「伊東内科クリニック」-27-エピローグ

 「伊東内科クリニック」が開院して2週間が過ぎました。

 この現場日記の1回目にこう書きました。

 『医師というよりは、町のお医者さんでいたい。クリニックとはピットのようなもの。治すというよりは、癒す感じ。ただ、手助けするよりは積極的に。

 自身のキャリアの最後は、育った地域に恩返しをする』

 これは計画が始まった当初のクライアントの言葉です。

 それに対して私が出した答は『木の葉が揺れるクリニック』。

 密集した市街地から切り取られた光庭に、一本の木が屹立していることに意味があると考えたのです。

 内科のクリニックの設計をしたのは今回が初めて。クライアントもそれを承知の上で、依頼してくれました。

 実績がものを言う世の中。他の建築家に依頼する理由は、いくらでもあったはずです。

 自らの直感を信じ、チャンスを貰ったことに、心から感謝しています。

 建築家を名乗る以上、どんな用途であれ、私にしか出来ない回答があると信じています。

 目指すのは良心に訴えかけるような仕事。それは自分の良心と向かい合うほか、実現する方法は無いと思うからです。
 
 竣工写真の撮影は来週の予定ですが、ひとまずこれで一区切りにしたいと思います。

 本当の結果が出るのは、10年後、15年後でしょうか。ただ、私には活き活きと働く院長と、スタッフの姿しかイメージ出来ないのです。
 
文責:守谷 昌紀
建築家 / 大阪  一級建築士事務所 アトリエm

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