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思考の整理学

 昨日は横浜へ行っていました。

 車窓からは、街あり、海あり、田圃あり。日本の景色は変化に富んでいて、飽きることがありません。

 帯に「東大・京大で一番読まれた本(2008年大学生協調べ)」とあるのが「思考の整理学」。

 順番を少し後ろにしていましたが、読み出すと、エッセイとしても面白いのです。

 しかし、出だしの章から強烈です。「グライダー」を要約してみます。

 人間には、受動的に知恵を得る『グライダー能力』と、自分でものごとを発明する『飛行能力』がある。

 前者を欠いていては知識を習得できないので、独力で飛ぼうとするとどんな事故になるか分からない。

 現実的にはグライダー能力が圧倒的で、飛行能力はまるでなし、という「優秀な」人間がたくさんいる。

 そういう人も「翔べる」という評価を受けている。

 学校はグライダー人間をつくることには適しているが、飛行機人間を育てる努力は少ししかしていない。教育が整備され、ますますグライダー人間を増やす結果になった。

 また、

 プロの棋士には、中学までの義務教育がじゃまになっていると言う人もいる。

 一番頭の発達する時期に、学校でグライダーの訓練なんかさせられては、ものにならないという。

 著者の外山滋比古さんは大学の教授で、教授の書いたこの本を、東大生と京大生が最も読んでいる。

 この現実をどう考えれば良いのか。ちょっと悩みます。

 しかし、これを物語る場面は実際に起こります。例えば、新卒の学生が当事務所に入って来た時。概ねこんな感じです。

 どんなことにも、正解がある。それを一つずつ、教えて貰おう。

 仕事に正解なんかありません。自分が正しいと思う所へ向かうだけです。その葛藤こそが人生で、その軌跡が仕事の結果なのです。
 
 でも心配いりません。全ては現場が教えてくれます。あとこの本が。

上野と本郷

 日曜日は、東京で打合せがありました。

 行きの新幹線からは、富士山のが完全な姿が。

 2世帯住宅の設計は、最終段階に入りました。昼からの打合せを終え、その日の夜はホテル泊。

 今日は朝から所轄の官庁廻り。それが終わると、街を見て廻ります。

 最後が上野付近だったので、今回は西郷隆盛像からスタートです。

 小さい頃、パンダを見に来て以来だと思います。

 西郷さんは以外に小さいんだな、という印象でした。

 夕方にさしかかっていたので、前川國男の東京文化会館はフォルムのみ。

 それでも前川らしいと分かります。

 月曜日だったので、安藤忠雄が保存、再生した国際子供図書館は休館日でした。

 その他、コルビュジエの西洋美術館も休館。

 一番楽しみにしていた、谷口吉生の国立博物館の法隆寺宝物館にも入れず。

 入れないとなると余計に見たくるもので、塀によじ登って1枚だけ。

 しかし残念です。

 本郷は東京大学のある街。中に入って来ました。

 一番感激したのが、安田講堂。内田祥三の設計でした。

 学生運動によってよって占拠され、機動隊が強制排除している場面は、何度も映像で見ました。

 すぐそばには、槇文彦の法学系教育棟、安藤忠雄の福武ホールがありました。

 2人の作品が並んでいるのは、東大構内だからこそでしょう。

 2つの建物を行き過ぎると、赤門がありました。

 東大と言えば赤門です。門の前で高1くらいの女の子が、自分を入れて一人で写真を撮っていました。

 高校生の頃、先生が「自分の行きたい大学を実際に見に行って来なさい」と言っていました。

 明確な目標がなかった私は「なぜわざわざ」と思っていましたが、今なら理解できます。

 本当にそこに行きたいなら、その姿を明確にイメージできるほうが、圧倒的に良いからです。彼女は数年先、ここに来るのでしょうか。

 人事ではありません。受験勉強では大した結果が残せなかった私ですかから、今は明確な夢を持って、日々精進です。