「ドタバタ広場のある家」-25-取材と1年点検

「ドタバタ広場のある家」の竣工は2009年10月末。1年と3ヶ月が経ちました。

 本来なら昨年10月に実施する1年点検ですが、年末年始に色々な行事があるのでこの時期に、とクライアントから連絡があったのです。

 約束の時間より少し前につくと、ご主人も慌ただしく庭の掃除中。

 実はある住宅誌から、取材の申し入れがありました。

 この日に合わせて朝から取材、昼過ぎから1年点検と無理を言っていたのです。

 中に入ると、竣工写真を撮った時と全く変わらない程、むしろそれ以上に、美しく整理整頓されていました。

 奥さんには、相当な負担を掛けてしまいました。

 10:30amに編集とカメラマンの方が東京から到着。

 下のお子さんは、昼から野球の練習というのもあり、早速取材が始まりました。

 彼は午前の練習を休んで、協力してくれました。

 折角の休日を割いてくれたお姉ちゃんにも、感謝しかありません。

 取材中も彼が読んでいたのはベーブ・ルースの伝記。

 好きな選手はイチローだそうです。

 イチローのように俊敏で、ベーブ・ルースのようなパワーを持った選手になってくれるかもしれません。

 2:00pm頃まで取材は続き、無事終えることが出来ました。

 その後、建設会社の社長、監督と一緒に、1年点検に回りました。

 リビング・ダイニング前にあるドタバタ広場の床仕上げを、色モルタルにしているのですが、その色褪せとクラックが、一番の課題になりました。

 塗装系仕上げの提案もあったのですが、もう少し検討することになりました。

 一部の住宅誌を除いては、生活感のある、美しい写真が求められます。これは、実際の暮らしに入ってからの撮影となり、クライアントには負担を掛けます。

 それでも、可能な限りお願いしてきました。

 理由は、未来のクライアントへ直接発信したいから。仕事には、何重もの介在者が居たりしますが、原点はどういっても、直接の関係だと思うのです。

 雑誌の発売は3月下旬。またお知らせします。

 文責:守谷 昌紀
建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm
守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

「Shabby House」-23-スチール

 先日の引っ越しから、実際の暮らしが始まっています。

 2階奥にあるキッチンはイケア製。

 光庭を介してここまで光が届き、とても明るいとのことでした。

 建築工事では、建物以外の外部を「外構」と呼びます。

 例えば塀や門扉、植栽などですが、本体工事と区分けするのが一般的です。

 しかし実際には、建築と切っても切り離せません。もっと言えば、建物の前にくるので、その建築の印象を決定付ける場合もあるのです。

 門扉の取り付けが行われました。

 最終的には黒に塗装するので、現在の方がフォルムは良くわかります。 

 1階窓の面格子も、スチールの制作物。工場で職人が手作りします。

 とてもシャープに、かつ可愛らしく仕上がりました。

 現在では、錆びにくいアルミが多く使われますが、以前はスチールが主流でした。

 スチールは堅い素材なので、同じ強度なら、部材はずいぶん細く済みます。

 難点は錆びですが、これも時々ペンキを塗る覚悟があれば大丈夫。

 メンテナンスフリーも良いのですが、手を掛けてあげるのも、それ以上に価値のあることだと思っています。

文責:守谷 昌紀

建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm
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「頑張れる家(イタウバハウス)」-16-1ヶ月点検

 竣工が昨年末だったので、1ヶ月点検に行って来ました。

 納品出来ていなかった、木製建具や網戸の加工などもあり、私たち、施工会社の職人で玄関は靴でいっぱいに。

 コストを抑える為、郵便物は外壁にある口から、直接投入されます。

 それを受けるカゴがとてもセンスのいいものでした。

 家具と共に、旭区に引っ越したTRUCKで購入したそうです。

 この家具屋さんは本当にファンの多い店です。

 外部を覆うルーバーには、一か所開口が空いています。

 お子さんが小さい間は、何らかの方法で閉じたいと聞いていました。

 その方法が素晴らしかったので、UPで載せてみます。

 周囲に、小さなリングを付けて、ワイヤーで一筆書きのように格子を描き、最後に金具で絞めてあります。

 本当に良く考えられているのです。

 こういうのを見ると、専門家っていったい何、と思ってしまいます。

 昼一番で伺ったのですが、お子さんはたまに居るお父さんと遊んで欲しく「オッチャンもう帰る?」と繰り返し聞いてきます。

 「もうちょっとな」と矛先をかわしながら、クライアントと話をしていたのですが、だんだんと機嫌の方が……

 ご夫妻は、すいません失礼なことを、いう感じでしたが、子供にとっては迷惑以外の何物でもありません。

 正直でとても明るい、かわいいお子さんです。

 建物を一通り回り、3時頃失礼しました。

 次の課題は正面の植栽。

 何の樹にするか、まだ夫妻で意見が分かれているので、方針が決まれば連絡を貰うことになっています。

文責:守谷 昌紀

建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm
守谷昌紀のゲツモク日記
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「Shabby House」-22-取扱い説明

