カテゴリー別アーカイブ: W27 「伊東内科クリニック」

「伊東内科クリニック」-28-1年点検

 27日(木)は、伊東内科クリニックの1年点検でした。

 午前の診療が終わった後、院長、施工会社と一緒に課題の出来た場所を回ります。

 建具の調整、クロスの補修、などに加えて、棚の追加、コンセントの増設等。

 1年使ってみて、改めて改善の必要な箇所も出てきました。

 外部、内部ともとても大変美しく使われており、院長も「スタッフがほんと、綺麗好きなんです」と笑っていました。

 愛着をもって使われているを、身を持って感じます。本当に嬉しいことです。

 院長の伊東さんは、世界各国を旅しています。

 クリニックの壁面には、新たにその写真が飾られていました。

 待合の窓下には、家のミニチュアが。これは東欧のものだったと思います。

 webサイトにもコラムがあるので、良ければ是非。

 ちょっと普通の人は行かないような国まであります。TOPページの右上にある「院長コラム」です。

 待合の裏手にあるオリーブも随分成長しました。

 受付の後ろにあるイロハモミジは、更に大きくなっていました。この秋の紅葉が楽しみです。

 1年点検は建物の問題点を見つけ出す大切な機会。私達にとって最も勉強になる時です。

 対して、木々の成長はただ楽しみなだけ。

 最後に「守谷さんのイメージからずれていませんか」と尋ねられました。

 全く、と答えましたが、イメージ内と言うか、イメージ以上というか……そのあたりは自分の中にも明確な答えはありません。

 建物は建ってからも、住まい手、使い手、関わる人の愛情の量で間違いなく、変化して行きます。それを成長と言ってよいのかは分かりません。ただ、その変化には色々なケースがあるのは間違いありません。

 待合のソファに座り、光庭のモミジを見るのは、私にとっても最も幸せな時間です。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【News】
『住まいの設計』9月21日発売に「イタウバハウス」掲載
■10月11日『ConCom』に「私の名建築-第3回-」が掲載されました
■8月24日香港建築科学出版社の『Star Week』に掲載
『関西56人の建築家と家をつくる』7月10日発売に「加美の家」掲載
□7月8日「Ohana」『第5回キッズデザイン賞』受賞

【Events】
■11月1日~11月30日までハービスPLAZA(大阪)4階にて
「伊東内科クリニック」のパネル、模型を展示しています
■9月23日(祝・金)『JIA×JUNKUDO 建築相談会』
ジュンク堂(神戸店)に相談員として参加しました
メディア掲載情報

文責:守谷 昌紀
一級建築士事務所 アトリエ m
アトリエmの現場日記
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記

