「伊東内科クリニック」-11-中間検査

 今日で6月も終わり。明日からは2010年も後半戦です。

 しかしこの時期の現場は暑い。

 梅雨時なので、現場には雨除けのシートが張られています。これで風が抜けないのです。

 職人さんと話していると「幾ら水分をっても全部汗になり、トイレに行かない」と言っていました。

 2階は外壁面が出来上がりつつあります。光庭を囲んで、主要な空間を配置しました。

 この日は、昼過ぎから中間検査でした。
 
 建築基準法の躯体検査と、住宅かし保険の屋根工事の検査が同時に行われます。検査機関の方も当然大汗です。

 この柱の足元には、土台と柱を緊結するホールダウン金物。

 この耐力壁は、筋かいと構造用合板で構成されます。柱頭にはホールダウン金物。

 検査では主にこのような耐力壁と、屋根工事部を見て貰うのです。

 全て問題なく、中間検査の検査済証を貰えました。

 現在は光庭にハシゴを掛けて上り下りしています。

 途中かから待合を見下ろすと、R状の壁が良く分かります。

 土曜日の棟上式で、お札は現場の一番高いところに納められました。

 ここから内装工事が本格化していきます。

文責:守谷 昌紀

建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm

「Shabby House」-2-地鎮祭

 梅雨の合間に青空が広がりました。

 初めてお会いしたのが昨年の4月。比較的ゆっくり進めさせて頂いたこともあり、設計と見積調整に1年3ヵ月掛かってしまいました。

 ようやくこの日を迎えることが出来ました。

 クライアント、施工会社、私たちで神社へお参りしました。

 着工にあたってのご祈祷をお願いしていたのですが、神主さんは「境内の中の家」のクライアント。

 敷地の氏神がこちらだったのです。

 拝殿は涼しく、ご祈祷の最中も気持ち良い風が入って来ました。

 1歳7ヶ月のお子さんも、興味を持ってその儀式を見ていたのです。

 滞りなく式典が終了すると、ご挨拶もそこそこに現地へ向かいました。

 ご家族で四隅に日本酒をまいて頂きました。

 その後、ご近所へ挨拶回りに。

 11月下旬の竣工を目指して、いよいよ工事が始まります。

文責:守谷 昌紀

建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm

「Shabby House」-1-プロローグ

 「shabby」を英和辞典で調べると、「着古した」とか「ぼろぼろの」とかいう意味です。

 ネイティブにも確認しましたが、決して前向きに使える言葉ではないとの事でした。

 クライアントはこの言葉をインテリア用語としてwebサイトで見かけたそうです。

 「良いものを大切に、長く使い、自然に古びて行く物の美しさ、心地よさ」というところでしょうか。その考え方に共感しました。

 「それならこの言葉の認識が変わるくらい、コンセプトのはっきりした家を目指しましょう。そこも楽しんでしまいましょう」という話になったのです。

 「Shabby House」

 時が経つほど、愛情が増す、心地よくなる、愛しくなる、例えるなら古着のような……

 そんな家を目指します。

 サッカーの元日本代表監督、フィリップ・トルシエの言葉を借りるなら、私たちの冒険が今始まりました。

文責:守谷 昌紀

建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm

「伊東内科クリニック」-10-上棟式

 建方工事は先々週に終えていましたが、上棟式は6月26日(土)に催されました。

 10年に渡る海外生活を終えたクライアントが6月22日(火)に帰国。それで、この日程となったのです。

 当日は雨でしたが、防水工事が終わっているので、さほど問題はありません。

 まず、この日を迎えられたことが何より。雨降って地固まるです。

 施工会社の社長の進行で、お札を棟木に貼り、そちらに向かって2礼2拍1礼。

 クライアントには日本酒を四隅にまいて頂きました。参列者の皆さんで乾杯しますが、その前にご挨拶をお願いしました。

 こういった式典をしたほうが良いですかと、尋ねられた場合「気持ちの問題なので、どちらでも良いと思います」と答えます。差し障りの無い答えですが本心です。

 出来れば催したいと言う方は是非と思いますし、そういった事は苦手だという方が無理に開くことは無いと思います。式典の有無で仕事に差がある事は無いので、より気持ちの強いほうで、と思うのです。

