「滋賀の家」‐3‐親子は風見鶏

 先週水曜日は、配筋検査で野洲の現場へ。

 琵琶湖対岸に見える、比良山系もうっすらと雪化粧。

 建物が完成すれば、2階からの景色は更に素晴らしいものとなるはず。

 住宅瑕疵保険の検査は、問題なく合格。朝10時に着いた時から、直接の光が当たっていました。

 ここは、戦国時代まで城だった敷地。周囲は人工の土塁に囲まれています。

 その上に杉が育ち、その高さをどう解釈するかがポイントでした。

 その土塁の裏は矢場となっています。矢場とは、戦に備え弓矢の練習をする場所の事。

 この場で、400年前まで実際に矢を射ていたのです。

 打ち合わせに、離れの一部屋を借りていました。そこで出して貰った石油ストーブがかっこいいのです。

 聞くと、亡きお父さんの愛用品で「アラジン」というイギリス製のもの。石油の減りも少ないという事でした。
 
 家に対し、夢やこだわりを持っている人が私たちのクライアントです。それらは、原体験の良かったところ、そうで無かったところが、基準となっていることがほとんどです。心理学者で、文化庁長官もつとめた河合隼雄は、著書にこう書いています。

 「親子は風見鶏のような関係。同じ方向を向くか、反対を向くかになる。それほどまで影響が強い」
 
 よって両親、祖父母から、好み、センスにも多くの影響を受けていることになるのです。こんなストーブがある家なら間違いありません。 

 時代が時代なら、この敷地には入れなかったはず。良い時代に生まれたものです。

文責:守谷 昌紀

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