりえます。

 よって、その光を止めれるような機能を持たせ、望遠鏡のような長いストロークをとりました。

 これによって、より間接光に近いものとなるのです。

 地域の皆さんに長く愛される医院を目指します。

 その為にはここで働く皆さんに、この建物、この空間を好きになって貰わなければなりません。

 そんな大それたことが出来るのかは分かりません。

 それでも目指さなければ、現実となることはないはずです。

 この小さなトップライト2つに、創り手としての気持ちを込めたつもりなのです。

文責:守谷 昌紀

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松原/脳神経外科「うえだクリニック」‐1‐プロローグ

 南大阪の幹線道路北側に「Uクリニック」の計画地はある。

 間口は15m程あり、日当たりもよい。

 全面道路はひっきりなしに車が往来し、駅が近いこともあって、自転車、歩行者も多い。大変に活気のある通りだ。

 3月末、土地の掘削から工事がスタートした。

 この地に木造2階建ての、クリニックを新築するのだが、本クリニックは脳神経外科・内科が標榜されている。

 院長はドイツ留学などを経て、その職能を研鑽してきた。脳に対しての高い専門性が一番の特徴である。

 設備においての特徴は、CT、レントゲン等とともに、最新鋭のMRIを備えていることだ。

 MRIは、磁石による強い磁波と電波を使って、体の断面映像を撮影するので、被ばくがなく体に優しい医療機器なのである。

 最新鋭の医療機器を導入するために、キュービクルという小さな変電所も敷地内に設ける必要がある。

 建物のコンセプトは回を改めようと思ったのは、現場を視察したからだ。

 良い診療をするためには、最先端の医療機器も必要だし、広い待合も欲しい。

 法が許容する最大の建物を計画することになり、工事車両を止める余白もない。

 しかし、建物西側にはキュービクル置場がある。

 それもギリギリで計画したのだが、職人はここに工事車両を停めるという。

 後輪の半分は、空中を通過しながらも見事に納まった。

 これも日々の研鑽の成果と言える。

 西も北も境界ギリギリ。

 東の奥もギリギリ。

 道路側もギリギリ。

 何もかもギリギリだが、数センチの精度で、ユンボを操る様を見るのはとても楽しい。

 実業の誇らしさを感じる瞬間だ。

 昨年だったか、ある映画監督がITを「虚業」と表現した。それに対し、ITの寵児が牙をむいたというニュースがあった。

 表現の自由は常にあるが、他者を非難する必要はない。ただ、気持ちとしては理解できる。

 この不器用な男たちの力仕事と技術なくして、建築という実業はなりたたないのだ。

 どんなクリニックとするのか?

 ここまでに院長とは20回程の打合せを重ねたが、コンパスは同じ方向を指していると確信している。

 その成果をこの秋に収穫するつもりである。

文責:守谷 昌紀

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