「黒壁の家」-3-環濠のあった街

 計画のオファーを貰った際、まずは土地について調べます。


 建物は土地と切り離せないもの。

 その場所の歴史を知る事は、重要な事とだと考えています。大阪なら、6千年前の地形をイメージすると、分り良いのです。

 大阪の西の玄関、住吉の港から少し東に入ったあたり。上町台地の上にあり、概ね地盤がしっかりしていると想像できます。

 計画地から少し歩くと、幹線道路が南北に通っています。

 この道を境に、2m程の高低差があるのです。海岸線の名残なのかなと思っていました。

 クライアントのご両親に聞くと、堀が有ったと分りました。こちらは環濠都市だったそうです。

 環濠都市とは、商人が自衛の為、周りに堀をめぐらせた都市を言います。最も有名なのは堺郷。平野郷も大きな環濠都市で、共に信長が重用した宣教師、フロイスの記述にも出てくるのです。

 それらが、計画に直接の影響を与えるかは別ですが、古の風景が想像出来ると、更に愛着も湧いてくるものです。

 何千年もの間、ここには暮らしがありました。そして今この家が建つのです。

文責:守谷 昌紀

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「千葉の家」-5- 屋根の上で宇治金時

 8月20日(火)は、10:30amには現地につきました。

 3時の休憩には、クライアントからアイスの差し入れ。宇治金時を食べるのは何十年振りでしょうか。

 高い所で食べるアイスは、とても美味しく、かつ涼しいのです。

 どこで食べたかと言うと、建物正面の一番上。ここに庇があり、へこみがあるのが見れるでしょうか。

 足場がある、今だからこその醍醐味です。

 奥さんは、非常に身軽な人です。ハシゴのないロフトまで、ヒョイヒョイと登ります。

 ここからの景色がなかなか良いのですが。 

 工期が遅れ気味で、ご迷惑を掛けています。しかし「職人さん達に無理をさせないでくださいね」という気遣いまで。

 物創りと言っても、人と人の関係から生まれて来るもの。その気遣い、期待に応える仕事をしなければなりません。

 千葉通いも今回で12回目になりました。あと何回現場に来られるのか……

 常磐線に乗り換えるのが上野駅。初めて通った時、その天井の低さに、驚いたものです。

 京都も、大阪も暑いですが、東京も暑い。

 ジリジリと高層ビルを焼きつける様が、尚そう感じさせます。

文責:守谷 昌紀

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「黒壁の家」-2-着工

 今回の計画では、古家が建っています。

 
 よって、まずは解体からスタート。現在の解体では、分別が義務付けられています。

 木材、畳、石膏ボード等、選り分けながら解体するのです。以前の解体とは打って変わって、非常に繊細な仕事になって来ました。

 クライアントと残すものがないか、最終の確認に来ていました。いくつかの部屋に似顔絵が。

 クレヨンでお子さんが描いたものです。

 以前、解体前の家も撮らせて欲しいという建築写真家がいました。

 「生れたばかりの家を撮って来たから、最期を迎える家も撮ってみたくなって」と言っていたのです。

 ご家族は「古家付きを買っての建て替えなので、そこまでの愛着は……」と言われたのですが、それでも色々な思い出があるはずです。

 この試みはとっても良いものだと感じました。他のクライアントへも勧めてみようかと。

 新たな家への期待と、責任を感じながら、いよいよ着工です。

文責:守谷 昌紀

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