カテゴリー別アーカイブ: 01 「住吉区歯科医師会館」

「住吉区歯科医師会館」‐4‐それでも時間は止まらない

 現場には常にシートが掛かっているので、外からみるとあまり変化はありません。

 しかし、内部は違います。

 ようやくサッシが取りつきました。

 洗面、トイレの窓はガラスルーバー窓。

 オペレーターを回すと、ガラスがブラインドのように動く窓のことです。

 また、大会議室のトップライトも取付けが終わりました。

 2階の光庭に上がるとその大きさが良く分かります。

 いずれも、まだガラスは入っていませんが、サッシというものは、建築の中でも非常に重要な部分です。

 窓はどこにでもあるので、特に意識することはないと思いますが、光と風を取り込み、水を止めるということは、実は至難の業です。

 その中で、錆びに強く、成型しやすく、軽いアルミサッシは現代建築では必須となりました。

 特に、屋根面となって雨を受けるトップライトにおいて、その価値はさらに高いのです。

 2階は3人が作業中でした。

 こちらは、会長室から中庭を見た景色。

 事務室も光庭に面しています。

 そして小会議室も。

 平面的にも、立体的にも、光庭を中心にこの建物は構成されているのです。

 2階では、監督が養生のシートを張っているところでした。

 こちらはトップライトの仕舞をしているところです。

 こちら電動ノコギリでボードを裁断しているところでした。やはり、現場は職人が沢山いて、活気があってこそです。

 しかし、ここにいる皆がおそらく皆40オーバー。48歳の私も含めてですが(笑)

 最近の現場で、20代、30代を見ることが極端に減りました。

 また、新聞にもボルトとナットが足らず、鉄骨の建物は工期が何ヶ月も遅れているという記事がでていました。

 こちらの会館では何とか確保できましたが、それでもギリギリ。

 人は足らず、物は足らず、消費税UPの駆け込み需要もあり、現場は40オーバー。

 もうコントの設定レベルですが、それでも時間が止まることはありません。

 何度も、何度もこんな場面を経験してきましたが、人生は困難克服成長ゲームです。

 ここからの2ヵ月。現場には、120%で頑張って貰わなければなりません。

文責:守谷 昌紀

■■■『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
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「住吉区歯科医師会館」‐3‐太陽は誰のもとにも降り注ぐ

