「四丁目の家」-16-黒板

 先月の終わりに現場へ行ってから、なかなか東京に行けていません。

 次回は最終検査の時になりそうです。12月の中旬頃でしょうか。

 2階は若夫婦世帯が暮らすエリアです。

 リビングの壁には黒板があります。壁に黒板塗料を塗った、小さいですが本物の黒板です。

 黒板は意外にリクエストが多いのです。
 
 学校に対して、良い印象がある人も、そうでない人も、やはり空間へ対する原体験となっているのは間違いありません。

 特に、小学校の6年間というのは、その長さ以上に、人の成長に大きな影響を与えていると感じます。

 例えば、教室の床にワックッス掛けをして事を懐かしそうに話す人は本当に多いです。

 その時、皆で作業した雰囲気やその匂いまで克明に覚えていたりするものです。

 また、そこにあった無機質とも言える時計が、結構好きだったとか、妙な机を買うくらいなら、教室の机の方が好きだ、と言ったクライアントも居ました。

 ノスタルジックな気分も合わせてでしょうが、機能、価格を追求した物は、意外と良い物が多いのです。

 黒板はその中でも、象徴的なものと言えるでしょう。

 ホワイトボードでも機能は同じですが、あの黒緑色の板に、白いチョークで書きたいという欲求は、よく分かる気がします。
 
 何度でも消せるというのが、最大の魅力というのも間違いありません。

 2階のキッチンがようやく据え付けられました。

 このエリアはモノトーンの感じでまとめています。

 ウンテイの塗装も済んでいます。

 虹の配色が、モノトーンの空間に遊びを加えます。

 このウンテイはバルコニーまで続きます。

 流石に先端部まで行くと危険なので、途中で止めていますが、それでもかなりの高さです。

 機能として続いているといるのですが、外と内を繋げたいという意思表示でもあります。

 洗練された空間に、遊び心を取り入れ、都心でも光、風、雨を感じれる家。

 そんな感じをイメージでして考えました。 

文責:守谷 昌紀

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