 引っ越しが終わって、今日は取扱い説明の日。

 床暖房や衛生機器等を、担当者が順に説明して行きます。 

 3階の光庭は、オーニングがついています。

 オープンカフェ等に使われるもので、光庭の上部を開閉できるのです。 

 3階の室内から光庭を見るとこんな感じ。

 最後の最後まで残っていた、ルーバーがやっと完成しました。

 冬の光を最大限取り入れ、外部の視線を遮るのが目的です。

 羽根の角度にはこだわりました。

 敷地は東西に長く、東で接道しています。

 それで建物南の中央にくびれをつくり、光庭としました。そこををルーバーで覆っているのです。

 建物深くに光を届けるため、重要な機能をもっているのですが、外部から見ると中は見えません。計算通りに行きました。
 
 残すは門扉関係のみです。

文責:守谷 昌紀

建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm
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「Shabby House」-21-扉

 無事引越しも終わり、クライアントと現場を見てを回りました。

 この家の玄関扉は、2重になっています。

 外側にはスチールの扉。  

 それを開くと、内側に木製の扉。

 南仏からやってききた、本物のアンティーク扉です。この扉を付けたい、というのがクライアントの意向でした。

 ただ、大阪市内で家を建てる場合、法的規制で準耐火建築物以上の耐火性能が必要です。それで、このような構造を考えました。

 そこまでして、取り付けた甲斐があったと思える程、いい色、いい質感をしています。

 鏡の縁もアンティーク。

 コートフックも。

 おざなりになりがちな小物関係も、クライアントがこつこつ探してくれたものです。

 ダイニングの前には、ルーバーに覆われた光庭があります。

 この部分が出来上がれば、外構を残して建物は完成します。
 
 現場から家へ、という段階に来ました。 

文責:守谷 昌紀

建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm
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「Shabby House」-20-引越し前

 17日の月曜日に引越しを控える「Shabby House」。

 いよいよ大詰めですが、まだ現場はバタバタしています。

 酒部屋の畳もはいり、もう一息なのですが。

 ダイニング横のアンティーク家具。

 何とか収まりました。

 本日は日取りが良いということで、お米やお札をひとまずこの地位に。

 ご両親が氏神様へ、お参りに行き、頂いてきたものです。

 ナンテンは「難」を「転」じるで、鬼門に置かれることになります。

 ダイニング横の手洗いは、モザイクタイルで貼られています。

 階段の手摺もディティールにこだわりました。

 これは鉄工所でまげてもらいまいした。

 何事も、たら、れば、は無です。

 もう少し、全てを前倒しにできたら……

 施工会社と私たちの課題です。

文責:守谷 昌紀

建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm
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「Shabby House」-19-施主支給

 成人の日は快晴。若者達にはこれ以上ない門出になりました。

 朝からクライアントと打合せでしたが、放射冷却で現場は本当に寒いのです。

 webが一般的になり、施主支給の可能性が無限に広がりました。

 その中でも、今回の主役級が登場しました。

 元は南仏で実際に使われていた、木製のアンティークドア。

 奥さんが直接、静岡のショップまで見に行っての購入品です。

 玄関扉として使うのですが、深い緑色は存在感十分。

 細かな細工も、手が掛かっています。

 本物は本物を邪魔しません。

 まだ付いていませんが……

 特注のポストも届きました。

 これがとても重い。いい色です。

 施主支給ではありませんが、アプローチのレンガが敷き詰められました。

 深目地に土をいれ、将来的には下草をイメージしています。

 前回も取り上げた酒部屋の躙り口。

 お気に入りの酒蔵を回るのを楽しみにしているクライアントが、静かにお酒をたしなむ部屋。

 それが酒部屋なのです。

 大工さんと「躙り具合」を検討しました。

 和室は大工さんの力量が存分に発揮さてる場所なのです。

 寒い中、家族皆さんで、現場に来て貰いました。

 実は引っ越しまであと1週間。最後の最後まで工事は続くかもしれません。

 帰り際、監督にはっぱを掛けてきました。

 「監督が必ず何とかすると思っていたら、必ず何とかなるから」

 必ず何とかなると思っています。

文責:守谷 昌紀

建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm
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「四丁目の家」-3-無事契約

