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相手がいなければ、勝利も敗北もない‐1536‐

 日曜日は雨予報だったのが一転して快晴に。

 長男が卓球の試合で、奈良の橿原公苑まで行ってきました。

 橿原神宮は大和三山のひとつ、畝傍山の麓にあります。

 こちらは同じく橿原市にある耳成山。

 大和三山は、耳成山を北の頂点として、南西の畝傍山、南東の天香久山と正三角形のような配置で並んでいます。

 橿原神宮のすぐそばにあるジェイテクトアリーナは立派な建物でした。

 誰の作品かまではたどり着けませんでしたが、よくデザインされています。

 外壁とも屋根ともいえるファサードは、プレキャストコンクリートでしょうか。

 洗出しの表情になっており、オリジナリティを感じるのです。

 観客席は生徒、その保護者で一杯。

 アリーナには所狭しと卓球台が並びます。

 プロリーグが開幕し、男女とも世界のトップレベルで戦う選手の存在が、このスポーツを盛り上げるのでしょう。

 会場からは熱気が溢れています。

 長男は中学に入って卓球を始めたのですが、試合を観に来たのは初めて。

 「観てるほうが緊張するわ!」と言い出したら大阪のオッチャン、オバチャンの仲間入り。

 なので言いません。ですが、多少緊張するのは事実です。

 つい最近、ラケットのラバーを変えたばかりで、「まだ慣れてないから自信がない」と言っていました。

 「裏ソフト」とか「ツブ高」とかいう言葉で表現されるのですが、攻撃型、守備型、カットマンなど、それぞれの特徴で組み合わせるそうです。

 試合が始まりました。

 サーブで何ポイントか取っていたので、これは武器になりそうです。親の目ですが、かなり回転がかかっている感じ。

 サーブは2本ずつ交代。11点とれば勝ちで、3セット取れば勝利です。

 出だしはバタバタしたものの、3セット連取で勝利を納めてくれました。

 卓球はセット毎に、ベンチコーチからアドバイスを貰えます。

 彼のチームメイトにトップレベルの選手が居り、アドバイスを貰うと、勝率がぐっと上がるそうです。

 この日も、2セット目からは危なげない試合展開でした。

 後で彼に聞いてみたのですが、相手選手の弱点が見えたのでそれをアドバイスしたとのこと。

 トップに居るだけあって、流石にその観察眼は確かです。

 昼から用事があったので、1試合だけのつもりでしたが、彼の試合まで残って観てみました。

 無用にスマッシュで勝負するのでなく、粘り強く的確に台の奥深い、打ちにくいところへ返していきます。

 これは安定して強いだろうなと、納得したのです。

 先日、入社試験に参加していた学生から、「辞退させて頂きます」とメールが送られてきました。

 3日目が終わったあと、続けるかどうかを尋ねるからと言っていたのですが、1日目が終了し、2日目が始まる前でした。

 「目が泳ぐ」という表現がありますが、これは自分のことを最優先している状態です。

 何かに興味があれば、そちらを見ますから。

 よく見る。そして相手のことを知ろうとする。

 これは仕事でもスポーツでも全く同じです。相手をやっつけることと、興味を持つことはそう違わないかもしれません。

 スポーツに打ち込み、勝つ。これは最高の成功体験です。

 しかし上を目指すなら、全身全霊をかけて練習に打ち込んでも負けます。そして、上には上が居ると知るのです。

 自分が選んだスポーツなので、あまり口出しするつもりはありません。

 しかし、長男に「試合が終わったあとの礼や握手は、もうちょっと丁寧にした方がいいな」とアドバイスしました。

 勝利の喜びも、敗北の悔しさも、相手がいなければ味わうことはありません。これは、スポーツというくくりを外しても全く同じです。

 あまりにも、自分にしか興味のない人が増えていると感じるのは私の思い過ごしでしょうか。

 チームメイトの彼は、帰ろうとする選手を追いかけて行き、握手をしていました。

 そんな小さなことの積み重ねが、人生を好転させるのだと思っているのです。

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『homify』6月29日「回遊できる家」掲載
『homify』6月2日「イタウバハウス」掲載
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