タグ別アーカイブ: 伊豆半島

せめて4対6‐1649‐

 冬が暖かくなったといっても12月中旬です。流石に寒くなってきました。

 ディーラーにスタッドレスへのタイヤ交換を依頼していました。

 預けてあった車を、なにわ筋沿いにある店舗へ引き取りに行って来ました。

 通りのイチョウが色付いており、この時期の楽しみでもあります。

 タイヤ交換だけなら1時間程ですが、先々週、運転席の窓ガラスが突然「ドンッ」という大きな音と共にドアの中に落ちてしまいました。

 窓ガラス無しの状態になっていたのです。

 調べて貰った結果「窓ガラスを固定するナットが緩んでしまったようで……」とのこと。

 誠実なお詫びがあったのと、再固定し緩み止めの薬剤をしっかり塗布するれば問題ないとのことだったので、納得して帰ってきました。

 持って行く時は半分オープンカーで、嬉しいのが本音でしたが。

 今年の年始は、伊豆半島を旅しました。

 沼津で少し遊び、駿河湾沿いを走りました。

 目的地を決める時は、何かしら風景のイメージをつくりますが、富嶽三十六景よろしく、海越しの富士山を思い描いていたのです。

 しかし残念ながら、丁度そのタイミングで山頂に雲。

 そのカットは、またの機会になってしまいました。

 この旅では、行きの高速道路で降り口を通過してしまい「特別回転」という制度を紹介しました。

実はもうひとつ大きな失敗をしていたのですが、恥ずかしくて書いていなかったのです。

 ちょっとした不注意で、縁石にタイヤを当ててしまい、ゴム部分がえぐれてしまったのです。

 この状態で大阪まで帰るのは怖いので、JAFに連絡すると提携会社の人がすぐにやってきてくれました。

 車の腹からスペアタイヤを外し。

 正月休みにも変わらず、とても愛想の良いお兄さんが、てきぱきと入替をしてくれたのです。

 自分で交換も不可能ではありませんが、旅先でもあり本当に有り難かったのです。

 そんな関係で、現在スタッドレスは前輪部のみが新品。

同じ銘柄のスタッドレスタイヤですが、楕円の部分を見れば「34週目、2018年製造」と分かるとディーラーの人に教えて貰いました。
 
 当たり前ですが、サービスする側とサービスして貰う側で言えば、前者の方が経験値が高いものです。

 しかしサービスする側が、自分にウェイトを置くか、相手に尽くそうとするかで、全く違った印象になります。

 この比率は、10対0、5対5、0対10と無段階のバリエーションがあります。せめて4対6でなければ、仕事上での会話は成立しないでしょう。

 職種は伏せますが、ある営業マンが「新しく担当になったので、守谷さんのいい日に行きますよ」くらいの感じで電話をしてきました。

 仕事のキャリアは5年目と言いますから20代でしょう。「まさかあなたに敬意など持っていませんよ」という言葉が後ろから聞こえてきそうで、印象的には2対8。

 あまりにも馴れ馴れしいので「守谷さまの間違いじゃないのか」と言ってしまいました。

 評論家、谷沢永一は著書「人間通」でこんなことを書いていました。

 才能も、智恵も、努力も、業績も、忠誠も「可愛げがある」という奴はかなわない。秀吉にあって家康にないものは「可愛げ」であると。

 しかし「律儀」を磨き上げれば、殆ど「可愛げ」になる。家康はそれで天下を取ったのだと。

 「律儀」も「可愛げ」も無いのに、口のきき方だけは一人前。そんな営業と喋りたいという人など誰もいません。

 翻って自分を見てみると、「可愛げ」はほぼ無いでしょう。

 ということは「律儀」で生きるしかありません。ということくらいは自覚しているのです。

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『大改造!!劇的ビフォーアフター』7月21日(日)BS朝日で「住之江の元長屋」再放送
『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから2017年11月27日出版
amazon <民家・住宅論>で1位になりました
『homify』5月7日「碧の家」掲載
『houzz』4月15日の特集記事
「中庭のある無垢な珪藻土の家」が紹介されました
『デンタルクリニックデザイン事典vol.1』4月1日発売に「さかたファミリー歯科クリニック」掲載
「トレジャーキッズたかどの保育園」
地域情報サイトに掲載されました