「伊東内科クリニック」-27-エピローグ

 「伊東内科クリニック」が開院して2週間が過ぎました。

 この現場日記の1回目にこう書きました。

 『医師というよりは、町のお医者さんでいたい。クリニックとはピットのようなもの。治すというよりは、癒す感じ。ただ、手助けするよりは積極的に。

 自身のキャリアの最後は、育った地域に恩返しをする』

 これは計画が始まった当初のクライアントの言葉です。

 それに対して私が出した答は『木の葉が揺れるクリニック』。

 密集した市街地から切り取られた光庭に、一本の木が屹立していることに意味があると考えたのです。

 内科のクリニックの設計をしたのは今回が初めて。クライアントもそれを承知の上で、依頼してくれました。

 実績がものを言う世の中。他の建築家に依頼する理由は、いくらでもあったはずです。

 自らの直感を信じ、チャンスを貰ったことに、心から感謝しています。

 建築家を名乗る以上、どんな用途であれ、私にしか出来ない回答があると信じています。

 目指すのは良心に訴えかけるような仕事。それは自分の良心と向かい合うほか、実現する方法は無いと思うからです。
 
 竣工写真の撮影は来週の予定ですが、ひとまずこれで一区切りにしたいと思います。

 本当の結果が出るのは、10年後、15年後でしょうか。ただ、私には活き活きと働く院長と、スタッフの姿しかイメージ出来ないのです。
 
文責:守谷 昌紀
建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm

「伊東内科クリニック」-26-開院

 本日「伊東内科クリニック」が開院しました。

 竣工間際にバタバタとしてしまい、大変心配をさせてしましましたが、何とか今日を迎えることが出来ました。

 先週末の内覧会は、台風通過にも関わらず、何とか雨も降らず。

 多くの地域の方が見に来て下さったのです。

 光庭の木を見上げる方も。

 待合からは、受付越しにイロハモミジが見えるのです。

 沢山の花が届き、この日はソファの上に。

 「クリニックは街の止まり木 その場所が明るく元気なら 訪れた人は嬉しいに違いない」

 これは、クリニックのwebサイトにあるメッセージです。

 私たちが、2009年の2月の企画提案の際に添えた、コンセプトでもあります。

 建築家協会の会長だった出江寛氏が、こんな話を書いていました。

 詫び茶の完成者、千利休が弟子に「どんな座敷が良い座敷ですか」と問われたそうです。この場合の座敷とは、食事をするところの意でしょうか。こう答えました。

 「うめ木のおほい座敷かよく候」

 埋め木とは、穴がありたり、朽ちた部分を木で補修する技法です。補修しながらも、長く使われて来た座敷が最も良い、という答えでした。

 建築は完成した時が、見た目には最も美しく見えます。しかし、このクリニックが利休のいう良きクリニックであって欲しいと心から願っています。

文責:守谷 昌紀

建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm

「伊東内科クリニック」-25-木の葉が揺れる

 建物のコンセプトは「木の葉が揺れるクリニック」。

 その植栽工事を残して、建物は完成しました。

 現在は開院を案内するカンバンが建っていますが、ここにはオリーブを植えます。

 診察室は、机の形状にこだわりました。

 待合は、1/4円を描きます。

 こげ茶の円筒型の空間がここにあたります。

 前列から受付を見ると、後ろにあるのが光庭。

 ここにイロハモミジを植えます。

 2本の木が、25日(月)に古川庭樹園から届きました。

 雨の中、職人2人で植え付けをしてくれます。 
 

 雨に光るモミジは、なかなか風情があるものです。開院を控えて、今週末は内覧会が開かれます。

【内覧会】
日時:2010年10月30日(土) 10:00am~1:00pm
住所:大阪市城東区野江4-10-22
詳細は「伊東内科クリニック」のwebサイトをご覧下さい
http://www.itonaika.com/
(※クリニックという性格上、建築関係者の方はご遠慮下さい)

