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色は光の代弁者‐1436‐

 私の住む家は築45年。

 毎朝、縁側から小さな庭へ向かい、瞑想の時間をとります。

 日々庭木をみているとり、太陽高度が低くなっていくさまがよくわかります。

 昨日は、気持ちの良い天気で、散髪ついでに長居公園まで足を伸ばしました。

 植物園の木々は極彩色のいろどりです。

 それでも、この時期の主役はやはりイチョウでしょうか。

 光を受けた葉は、黄金といってよい美しさです。

 光は波の要素を持っています。

 波長ごとに屈折率が違うので、水の粒子がプリズムの役割を果たし、別々に見える状態が虹です。

 虹が人に見える領域で、紫より短い紫外線等、赤より波長の長い赤外線は見ることは出来ません。

 反対に全ての波長が揃っている場合、光は白に見えます。

 波長の短い順に、紫、藍、青、緑、黄、橙、赤。

 空気中には多くのチリや粒子があり、波長が一番短く、拡散しやすいはそれらに当たって宇宙へ出ていきます。

 次に短いが空気の粒子によって最も拡散しやすく、空はく見えるのです。

 朝、夕は大気圏を長く横切るため、波長の短いの光は拡散を繰り返し、多くは地表まで届きません。

 波長が長く、拡散しにくい赤系の光だけが届くので、朝焼け、夕焼けはとなるのです。

 色というものは、直接光源を見るか、反射しているものが目に映ったもの。

 植物の葉がなのは、生物が元々海の中から生まれてきたことに理由があります。

 海の中で効率よくエネルギーを取り込もうとすると、波長の長い赤系の光から取り込むことになります。

 それらが吸収されるので、海はに見えます。

 最も効率の悪いは優先順位が低くなり、取り込まなくなったがゆえ、反射してに見えるのです。

 不要としたが、精神的にやすらぎを与えるのは逆説的で面白いところです。

吸収光の色→観察される色(補色・余色)

紫→緑黄
青→黄
緑青→橙
青緑→赤
緑 赤→紫
黄緑→紫
黄→青
橙→緑青
赤→青緑
紫赤→緑

 北欧の家具に名作が多く、かつ色鮮やかなのは、長く暗い冬を乗り切るためだといわれます。

 色とは光の中から、ある波長だけを選び出したもの。光の代弁者といえそうです。

 どんどん日が短くなり、光が恋しくなっていきます。再び太陽高度の上がりはじめる冬至までは約3週間。

 クリスマスをひとくぎりとし、ギアを1段上げてラストスパートです。

びわこ北寮

昨日は、「あちこちでお茶できる家」のオープンハウスでした。

総勢30名程の方が見えました。一日中賑やかでとても楽しい空間でした。またUPしたいと思います。

先週の金曜日は、琵琶湖の北端、海津大崎まで行って来ました。

日本建築家協会(JIA)の月例勉強会だったのです。

JR大阪駅から新快速で1時間40分ほど。まずは長浜駅へ。

東にある伊吹山は冠雪しており、独特の偉容を放っていました。

琵琶湖も北端までくると、まるで海岸のような景色になります。

その海津大崎にあるのが、「びわこ北寮」です。

企業の施設につき、一般には見学できません。

設計は白井晟一(しらい せいいち)。1905年~1983年を生きた建築家です。

彼の事を知ったのは、1年目に勤めた設計事務所の所長が、代表作「親和銀行本店」の写真を飾っていたからです。

その写真はモノクロでしたがが、陰影ある外観の写真を鮮明に覚えています。

しかし実作を見た事はなく、初めて白井作品に触れました。

同時代を生きた、丹下健三や、村野藤吾に並ぶような巨匠ですが、彼らを光とするなら、どことなく影のような印象を受けるのです。実際にも「異端の人」のような存在でした。

この「びわこ北寮」の工事中に白井は倒れ、完成を見ていません。倒れる4日前、打設の終わった1階スラブに立ち、琵琶湖を眺めていたそうです。

それらの話は、孫にあたる建築家、白井原多さんが私達に話してくれました。

他の白井作品にこの色使いはありません。

生前から最も好きだった色、ペルシアンブルーが日本の風土に合うかと葛藤していたそうです。

最後にどうしてもチャレンジしたかったのでは、という話もありました。

内部は撮影禁止でしたが、湖岸に開かれた食堂からは、遮る物無く竹生島(ちくぶじま)を望みます。絶景、以外に思いつく言葉がありません。

白井晟一はエッセイに、その「青」への思いを書き綴っています。こう結ばれていました。

 それにしても青は「希望」の色とはよく言ったものだ。

青ほど自然の中に多い色はないかもしれません。