台風21号の爪あとがいまだに残るなか、昨晩の24号は和歌山に上陸しました。
関西、東海、関東を縦断しましたが、今回は関東での影響が大きかったようです。
今日の大阪は台風一過の晴れ空。
生駒山がくっきりみえていました。
唐突ですが、日曜日の産経新聞に、私の名前がでていたと、何人かの方から連絡を頂きました。
『広がる「喫煙者不採用」の動き 導入企業は好評価 「差別」の懸念も…』という記事で、先週中ごろに取材を受けました。
約15年前から喫煙者を採用していない大阪の一級建築士事務所「アトリエm」の守(もり)谷(たに)昌紀代表(48)は、現場の防火も理由のひとつとした上で、「役に立つための仕事で、人に迷惑をかける可能性があることはしてはならない。顧客に引き渡す商品の場ではなおさら」と話す。
たったこれだけの部分ですが、それでも15分から20分くらいは記者の方と話をしました。
このあたりが新聞の凄さだと思いますし、時々彼らの目に留まるのは嬉しいことだと思っています。
スタッフ不足の真っ最中で、微妙な気持ちもありますが、嘘はつけないので仕方ありません。
今日から10月で、すでに稲穂も頭を垂れはじめています。
関西の農家の方は、24号の風害が少なかったことは何よりだったでしょう。
我が家も停電に備えて、手動発電ライトを試験点灯。
すべて取り越し苦労に終わりましたが、嬉しい誤算でした。
とはいえ、屋根、外壁、板金、電気工事などは、未だ追いついていないのが現状です。
瓦屋根が減小する中での天災で、需要が供給を大きく上回ります。
私の仕事においても、瓦屋根の作品はこれまでに1軒だけです。
「境内の中の家」は、2008年にフジテレビのスーパーニュースから、200日に及ぶ密着取材を受けました。
文字通り、神社の中にある神官のお家で、軒先は一文字瓦ですっきりと仕上げました。
もしかすると、私たちが瓦最後世代になるかもしれません。
最近の瓦は、下地に桟をうち、そこに引っ掛けてクギで固定します。
従来の瓦は土で固定しているだけ。
最上部にある「のし瓦」は銅線もしくはステンレス線で固定されますが、それでも21号の時は、多くの瓦が吹き飛ばされました。
こちらの建物は、築50~60年だと思うので、おそらく土での固定です。
密集して建っている場合、古い工法だったとしても、そこまで被害を受けていないことが多いのです。
反対に、ポツンと立っている建物は風の影響をダイレクトに受けます。
こちらの住宅は、屋根上のアンテナがかなりの風圧を受けたでしょう。
根元の屋根部分がかなりのダメージを受けており、早々に手を入れてあげたいところです。
周辺環境は変わるので、どうすることもできませんが、街並みを意識するということは、景観以外の恩恵があると言えるのです。
先程の被害が見えなかった住宅ですが、屋根の上に面白い飾りが載っていました。
調べてみると「鍾馗様(しょうきさま)」と言うようです。
道教の神様で、中国では鬼を退治したという逸話から、厄除けに飾るよう。
向かいの家が「鍾馗様」を飾ると、同じようにお向かいが飾る習慣があるらしく、微笑み返しとして「おたふく」を飾ることもあるそうです。
よくみると、凛々しく、また可愛らしい顔をしています。
厄の中には、もちろん台風も入っていたでしょうが、最後は神頼みなのです。
オリジナリティ、個性が尊重される時代です。
過去の慣習を踏襲することが全て良い訳ではありませんが、自身の経験外のことが起こることは多々あります。
そんな時、街並みという歴史に学ぶことは沢山あると思うのです。
頭を重くした細い稲穂が、一本で植わっていたなら。
台風がくればひとたまりもないでしょう。
それぞれが自分で立とうという意識は大切ですが、人にしろ、植物にしろ、よりそって生きなければならない場面は、意外に多いのかもしれません。
愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ
鉄血宰相、ビスマルクの言葉を、警句として聞きたいと思うのです。
■■■毎日放送『住人十色』4月14日5:00pm~5:30pm
「回遊できる家」放映
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■『関西の建築家とつくる家 Vol.2』2月1日発売に「阿倍野の長家」掲載
■『homify』6月29日に「回遊できる家」掲載
■『homify』6月2日に「イタウバハウス」掲載
■『houzz』5月28日の特集記事に「あちこちでお茶できる家」掲載