「中庭のある無垢な珪藻土の家」‐10‐何とか引越しの改善策

 昨年の10月末にスタートしたこの計画ですが、ついにというかようやくというか、引越しの朝をむかえました。

 朝一番にのぞきにいくと、中庭のルーバーがまだ施工中。

 職人の人たちに罪はありませんが、何とかお昼までには仕上げてもらいたいところです。

 本格的な荷入れは午後からですが、家具の荷受けにクライアントのお父様が見えていたので、ご挨拶とお詫びを。

 こちらの奥様はとてもお忙しので、家事動線や、空間の使い方を、初めから明確にもっておられました。

それが、最もよく分かるのが、キッチンの並びにある2畳ほどの和室です。

 キッチン立ちながら、お子さんが昼寝をしていても見える位置にあります。

 壁にある扉を開けると、洗面脱衣室に抜ける棚があります。

 こちらには扉がなく、右端に棚が見えています。

 和室側を見返すとこんな感じ。

 これも、何とか日々のくらしを楽しく、効率よくしたいという強い気持ちが、このプランを実現しました。

 洗面脱衣のタイルもそうですが、1階トイレの壁のなかなかかわいいセレクトです。

 この壁が斜行しているのは正面の舳先部分の裏にあるからです。

 2階は寝室部分ですが、舳先裏にクローゼットを配置してあります。

 中に入るとその形がよく分かります。

 サイドのスリットもこの建物の特性を考えデザインしました。

 本当に何とかかんとか、引っ越しを終えてもらいました。

 常にギリギリになってしまうのは、何とか改善してもらわなければと思います。

 改善にむかう動機は反省しかないと思います。

 「あの時、こんな手を打っておけば、もっと早く、精度のよい仕事ができたのでは……」

 言い訳せず、そんな反省の気持ちを持ち続けるしか、進歩の道はありません。

 人は誰しも弱いのです。しかし、奥歯がすり減るくらい歯噛みしたことがある人なら、次こそはと思うのでしょう。

 人生は、後悔、後悔、また後悔。反省、反省、また反省。そして、ちょっと進歩。

 そんな感じだと思います。

 同じ結果でも、その時間軸で評価は全く変わることを、プロは認識しておかなければなりません。

文責:守谷 昌紀

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