「8.8坪の家」-14-逞しくも1年点検

 2012年の年末、バタバタと引っ越しをお願いしたのが、随分前のような気がします。

 あっという間に1年が経った「8.8坪の家」。

 こちらの家は、夫妻と4匹の猫が暮らします。引っ越し時は2匹だったのが、子を産み4匹になっていました。

 子猫は警戒心が少なく、人懐っこいのです。

 猫と暮らす家は、爪とぎの話が良くでます。こちらの家では全く無かったそうです。

 しかし、3階の手すりの角には体を擦りつけるよう。若干塗装が落ちていますが、これも暮らしの手あとです。

 幅3m、12坪の敷地に、駐車場のある幅2.7mの家を設計しました。

 かなりのローコストゆえ内部扉がなく、夏の暑さと、冬の寒さは多少こたえるもの、とても楽しく暮らしているとのこと。

 「友達に写真を見せたら、びっくりするんですよ」とは奥さんの弁です。

 テレビ番組のオファーもあったのですが、ご主人が「自分が映らなければ、何でも協力しますよ」と。「取材に来た日に、出張だといって消えてしまいましょうか」とも。

 そこまで無理強いはできないので、勿論断ることになったのです。

 3階の浴槽前には緑も置かれ、なかなかの解放感です。

 一緒に家を建てたので、他人事ではありませんが、人は逞しいものだと思います。
 
 この逞しく、小さく、豊かな家を、できれば世間へ問うて見たかった、というのが偽らざる本音です。
 しかしまだ諦めてはいません。

 まだ家具も検討中とのことで、雑誌なら大丈夫ですかと、ご主人に問う私。逞しい人と仕事をし、私たちも少逞しくなって行くのです。

文責:守谷 昌紀

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「滋賀の家」‐3‐親子は風見鶏

 先週水曜日は、配筋検査で野洲の現場へ。

 琵琶湖対岸に見える、比良山系もうっすらと雪化粧。

 建物が完成すれば、2階からの景色は更に素晴らしいものとなるはず。

 住宅瑕疵保険の検査は、問題なく合格。朝10時に着いた時から、直接の光が当たっていました。

 ここは、戦国時代まで城だった敷地。周囲は人工の土塁に囲まれています。

 その上に杉が育ち、その高さをどう解釈するかがポイントでした。

 その土塁の裏は矢場となっています。矢場とは、戦に備え弓矢の練習をする場所の事。

 この場で、400年前まで実際に矢を射ていたのです。

 打ち合わせに、離れの一部屋を借りていました。そこで出して貰った石油ストーブがかっこいいのです。

 聞くと、亡きお父さんの愛用品で「アラジン」というイギリス製のもの。石油の減りも少ないという事でした。
 
 家に対し、夢やこだわりを持っている人が私たちのクライアントです。それらは、原体験の良かったところ、そうで無かったところが、基準となっていることがほとんどです。心理学者で、文化庁長官もつとめた河合隼雄は、著書にこう書いています。

 「親子は風見鶏のような関係。同じ方向を向くか、反対を向くかになる。それほどまで影響が強い」
 
 よって両親、祖父母から、好み、センスにも多くの影響を受けていることになるのです。こんなストーブがある家なら間違いありません。 

 時代が時代なら、この敷地には入れなかったはず。良い時代に生まれたものです。

文責:守谷 昌紀

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「神戸の高台の家」‐3‐チーム・チョコレート

 今年の冬は寒い日が続きます。

 昨日もかなり降りましたが、先週金曜日も、夜になると深々と雪が降ってきました。

 遅い時間に監督から電話があり「明日は雪で無理かもしれません」と。翌、午前中。

 何とか到着できましたと連絡があり、私たちも現場に向かいました。棟梁と話しをしていると、その間もキリを研いでいます。

 職人にとって、道具はまさに商売道具。

 この現場で、棟梁とは4件目の仕事になります。

 1階の柱、梁の補強が概ね終わりました。過去はいずれも新築でしたが、リノベーションこそ経験がものを言うもの。息子さん、監督と共に、頼りにしているのです。

 2階は大空間とするため、柱と梁を整理して行きます。想像していた梁組と違うところがあり、抜けない柱が何本かでてきました。

 このあたりはクライアントへ説明し、理解を求めます。難しくも面白いのが改修なのです。
 

 バレンタイン前ということで、奥さんからチョコレートのプレゼントがありました。

 棟梁とその息子さん、監督と私と当事務所のスタッフ。5人全員に頂きました。

 楽器がモチーフとなったパッケージでsince1923とあります。その日の夜、あっという間に全て頂いたのです。

 施工会社は、常に競争見積りで決定します。必然的に、プロジェクト毎、違うチームで仕事をすることになります。

 チーム・チョコレートは最後まで、現場にかかわる5人です。職能を持ち寄り、良い仕事をし、奥さんに報いなければなりません。 

文責:守谷 昌紀

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「千葉の家」‐10‐自宅で雪見風呂

 千葉の家のクライアントから、大雪の写真が届きました。

 雪の中、レンガの外壁がなかなかに映えています。

 「自宅で雪見風呂」を堪能いたしました!と、昨日メールを貰いました。千葉は今や雪国です。 

 かまくらの写真もあり、雪の休日を満喫しているとの事。

 風呂は2階にあるため、ユニットバスにしています。

 裸でもバルコニーに出られるよう、大きな出入り口を備え、腰壁もかなり高くしました。それが、ご主人たっての希望だったのです。

 バルコニーにも降り積もる雪。いよいよ雪見風呂の写真です。

 もう説明は不要でしょうか。

 念のためですが、ご主人に了解は貰っています。

文責:守谷 昌紀

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「黒壁の家」‐10‐竣工

 先週の金曜日、晴れ予報をみて撮影に行ってきました。

 もう一度、写真家に撮って貰いますが、まずは自分で撮影です。

 空を青く、建物をくっきりと。簡単なようで、難しいものです。

 濃い色の建物は、夕景が難しいのです。

 光が漏れ出すのが、白い建物より遅くなります。

 そのうち日が暮れてくる。相手は自然なので、待ったなしです。 

 LDKは2月でも十分光が差し込みます。

 中庭と建物の関係は、慎重に計画したところです。

 洗面は清潔感を大切に。

 鏡は後ろが収納になっています。

 浴室は、中庭を見ながら入れるよう。

 ともに、白と濃い色で構成しました。

 洗濯室は、天窓を3つ連続させています。

 これからの季節、花粉症対策にその価値が発揮されるはず。

 5m四方の中庭が、この家を活き活きとさせます。

 立地条件に関わらず、豊かな野外をいかに内部にへき入れるか。この変わらぬテーマを追求してきました。

 コンセプトは「孫が遊びにきてくれる家」。

 子供は厳しく育て、孫は甘やかす。これはご主人の哲学です。

 計画から1年半を掛けて、ようやく竣工しました。

文責:守谷 昌紀

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