 昨年の12月15日は最終の金額調整でした。本日1月9日は大安。無事契約に至りました。

 年末に最終金額が決定し今日を迎えたのですが、私は大阪のため今回はスカイプで参加です。スカイプとは無料のインターネットテレビ電話のことです。

 施工会社の社長には東京のクライアントの自宅へ行ってもらい、スカイプで私が説明をしながら、署名、押印と進行しました。

 私の押印が必要なものは、前もって送ってあります。

 着工は3月初旬。いよいよ始まるという感じです。
 
 ここからは、契約について書いてみたいと思います。

 文字が多く読み辛いかもしれませんが、興味のある方は読み進めてください。

 ここでいう契約とは「建築工事請負契約」のこと。これとは別に「設計・工事監理委託業務請負契約」というものもあります。

 後者は私たちのような建築士事務所と交わすもので、前者が施工会社と交わすもの。

 施工者と設計者が一体の場合「設計・工事監理委託業務請負契約」はない場合がほとんどです。

 今回の工事なら、当事務所の設計・監理の報酬は工事金額の10%なので、工事請負契約の額は10倍ということになります。

 「工事請負契約」をクライアントがどのような条件で交わすかを提示するのは、私たちの大切な仕事なのです。特に、支払条件と、どのような約款を付けるかが重要で、施工会社へは競争見積りの参加を募る際に伝えておきます。

 まず約款です。

 俗に言う旧四会連合、正確には民間連合協定工事請負契約書。

 この添付を条件にしています。これは公共工事などでも使われる、最も校正なものです。

 この約款の添付は、法律で義務付けられている訳ではありません。よって、施工者側が自社で作成する約款を添付する場合もあります。

 他の事をとやかく言う必要はないのですが、自分で作った約款が自分に厳しいとは考えにくいのです。
 
 もう一つ重要なのが支払条件。以前は着工時に1/3、棟上げ時(躯体完成時)に1/3、竣工時に1/3が一般的でした。

 当事務所が条件にしているのは、月末出来高翌月80%払いです。

 具体的に言うと、4月の工事が100万円分出来上がったとしたら、翌月に80万円支払います。5月の工事が200万円分完成したとしたら、160万円と4月の残り20万円を合わせた180万円を支払うというものです。

 出来上がっていないものに対しての支払いを無くし、更に20%分を持ち越していくという支払方法です。

 万が一施工会社が倒産した場合、残工事を同額で施工してくれるとは考えにくく、クライアントの保護と施工会社が納得できるギリギリの線と考えています。

 もし代理人的な設計者がいない場合でも、契約は納得できるまで説明を聞いてから、サインしなければなりません。目の前に契約書があっても、当然サインしない権利も持っているのですから。明確な説明がなければ、順延したって構わないのです。

 知人にアドバイスを求められた時は、気になることと、聞きにくいことは全て聞いて下さいと伝えます。何せ大きなお金が動くのですから。

 契約のポイントは約款と支払条件。不要なのは遠慮です。
 
文責:守谷 昌紀

建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm
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「Shabby House」-18-仕事始め

 年が明け、現場では年始の挨拶もそこそこに、工事が始まっています。

 現場の仕事始めは1月5日でしたが、翌日にクライアントと訪れました。

 この日の大阪は寒いのなんの。

 打合せは朝からでしたが、昼が近づいても気温は上がらず、帰る頃にはつま先の感覚が無くなるほど。

 しかし現場のほうは大工さんも増え、いよいよ追い込みの活気が出てきました。

 衛生機器も据え付けられだし、家としての顔が見えてきます。

 洗面のカランは真ちゅう製で、とても良い感じ。

 酒部屋の躙り口は高さ80cm。ここに入る人は、みな頭を垂れます。

 その姿を美しいと感じれる感性こそが、日本が世界に誇るべきものなのかもしれません。

 中では大工さんが床組の下地を作っていましたが、入るときにはみな謙虚になるのです。

 深い茶色のレンガに、白いスチールの上げ下げ窓。

 外観のイメージが出来た時には、ワクワクしたものです。いよいよ現実となりました。

 愛おしい建物になると、確信しています。

文責:守谷 昌紀

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