内部解体が終わり、大工工事が始まりました。
従来の構造体を補強したり、柱位置を変えたりしながら、新たな空間を創造して行きます。
この段階になり、抜けないと分かる柱が出てくることもあります。
今回も、1ヶ所出来てきました。
リノベーションは、従来からの構造体と、新たな構造体のコラボレーションです。
よって、一方側の論理では解決できないことが起こります。
監督、棟梁、そしてクライアントに相談し、最も良いだろうという答えを探るのが私の仕事。
互いを活かし、歩み寄る。それがリノベーションです。
また、現物確認にはこだわっています。
現物と言っても、この段階ではスイッチも、コンセントもまだなく、原寸大の紙を貼り付けます。
鏡や、洗面カウンターの高さも、現場で、実寸を確認して貰うことにこだわっています。
模型も、同じことかもしれません。
設計図面がCAD化され、手描き図面はほとんど無くなりました。
パース、3D、ウォークスルー(3Dの世界を歩いているような動画)と、データなら万能のような時代。
なおさら、縮尺こそ違えど、現物である模型が大切だと考えます。
視点を再現すれば、かなり正確に建物を把握することが出来るのです。
データは簡単に変わりえます。現物は簡単に変わりえません。
変わりえないものを、変わりえるもので設計する。この矛盾を理解していないと、物創りにおいての、深みにはまってしまうのです。
文責:守谷 昌紀