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あなたと越えたい‐1551‐

今日の大阪は曇り空の寒い1日でした。

しかし朝方は7時頃になればかなり明るくなり、季節が進んでいることも感じます。

朝焼けは天気が崩れると言いますが、それでも美しいことに変わりはありません。

冬季休暇の話しに戻りますが、1月4日から6日までは伊豆半島の伊東に滞在していました。

特にこの期間が暖かかったようですが、15℃以上まで上がった日もあり、南国の雰囲気さえ感じます。

ホテルの部屋から、遠く東に望むのは初島。

蜃気楼が見えた日もありました。

中心街には温泉町の風情が残ります。

昭和3年に完成した東海館は、庶民のための温泉宿だったそう。

これが庶民の温泉宿だとするなら、当時の建築がいかに丁寧に創られていたのかを感じるのです。

少し車で走ると、長い竹に飾りつけをしたものを多く見かけました。

先の写真にも写っていますが、新年を祝う地域の風習なのでしょうか。

伊東から伊豆半島の内陸部を南に下ります。

天城山を目指し九十九折の山道を走ると、名産のワサビ畑をところどころに見ることができます。

天城山の雪解け水が、美味しいワサビを育てるのだそう。

確かにあまり辛くなく、食べやすいワサビでした。

今年も「紅白歌合戦」は観ていないのですが、紅組のトリは石川さゆりの「天城越え」だったとありました。

川端康成の代表作「伊豆の踊子」の舞台でもある天城トンネル。

まさにここが天城越えの地です。

正確には天城山隧道といい、明治38年に完成した石積みのトンネルです。

途中まで歩いてみましたが、ちょっと怖くなって戻ってきました。

道中の山道には川端康成のレリーフがあります。

「伊豆の踊子」は、青年が旅の一座にいた幼い踊子に寄せた淡い恋心を描いた小説です。

「雪国」と共に川端康成の代表作。

1968年、日本人初のノーベル文学賞を受賞しますが、ともにトンネルが大きな役割を持っているのが面白いところです。

この珠玉の2作品を「トンネルズ」と言ってしまったら、巨匠にお叱りを受けるでしょうか。

川端はノーベル賞の受賞にあたって「作家にとっては名誉などというものは、かえって重荷になり、邪魔にさえなって、萎縮してしまうんではないかと思っています」と語ったと言います。

また、受賞の理由に「日本の伝統のおかげ」「各国の翻訳者のおかげ」、まな弟子である「三島由紀夫君のおかげ」と語ったそうです。

その三島由紀夫の割腹自殺の2年後、1972年72歳の時に自らも命を絶ってしまうのです。

市井で暮らす私に、文豪の心の底など分からないとも言えますが、僅かに作家としての苦しみも分かる気もします。

『天城越え』 歌:石川さゆり 作詞:吉岡治

 誰かに盗られる くらいなら あなたを殺して いいですか

(中略)

 あなたと越えたい 天城越え

敦賀から京都に鯖を運んだというのが鯖街道ですが、これらは女性の仕事だったそうです。

その道中、山賊の類に多くの女性が命を奪われたと言います。

天城山隧道の歴史背景は知らないのですが、多かれ少なかれ、そのようなサイドストーリーはあるのだと思います。

日本列島で旅をするということは、山、峠という障壁を越えるということです。

トンネルは非常に重要なものであり、これ程交通が発達した現在より、もっとドラマチックな景色を演出するものだったでしょう。

車、新幹線、飛行機と便利な世の中になりました。

しかし、未だに「天城越え」が紅白のトリを飾ることが理解できる気もするのです。

ただ、殺されるのは御免ですが。

■■■『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから2017年11月27日出版
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■4月1日「トレジャーキッズたかどの保育園」開園

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大阪ガス『住まう』11月22日発行に「中庭のある無垢な珪藻土の家」掲載
『住まいの設計05・06月号』3月20日発売「回遊できる家」掲載
『関西の建築家とつくる家 Vol.2』2月1日発売「阿倍野の長家」掲載
『homify』6月29日「回遊できる家」掲載
『homify』6月2日「イタウバハウス」掲載
『houzz』5月28日の特集記事「あちこちでお茶できる家」掲載

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