 2019年の現場日記は「住吉区歯科医師会館」からスタートです。

 昨日の14日は、成人の日を祝うかのような青空でした。

 人気のない現場に入れるのは、設計者の特権かもしれません。

 静かな現場を、ゆっくり回るのは楽しい時間です。

 年末の建方工事を終え、床版となるデッキプレートの設置が終わっていました。

 この館のプランを創り上げていった過程は、第1回目に触れました。

 キーとなった空間は大会議室ですが、それらを法的にも可能としたのが、右奥にある3つのトップライトです。

 階段は広めに設定していますが、2階はどちらかと言えばオフィス的な空間です。

 それらの空間に対しても、光庭に対して窓を設けることで、採光を確保しています。

 その床面にトップライトを設けているので、2倍の価値があると言えるのです。

 デッキプレートの上にはワイヤーメッシュという鉄筋を敷設します。

 これらはコンクリートの中に埋もれるのですが、デッキプレートと接してしまうとその性能を発揮できません。

 よって、少し浮かした位置にセパレーターという部材で固定するのです。

 屋上のワイヤーメッシュも敷設が終わっていました。

 この2度美味しい光庭ですが、建物の中に外部があるとも言えるので、形状としてはかなり複雑です。

 元は3階建てだったのですが、法規の改正で3階建てが不可能であることが分かりました。

 「光と風」は私にとって変わらぬテーマですが、建築は人が使うものである以上、全ての設計者にとって永遠のテーマとも言えます。

 側面からの開口で光と風が十分取り込めれば理想ですが、それが難しいとなったとき、何かしらの案を練らなければなりません。

 そういう意味においては、光庭とトップライトは苦肉の策とも言えます。

 どれだけ暗いと言っても、天空が塞がれることはありません。

 太陽は誰のもとにも、平等に降り注ぐのです。

 これは階段を固定している部分です。

 大工でなければ出来ないような細工を、防火性能を満たすために鉄のプレートを溶接し固定します。

 こんな詳細部の集合体が建築です。

 よって、近代建築の三大巨匠、ミース・ファン・デル・ローエは「神は細部に宿る」と言ったのです。

 神様が応援してくれるよう、細部にこそ手を抜かず、今年も1年物創りに励みたいと思います。

文責:守谷 昌紀

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「住吉区歯科医師会館」‐2‐見た目が良いは、中身も良い

 一昨日、「住吉区歯科医師会館」の建方工事が完了しました。

 青空に赤の鉄骨がよく映えています。

 天気のよい朝のうちに慌てて撮りに行ったのですが。

 建物の顔になる部分をファサードと言います。

 表面の化粧だけでは何ともならないので、やはり中身が大切。

 その点は人も建築も同じです。

 出来上がる前に骨格から化粧までを考えることが建築設計の仕事とも言えるのです。

 11月上旬に掘り方工事がスタート。

 11月末には基礎の一番底、ベースコンクリートを打設しました。

 最終的にはコンクリートしか見えない基礎も、中にある鉄筋が重要です。

 コンクリートは圧縮力には強いのですが、引っ張りに弱く、それを補うのが鉄筋の役割。

 19世紀のヨーロッパで発明された、いわばハイブリッドな構造体です。

 柱を据える基礎柱部は、大きな力が加わるので太い鉄筋が密集します。

 慎重にコンクリートを打設しなければならない箇所なのです。

 12月上旬に基礎の立ち上がり部分のコンクリートを打設。

 一昨日の建方工事に備えていました。

 無事、基礎柱部に柱が固定されました。

 建築設計の世界には「開口と階段を狙え」という言葉があります。

 建築は観るものではなく使うものです。

 よって機能を持っていますが、それらを芸術品のレベルまで昇華させたい。

 それはいつも変わらぬ願望です。

 躯体は月並みだけど、見た目は素晴らしいという建築はありません。

 予算が有り余っていて、張りぼてだけど素晴らしい建築などそうないからです。バブル期なら別かもしれませんが。
 
 建築において、良いものを創りたければ、構造体にこだわるしかありません。

 今年は本当色々なことがあった年でした。

 1月のコンペからスタートしたこの計画も、何とか棟上げまでたどり着くことができました。

 来年は亥年。

 今年の分も取り戻すつもりで、直進して行きたいと思います。

文責:守谷 昌紀

■■■毎日放送『住人十色』4月14日5:00pm~5:30pm「回遊できる家」放映
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「住吉区歯科医師会館」‐1‐プロローグ

 歯科医院を開業すると、地域の歯科医師会に入るのが一般的だ。

 住吉区歯科医師会のwebサイトには以下のような説明がある。

 歯科医同士で情報を共有し、歯科治療に関する知識を深めるための講習を開催しています。時には、地区の医療・福祉団体や他地区の歯科医師会と合同セミナーを開催するなど、積極的に技術向上に取り組んでいます

 小学校で歯科検診を受けたことがある人も多いと思うが、これらも歯科医師会が窓口となっての社会貢献活動のひとつである。

 旧会館は築38年となっており、耐震基準を満たしていないことが建て替えの動機となった。

 パブリックな建物ゆえ、コンペで設計者を選ぶことになったそうだ。

 新築住宅ガイドというサイトからコンペ開催の連絡があり、当社も参加させて貰うことにした。

 まずは書類選考で10社に絞られ、当社が2次選考に提出した案は以下のようなものだ。

 歯科医師会館なので黒はない。やはり、白く清潔な建物がよい。

 白い箱状の建物中央に、大きな開口を開け、くちばし状の庇を設けた。

 「虫歯の鳥などいないのでは」というメッセージだ。

 旧会館は暗く、寒いとお聞きしていた。

 隣地も迫り窓を開けることもままならない。

 光と風に満ち、地域の歯科医師の皆さんが足を運ぶ際に、楽しみにして貰えるような会館を模索した。

 プランを決定する上で、最も影響を与えたのは大会議室だ。

 多くの方々が訪れることもあり、非常時の避難経路を考えると1階が適切だと考えた。

 建築基準法上の「採光」を確保するのが難しいのだが、2階の一部を光庭とし、トップライトを採用する案を提案した。

 これらが、1階の北奥の最も暗い部分に、安定した光を与える。

 ドラマティックな風景を演出してくれるはずだ。

 2階においては、その光庭を囲むように各室を配置。

 季節の良い時期には、隣地を気にせず掃き出し窓を全開にできる。また、夏の暑い時期には裏路地の冷たい風が通り抜ける。

 歯科医師会館だけに健康な建物を目指したのだ。

 白いくちばしをくぐってエントランスホールへ。

 オープンな階段からは光が落ちてくる。

 再び、住吉区歯科医師会のwebサイトから引いてみる。

 「地域の皆さまの歯の健康を守ることができるのは私たちだけ」という誇りをもって、より歯科医療現場の最前線で活躍できるよう努力していきます。

 その気概にお応えできるような、建築を目指したい。

 また地域の皆さんとの交流の場となればこれほど嬉しいことはない。

 住吉区は、これまでに一番多くの仕事をさせて貰った地域でもある。

 仕事人としての気概をもって、歯科医師会の皆さん、地域の皆さんの幸せに何とか貢献したいと思うのだ。

文責:守谷 昌紀

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