基礎の配筋検査、コンクリートの受入検査と進み、現在は木材のチェックに進んでいます。
初めて会った時、まず話題に出てきたのが「ローコスト」でした。誰もお金の事が一番気になります。
直訳すれば「低予算」ですが、真意はこうだと考えます。決まった予算の中で、あきらめずにベストをつくす……ちょっと意訳しすぎでしょうか。
ローコストを目指すと言ってもる理由がなければ金額は抑えられません。手法は色々ありますが、今回取り上げるのは「自分で出来ることは自分でする」です。
ご主人は、公園やアスレチックの遊具を作ったり、メンテナンスする会社で働きます。経営者一家なのです。
普段から堅木を扱っていることから、当初よりファサードにあるルーバーは自身で施工することになっていたのです。イタウバと言う木で正面が覆われます。
誰でも出来る事ではありませんが、大小を問わなければ、可能性は無限にあります。
イペ、イタウバ等の堅木は、雨などに対する耐性がとても強い木です。
それでも日にさらされると、変色してきます。
灰色っぽくというか、白っぽくというか、色が抜けて変色して行くのです。これを「白ける」と言います。
クライアントは、塗装はせず、白けた木の色で成立させたいと言ったのです。
この話は、いたく感じ入りました。塗装で美しく見せるのでなく、自然の変化にあわせて行く。
素晴らしいコンセプトです。
変化しないことが良しとされる、現在の建築材料を使い、美しい建物にするのは簡単では……いえいえ、何とか成立させてみせます。
事務所の前に置いて、変化を見ています。
日光、紫外線の力は凄いものがあります。
左から、室内に置くイタウバ、3ヶ月屋外に置いたイタウバ、1年3ヶ月屋外に置いたイペ、です。
プロジェクト名をつける時「白けても白けない家」を真剣に考えました。
ゴロが悪いので辞めたのですが、この計画をよく表していると思います。
文責:守谷 昌紀
建築家 / 大阪 一級建築士事務所 アトリエm