 もし一点だけ開いたほうが良い点があるとするなら、自分の言葉で現場の方々へ思いを伝えられるという事でしょうか。

 その後、クライアントからお土産が参列者に手渡されました。

 午前中からの式典だったので、現場の方はこれを機に仕事へ戻りました。こういった日は、躯体が出来上がった達成感、安堵感から、現場が良い雰囲気になるものです。

 ひと時ですが、普段の喧噪とは違う緩やかな空気が流れていました。
  

 待合の天井高さは3.6m。その正面にある光庭が、この建物の中心です。

 現在は現場の休憩スペースとなっています。

文責:守谷 昌紀

建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm

「伊東内科クリニック」-9-建方

 6月13日の日曜日、近畿地方も梅雨入りしました。

 3日後の6月16日(水)が建方。

 心配していましたが、梅雨の合間を縫って晴れ間が広がりました。

 レッカー車を据え、工場で事前に加工が済んでいる木材を組み上げて行きます。

 以前は、現場でノミやカンナで刻んだものを、先に済ませるのでプレカットと言います。

 一抹の寂しさはありますが、後継者不足、コストダウン、精度などなどの理由を考えればやむ得ないのかもしれません。

 とは言え、やはり最終的には人の経験と技術です。

 レッカーで吊り上げた梁をゆっくりと下ろして行きます。

 中央にある柱を支点にして、掘り込まれた溝に、梁を押し入れます。

 支点がある場合、反対の人は持ち上げ、こじる感じです。

 そのあとは大きな木槌で叩き込みます。

 梁の上を歩く姿は、さながらスパイダーマン。

 思わず手を合わせたくなるのです。

 建方は大工さんを長とした、チームワークが全てです。

 都会の真ん中でレッカーを使うには、何重にもなった電線の間を通し、しかも左右に動かし、上げ下げします。神業と言えば大げさかもしれませんが、熟練の技には間違いありません。今回は複雑な構成なので、あと2日は掛かりそうです。

 現場日記を読んだ方から、どんな建物になるんだ?イメージを見せて欲しいと、コメントを貰いました。

 いつも勿体つけていたのですが、模型写真をUPしてみます。

 機能にあわせて直方体と曲面を組みあわせて建物を構成しました。

 曲面壁の部分に待合室があります。 

 待合の正面には受付。その後ろには光庭があります。待ち時間に、少しでも自然を……と考えたのです。
 
文責:守谷 昌紀

建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm

「伊東内科クリニック」-8-受入検査

 6月に入ってから3日目。大阪は晴天が続いています。

 「伊東内科クリニック」は基礎コンクリート打設。それに先だって、受入検査をしてきました。

 「生」コンクリートと言うくらいですから鮮度が命。練り混ぜから90分以内に打設しないと硬化が始り、必要な強度が得られません。ミキサー車の出荷票を確認すると20分前にプラントを出ていました。

 まずは検査員が、サンプルを取ります。

 「スランプ」「空気量」「塩分濃度」等が、検査項目。

 「スランプ」は、高さ30cmの専用バケツをひっくり返し、どのくらいまで頂部が下がるか測定します。

 良質なコンクリートは広がらない、すなわち流動性が低いのですが、作業性とは相反します。よって、この検査がある訳です。

 「空気量」も同じで、少ないほど質は良いが、施工は難しいのです。

 「塩分濃度」は、鉄筋の錆びを防ぐ為、許容範囲が決まっています。

 6本ある茶筒のようなものは、3本ずつ1週間後、4週間後と試験をして、強度を確認するものです。

 打設は1台のポンプ車の後ろに、ミキサー車が代わる代わるやって来ます。

 型枠内にコンクリートがいきわたるよう、チームになって作業は進んで行きます。

 追いかけて、すぐに表面をコテで抑えて回ります。スポーツもまずは足腰です。しかし、何故足腰なのかという説明が少ないと思います。

 体を動かすとは、地面から反力を貰うこと。よって地面に近い順に大切。建築も同じで、一番大切なのは基礎なのです。

文責:守谷 昌紀

建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm