昨日は、朝一番の近鉄特急に乗って、養老へ。
桑名まで2時間程。ここで養老鉄道に乗り換えます。
ローカル線のひとり旅は、何より贅沢な時間。
のんびりと本でも読みながら……
と思っていると、縦揺れがかなり凄いのです。
検札に来た車掌に聞くと「いやあ、赤字路線なので済みませんねえ」と。
線路の下に敷く砂利は、定期的に突き固めればしっかりするが、その予算がないとのこと。
また線路幅が狭いのもその理由だそうです。
もとは近鉄電車の一部だったのが、10年前くらいに切り離されたとも言っていました。何とも微妙な感じもするのですが。
それでも、のんびりした風景を眺めながら45分程で養老駅に到着しました。
駅のホームにも瓢箪。
店先にも瓢箪でしたが、その理由は後で触れてみます。
一番の目的は、養老天命反転地。
一説によると日本一危険とも言われるこのがこの公園です。
荒川修作+マドリン・ギンズの作品ですが、プリツカー賞を受賞した磯崎新との共作、奈義美術館は紹介しました。
案内にはこうあります。
荒川修作+マドリン・ギンズは現在の世界の絶望的な状況を希望有る未来へ転換させるようとしています。
そのためには「死」を前提とした消極的な生き方を改め、古い常識を覆すことが必要だと言っています。この死へいたる「宿命(天命)」を反転することを使命として荒川+ギンズは活動を続けてきたのです。
現在が絶望的で、死を前提とした生き方が消極的かは置いておいたとして、「身体感覚の変革により意識の変革が可能だと考えた」という論理には納得できます。
水平垂直を極力排除し、人のもつ平衡感覚や遠近感に揺さぶりを掛けるという目的は、完全に達成されていました。
団体で来ていた一行のリーダーが「皆が歩けるルートを探さないと……」と困っていました。
しかしよくこの大胆な試みが実現したなと思います。
子連れの若い夫妻は、子供を制するのに懸命でした。
それはよく分かります。大人の私が、正直、身の危険を感じるくらいの斜面でしたから。
すりばち状の園の底にあるのは「宿命の家」。
床のガラス部をのぞくとイスがありました。
そしてこれは「もののあわれ変容器」。
正直、何が何だかさっぱり分かりませんが、平衡感覚が乱れるのは事実だし、転んでしまう人が続出という記事も読んだこともあります。
なかなか機会がなかったので、訪れておいて良かったと思います。
できれば晴天で写真を撮ってみたかったという悔いはありますが。
こちらは天命反転地の手前にある「極限で似るものの家」。
立体迷路になっています。
エントランスに最も近い位置にあるのが「養老天命反転地記念館」。
一番初めに入った時は、面白いなあと思いましたが、それが序の口だったと後で分かったのです。
ここの面白さを、写真と文章で伝えるのはかなり難しいので、気になる人は是非訪れてみて下さい。
小学校くらいのお子さんが居る家庭には、かなりお勧めします。
「養老の滝」と聞けば、私の世代なら「養老乃瀧」を思い出すと思います。
私が18歳の頃、初めて行った居酒屋は「養老乃瀧」十三店だったと思います。
もしかすると京都の「百番」だったかもしれませんが、あまり自慢できた話ではないので、このくらいでスルーさせて下さい。
なぜ「養老の滝」からその屋号を取ってきたのか、行ってから知りました。
源丞内(げんじょうない)という貧しい若者が山で薪を拾い、それを売って目の悪い老父に米や酒を買っていました。
ある時苔むした岩から滑り落ち、気が付くと酒の香りが。泉から酒が湧いているようです。
これを瓢箪に入れて持ち帰り、父に飲ませると目が見えるようになりました。
717年、この話が時の天皇の耳に入り、天が親孝行な若者を助けたのだろうと褒めたたえたというのが、養老の滝、孝子伝説です。
現在も名水百選に選ばれている菊水泉。養老神社脇にあります。
大変美味しかったのですが、少し持って帰り、視力が落ち気味の娘に飲ませれば良かったと思いましたが後の祭りでした。
源丞内が瓢箪に入れて持ち帰ったことから、この地のシンボルとなったようです。
大量に消費されるペットボトル問題の解決法がここにありました。
まさか、今の時代に簡単に瓢箪に戻れるとは思いませんが、方法としては「無し」ではないかもしれません。
「瓢箪から駒」のことわざ通り、何かコミカルで可愛げです。
人ごととしてでなく、ちょっと奮発して瓢箪を買い、菊水泉を詰めて持って帰るくらいのユーモアと余裕を持たねばと思ったのです。
帰りに寄った桑名編はまた次回に。
■■■『大改造!!劇的ビフォーアフター』4月7日(日)BS朝日で「住之江の元長屋」再放送
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