「回遊できる家〈リノベーション〉」‐1‐プロローグ

 国は、空き家をなくす為「リフォーム、リノベーションを推進する」とアナウンスしている。

 当たり前だが、新築にしろ、リノベーションにしろ、建築にはお金が掛かる。

 ここのところを抜きにして、いくら推進しても前には進めない。

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 この計画は、リノベーションして向かいの家に引っ越すという、ちょっと変わったものだ。

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 現在の家が左、引っ越す先が右。

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 家族が増えるに従って、現在の住まいが、少し手狭になってきたのがリノベーションの動機である。

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 向かいの家は、築38年。ご主人の生家でもある。

 一回り大きな家だが、昔ながらの日本家屋。軒が深く、内部まではなかなか日が届かない。

 この部分を解決しようというのが、まずは本計画のテーマだった。

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 そんな問題を解決するのが私達の仕事。

 提案をクライアントに喜んで貰ったのだが、銀行はリノベーションに対しての融資が渋いのだ。

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 リノベーションとは建物の価値を高めるの意。

 既存建物を活かし、空間の価値を高めるのと、壁紙貼り換えのリフォームでは、勿論工事の規模も変わってくる。

 この辺りの現実を、政治、金融とも把握し、言行一致して貰いたい。

 新築と全く同じと行かないまでも、扱いの差が大きすぎるのだ。

 しかし、何でもトライしてみるものだ。非常に理解のある銀行が何とか見つかり、無事工事スタートにこぎつけた。

 計画の依頼を貰ったのは2013年の4月。融資だけが理由ではないが、工事がスタートするまで、約3年の時間が掛かった。

 「明るく」がサブテーマなら「長く子供と仲良く」がメインテーマ。

 クライアントのこの前向きなテーマがなければ、ここまでたどり着けなかったかもしれない。

 計画の推進力は、クライアントの真剣な思いだとつくづく思うのだ。

文責:守谷 昌紀

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