敷地は閑静な住宅街で、近くにコンビニもない。
この便利で忙しない時代、静かさは何にも代えがたいということがわかる。
息を止めては大げさでも、見ず知らずの人が歩けば、周囲からの視線を気にすることになるだろう。
金額調整も終え、6月から本格的に工事はスタートした。
配筋検査を終えると、建物と敷地の関係がよく分かる。
特徴は、何といっても6畳ほどの中庭だ。
この建物は、外には完全に閉じている。
そして全ての部屋がこの中庭に開いている。
コートハウスも、L型、コの字型とバリエーションがあるが、ロの字のコートハウスは、最も大きな敷地を必要とする。
反対のいい方をすれば、各部屋へのアプローチを要するため、面積効率が悪いともいえるのだ。
夫妻は共働きで大変に忙しい。
その中で、家事動線を限りなくコンパクトに、そして気楽に開ける屋外を求めた結果、このプランに行き着いたのだ。
家事動線については、奥さんと細に入り打合せをした。
とてもコンパクトで、スムーズな動線になったと自負している。
プライバシーが保たれ、家族だけの空がある家。
ミニマルな箱の中に、豊かな空間を生み出したいと思う。
文責:守谷 昌紀