 その2日後、いよいよ開院です。

文責:守谷 昌紀

建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm

「伊東内科クリニック」-24-オリーブとイロハモミジ

 クライアントの院長と待ち合わせて、大阪府を南下。南河内郡へ向かいました。

 古川庭樹園は山裾に広大な敷地をもち、主には植木屋さんへ木々を販売しています。しかし、アポイントを取れば、直接木を選ばせて貰い、販売もしてくれるのです。

 大阪府を足の形に見立てれば、丁度かかとのあたり。

 すぐ隣は、南北朝時代の武将、楠木正成で有名な千早赤阪村です。

 今回は社長自らが案内してくれました。

 どの人も、緑の中で暮らしているからか、何とも大らかで気持ちの良い人達ばかり。

 同年代くらいのスタッフも、ずっと一緒に回ってくれました。

 色々考えた末、まずは1本。オリーブにしました。これは建物の道路側に植えます。

 これからも実を付けて貰うには、もう一本必要です。鉢植えを置くなど、対策を考えます。

 光庭の木は悩みました。日陰に強い、カクレミノか、社長が提案してくれたイタヤカエデか。

 最終的には、イロハモミジに決めました。思い切って大きめの木にすれば、上部の葉は光を受けれると判断したのです。

 実際の森でも、下の方はそんなに光が当たらないはずですから。

 開院が近づいてきた、院長は次から次へと来客があり、横から見ていても大変だと思います。

 建築も若干残工事が残っており、気苦労を掛けています。

 それでも、木々選びは良い気分転換になったと言って貰えれば、連れ出して良かったと思えます。クリニックまで送ると、すっかり日は暮れていました。

 木々が入れば、いよいよクリニックに命が宿ります。

文責:守谷 昌紀

建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm

「伊東内科クリニック」-23-光庭のルーバー

 昨日、角度の調整に手間取っていると聞いていたので、朝一番で現場へ寄ってきました。

 アルミ製のルーバーを75本取り付けるのですが、全て手仕事。全ての産業で機械化が進む中、建築現場は職人の手仕事がものを言います。

 時代と逆行しているようですが、人手が多く加わるほうが建築は熱を持つと思っています。

 この金物は、5度刻みで角度が設定できるのです。目的を達するよう、緩やかに変化させました。

 図面通りになっていない箇所が少しあったので、角度の修正をお願いしました。

 近隣と待合にいる患者さんが、互いに気を遣わずともよい、光庭にするのが目的です。

 何本か、ルーバーは残っていましたが、外観はほぼ完成です。

文責:守谷 昌紀

建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm

「伊東内科クリニック」-22-グリーン

 クリニックのオープンも11月1日に決まり、現場はいよいよ最終段階に。


一ヶ所を残して、外観はほぼ全体が完成。

 イメージ通りのフォルムです。残す一ヶ所は、繊細に大胆に仕上げたい所です。

 光庭のタイルが貼り終りました。中央には木を植えます。

 待合のソファが搬入されてきました。メーカーの方も自ら陣頭指揮をとっていました。

 R形状なので、かなり精度が要求されます。

 僅かに合わない部分があり、1ピースだけ修正されることになりました。 それでも、イメージを決定付けるには十分なボリュームです。ぐっと引き締まりました。

 仕上げ、色、形状と、徹底的にこだわった座り心地の良いソファです。

 2軒隣に建つのが、グリーン調剤薬局。

 伊東内科クリニックの計画が決定してから、この地に建つことが決まりました。

 途中で追い抜かされ、1ヶ月先に完成したのです。

実は3日程前から私は風邪気味でした。薬局の方から、風邪薬を頂いたのです。本当に有難いことです。私が一番目のお客さんになれました。

 その名前の通り、徹底的にグリーンに統一されています。経営者の薬剤師さんに「なぜこの名前にしたのですか」と聞きました。

 すると、現場日記の第一回目に「コンセプトは、木の葉が揺れるクリニック」とあったからと言われたのです。

 背中がゾクッとする位の嬉しさと、身が引き締まる思いがしたのです。

 大変溌剌とした女性で、かつ人当たりが優しく、気持ちの良い方でした。

 内部を撮影しても良いですかと聞くと「どうぞ、どうぞ」と言って、そそくさと皆で奥に入られたのです。出来れば人物有りが希望だったのですが。

 光庭に植える木は、来週クライアントと買い付けに行ってきます。

文責:守谷 昌紀

建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm

「伊東内科クリニック」-21-白、茶、灰、桃

 いよいよ工事は終盤です。曲面壁の塗装が終わっていました。

 金属よりは、木のほうが好き、しかしアップル製品が好きというクライアント。

 建築、家具、医院のマークの色や、素材選びにはしっかり時間をかけました。

 サンプルを貼っているのは前々回も書いた学生。鳥取の大学院生で、友人宅に住み込みながらオープンデスクに参加中です。

 先週で研修は終了したのですが、クライアントや現場監督に声を掛けて貰ったのが嬉しいかったようで「今月いっぱいまで延長したい」と申し出がありました。

 聞けば、始めの数日間は、兎に角辞めたかったそうです。3日目には、更に続けるかを問うので、彼も「頑張ります」と言っていたのですが、若者の心は複雑です。

 どんな仕事でも、いきなり遣り甲斐があれば良いのですが、そうはいきません。

 辛い、しんどいの先に何かがあるのですが、これを説明するのは難しい。面倒なので「常に面倒なほうを選択しなさい」と言います。

 そんな効率の悪い、という考えもありますが、事務所の基本方針は変わりません。聖書にも「狭き門を選べ」と書かれていると聞いたのです。  

文責:守谷 昌紀
建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm

「伊東内科クリニック」-20-外壁塗装

 大阪もすっかり涼しくなり、夜は寒いくらい。

 昨日、天気は生憎でしたが、やっと足場が外れました。

 初めて養生シートが取れた日。遠くから建物に近づいていく時の気分は、なんとも言えないものがあります。

 「やっと!」と「大丈夫?」という感情が交錯するのです。

 光庭のルーバーがまだですが、これが付くと外観のイメージはほぼ決定します。

 外壁はケイカル板で大きな壁面を構成し、塗装で仕上げます。

 下地処理がすべて終わると、曲面壁部分にも色をつけます。

 塗装仕上げは、その下地処理が最も大切なのです。

 照明器具も取り付けが始まりました。

 計算上の照度は出るのですが、壁の仕上げ、壁の形状、床の仕上げなど等の条件に大きく影響を受けます。

 点灯してみないとなんとも言えない所があります。

 待合室の雰囲気も、イメージ通りに仕上がりました。

 この曲面壁にそって、ソファが入ります。

 後は家具関係を残すのみです。

文責:守谷 昌紀
建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm

「伊東内科クリニック」-19-サイン

 夕方は秋らしい雰囲気がやっと漂いだしました。

 外壁の曲面部分が形になってきました。

 この曲線が待合室まで続きます。

 現場は、家具などの詰めの段階に入っています。

 クライアントより「診察券などの事があるので、ロゴやマークの先に決められれば」という話しがありました。

 前回は全体の打合せを済ませたので、今回はマークのイメージを見て貰いました。

 元のイメージから、改善を加えて行きます。

 最後は実物大で、現場に貼り付けてチェック。

 デザインイメージは、患者さんの話しに耳を傾けるお医者さんです。

 最終形ではありませんが、とてもいい反応を貰いました。

 設計の途中で、ロゴなんかはどうすれば良いですかと質問があった時「気に入って貰えるかは別にして、まずは提案させて下さい」と言います。

 建築に係わるものは全てデザインしたいと思っています。

 勿論、餅屋は餅屋なので、グラフィックデザイナーを上回ることが出来るとは思っていません。

 しかし、全体を設計しているからこそ見える部分もあると思っています。

 出来る事は何でもやります。その言葉に、一切嘘はありません。

文責:守谷 昌紀
建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm