タグ別アーカイブ: 嫌われる勇気

結果は最初に決まっている‐1411‐

 地下鉄御堂筋線、西田辺駅のすぐ東。

 シャープの本社がありました。

 駅から歩いて2分くらいで便利な場所です。

 堺工場の敷地内へ本社を移転したあと、春先から解体が始まりました。

 今日通ると、建物が完全に無くなりました。

 ここまで追い込まなければ、移転、統合が出来なかったことに、名門企業の憂鬱を感じます。

 しかし、他人事だとも思えません。規模は別にしても、後手に回ると、よい結果を生むことはありません。

 こころしなければと思います。

更に西へ行くと、万代池があります。

住宅街の中に突然現れるこの景色。

まさに都会の中のオアシスです。

 現場へ行く前に寄り道していたのですが、何故か車のあたりに多くの警官が。

 何事かと戻ると「痴漢がでて、走って逃げたんです」と。

 何も悪い事はしていませんが警察をみると、何故かドキッとするものです。(停車のつもりですが、駐車違反とも言えますが)

 今年読んだ本の中で、最も印象に残っているのが、「嫌われる勇気」です。

 アドラー心理学を書いたものですが、「今という刹那を、精一杯生きないことこそが、人生最大の罪」という結論に至るまで、哲人と若者の議論で物語りは進行していきます。

 その中で、こんな行があります。

 ある日、妻に「あなたイビキがうるさいから寝られないじゃない」といわれ喧嘩になったとします。

 しかし、イビキをかいたのは、この日だけではありません。

 「喧嘩する」と先に決めているというのです。

 こんな例えもあありました。

 レストランでウェイトレスが飲み物をこぼし、私の服にかかったとします。

 「何をしてくれているんだ!」と怒鳴る人がいれば、「いいよ、いいよ。拭くものだけ持ってきてくれる」という反応もあります。

 虫の居所が悪かったという言い方もありますが、ようするにどう行動するかは、自分が先に決めているのです。怒鳴る理由をいつも探していたから怒鳴った、という考え方です。

 この話を聞いてから、なるほどと思います。

 ある現場で一緒に解決策を模索してくれない職人がいました.

 彼に「初めから出来ないと言うゴールだけ決めて、その理由を探しているだけじゃないか」と色をなしてしまいました。

 若い職人に、そこまで言ってはならないと思うのですが、その姿勢に我慢ができなかったのです。

 反対の言い方をすれば、常にプロとしての仕事をしない彼を(私の思うプロですが)、私がいつか怒ると決めていたともいえます。

 このルールに基づけば、 個人においては自分の決めた通りの結果になります。

 では企業はどうか。

 強烈なリーダーシップをもつ、創業者がいる間はおそらくこのルール通りでしょう。

 永続的発展が企業の宿命なら、いつか代替わりがおこります。その時に、皆の考え方が最も重要になってきます。

 昨年末にマルコが辞めてから、何人もの面接、入社試験をしましたが、ことごとく採用できませんでした。もしくは短期間で辞めていきました。

 昨日、来春からですが1人採用を決めました。

 リーダーができることは、面白いと思える環境をつくることです。社員が遣り甲斐をもち、大変ながらも夢をもって働ける場。

 それが私の目指すところです。

 私は創業者なので、結果は初めから決まっています。必ずそうすると決めるだけなのです。

「いま、ここ」だけを生きる‐1380‐

 先週末、「中庭のある無垢な珪藻土の家」の2ヵ月点検に行ってきました。

 3月末の引っ越しを実現するため、ギリギリの工事が続いていたのは2ヵ月前。

 もとより閑静な住宅街です。

 それらが嘘のように静かな週末の風景でした。

 正面のヤマボウシ。

 あまり道路にはみ出すのも良くないだろうと、少し低めのものを選びました。

 後ろに見えるのは、リビングにつながる中庭です。

 中庭のヤマモミジはなかなか立派な枝振り。

 ご夫妻とも「中庭はとってもいい」とのことでした。

 親族が集まっての、BBQもすでに開催されたと。

 写真がとてもよかったので送ってもらいました。

 炭火を起こすのはたいそうだけど、カセットコンロやホットプレートなら気楽だという方はとても多いのです。

 45cmほどの縁側に腰掛けての昼食はとても楽しそう。

 ちょっと木陰があるだけで、中庭が全く違うものになるはずです。

 こちらのご家族は、お子さんが4歳と2歳で最も親との時間が必要な時期です。

 点検のあと四方山話をしていたのですが、ご夫妻ともフルタイムの共働きということもあり本当に大変そうです。

 私ができることと言えば、一緒に創り上げたこの家が、少しでも日々の暮らしに貢献してくれればと願うだけです。

 ここで書く家創りのストーリーは、「大変だったけどやっぱりよかった」が中心です。

 時には少し叱られることもありますが、最終的には何が何でも、「よかった」まで行くしかありません。

 そう考えると、やはり全てよかったとも言えるのです。

 「うちのお客さんは皆喜んでくれている」というような言葉を聞く場面は結構あります。

 もちろん、不満な状態のまま仕事を終えるなど論外ですが、クライアントは心の底から「喜びたい」と思っています。

 何千万、何億円ものお金をかけて、「まあまあで十分」という人はたったの1人もいません。建築において、喜んでいただくは最低条件だと思っています。

 「特別に喜んで貰っている」と思いたいですが、それは私が決めれることではありません。

 ニューヨーク在住の友人が、「嫌われる勇気」が、すごく面白かったと教えてくれました。

 2014年から2015年にかけてのベストセラーで、タイトルくらいは聞いたことがありました。

 哲学者と現実を嘆いている若者との、対話型式で話は展開していきます。

 結論で言うと、凄い本だと思います。

 人生における最大の嘘、それは「いま、ここ」を生きないことです。

 (中略)

 ありもしない過去と未来ばかりに光を当ててこられた。自分の人生に、かけがえのない刹那に、大いなる嘘をついてこられた。

 (中略)

 さあ、人生の嘘を振り切って、恐れることなく「いま、ここ」に強烈なスポットライトを当てなさい。

 「いま」という一瞬を精一杯生きる。それ以外にできることは何もありません。

 それらを積み重ね、感激、感動してもらえるところを目指すしかないのです。

 自由、幸せ、孤独、そして勇気。これらの言葉は、常に意識してきました。

 「嫌われる勇気」。この本については、また一度しっかり書いてみたいと思います。