「四丁目の家」-4-模型と想像

 近所に仮住まいも見つかり、間もなく解体が始まります。

 実際の、ここまでの流れは以下の通りです。

 企画の提案→設計・監理請負契約の締結→基本図面の作成→実施図面の作成→見積徴収→見積調整→施工会社と工事請負契約の締結

 住宅展示場をを持っている、ハウスメーカーや施工会社は別ですが、建築設計という仕事は、未だない建築を提案し、更に一緒に仕事を進めるか、判断を仰がないとなりません。

 無いものを何とか伝えるよう、手を尽くす必要があるのです。最も難しいのは、やはり「企画の提案」でしょうか。

 3D画像も進化していますが、模型に勝るものはないと考えています。S=1/100の模型で全体のボリューム、プランを提案するのです。

 大切なのは環境。

 周辺敷地も合わせて模型を作成します。

 そして、太陽の当たり方や、建物と街の関係を詰めて行きます。
 
 今回もそうでしたが、一度で方向性が決まることは中々ありません。

 無事契約となり、基本計画が固まれば、図面も模型もS=1/50に移行します。

 ここから実施図面の作成です。

 実施図に合わせて、出来る限り細部も作って行きます。

 この時に、テレビや電話、パソコン等、どこに置くかが決まると、設備の面でも精度が違ってきます。

 大切なのは「仮でも良いから決めること」です。

 縮尺こそ違え、目を近付けてその気で見れば、出来上がりのままの視界が開けます。

 とは言え、最後まで実物のない状況は変わりません。

 しかし、ネガティブに考える必要はありません。

 無いからこそ、人の頭は最大限の想像力を発揮するのです。

 共に想像し、一緒に造り上げていくことこそが、建築そのものと言えるのです。
 
文責:守谷 昌紀

建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm
守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

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