「伊東内科クリニック」-1-プロローグ

 2009年の1月、設計相談のメールが届きました。

 内科医院を併設した住宅の計画で、送り先はペルーのリマから。循環内科医のクライアントは、その時点で日本を出て10年。スーダン、ポーランド、ペルーと、海外で働いてきたのです。

 1ヵ月後の2月。帰国時にお会いし、3週間後に企画の提案。出国の2日前と慌しくはありましたが、正式な依頼を貰いました。

 医師というよりは、町のお医者さんでいたい。クリニックとはピットのようなもの。治すというよりは、癒す感じ。ただ、手助けするよりは積極的に。

 当初から、クリニックのコンセプトは明確でした。

 自身のキャリアの最後は、育った地域に恩返しをする。その中に、クリニックの新築計画があります。私達も貢献のできる仕事をしなければなりません。

 敷地は大阪市城東区です。以前は町工場も多かったようですが、現在は住宅とマンションが混在しています。9月末の完成、11月初めのオープンを目指します。

 コンセプトは、木の葉が揺れるクリニック。4月中旬に着工します。

文責:守谷 昌紀

建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm