「四丁目の家」-1-プロローグ

 「四丁目の家」は二世帯住宅の新築計画。

 ご主人は京都の出身で、奥さんは東京の生まれ。奥さんの実家が都内にあり、建て直して一緒に住むことになったのです。

 初めて計画の話を聞いたのは2006年の10月。紆余局圧ありましたが、見積り調整が済めば、着工できるところまできました。

 現在、若夫婦の住まいは同じ街の「三丁目」にあります。

 それで奥さんの実家を「四丁目の家」と呼んでいたのです。

 東京に「四丁目の家」は数あれど、家族にとってはここだけ。

 竣工すると同時に、三世代が一つ屋根の下へ。この呼び名は無くなるかもしれませんが、それも悪くないと思うのです。

 この家には、外部と内部をつなぐ仕掛けや、屋内でも遊べる機能を色々考えています。さてどこまで実現できるか……

 大阪から現場監理に行ける回数は7回前後。緊迫感も漂わせながらスタートします。

文責:守谷 昌紀

建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm

「頑張れる家(イタウバハウス)」-11-光は直進する

 この季節、体を動かすには良い気候です。

 ただ、じっとして弁当を食べるには寒いでしょう。大工さんが電気湯沸かし器を持ち込んでいました。これがあるだけで、随分違うだろうと思います。

 3階部分は内装仕上げを残すのみとなりました。

 2階も同じような進行状態。

 暮らしを便利にした機器は沢山ありますが、建築現場が受けるデジカメの恩恵は、計り知れないものがあります。

 添付書類として、記録装置として、この日記もデジカメなしでは考えられません。

 フィルムの時は、撮れば撮るほどお金が掛かり、現像の時間が掛かり、躊躇しながらシャッターを切ったものです。

 本当は、それが大切なのですが。

 建築でファサードというと、正面を意味します。

 この家のファサードは、ほぼ全てがルーバーで覆われるのです。

 その施工はクライアント自身がするもので、現在打合せ中。

 6パターン程ボール紙を貼ってみて、最も狭いものに決まりました。狭めでも、十分光が入ることが分ったのです。

 床に落ちる光は、隙間の倍ほどに広がっていました。

 光は理想世界では直進することになっています。

 しかし、実際の大気中には様々な粒子があり拡散したり干渉したりしています。

 当初は倍ほどの隙間をイメージしていました。やはり原寸チェックに勝るものはありません。

文責:守谷 昌紀

建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm