この冬一番の寒気だそうで、昨晩は革手袋をしていても指先がしびれる程でした。
寒いのは辛いと言いながらも、少しほっとしたのが正直なところでしょう。
やはり冬は冬らしくあって欲しいものです。
庭木の老梅が満開です。
お向かい宅のキンカンも、大きな実をつけていました。
近所は古い家が多いのですが、季節ごとにバランス良く庭木が植わっているのが分かります。
個人の庭ですから、どんな樹を植えるのも自由です。
それでも、多少街の景色をイメージしながら庭木を選んでいたのでしょう。それが昭和という時代なのかもしれません。
下町を車で走っていると「たこせん120円」という看板が見えました。
「たこせん」は、せんべいでたこ焼きを挟んだものです。
私が子供の頃は、満月ポン2枚にたこ焼きを2個で30円。
それが亀田のカレーせんに変わっても値段は同じく30円。私はどちらかと言えば「カレーせん」派でした。
大きなえびせんを2枚に割って、たこ焼きが3個の「えびせん」もありました。
これは50円だったと思います。
駄菓子屋のおっちゃんが、たこ焼き用の目打ちで中央にキズを付け、パリンと割ってくるのです。
飲み物は「みかん水」で50円。あのビビッドな黄色が、自然の色ということはないでしょう。
大阪の下町のガキンチョはこれらで成長したのです。
そんなジャンクフードで育ったんですと言ったら、あるクライアントが「それはソウルフードですよ!」と。
なる程、言葉は選びようだなと感心したのです。
中国なら医食同源と言いますし、ソウルフードということは自身の精神性にも大きく影響を与えることになります。
ロンドンならフィッシュ&チップス。
バンコクならパッタイ。
大阪ならたこ焼き。
気楽に食べられると言うことは、高価すぎる物はNGです。
リーズナブルだけどジャンクでない。
ここに本質がありそうですし、商いの原点も全く同じでしょう。
近頃はローコスト住宅のオファーが随分減りました。
若い頃はびっくりする位の低予算でオファーを貰うことが結構ありました。
とっても個性的なクライアントと、唯一無二の物語を創ってきたという自負もあったのです。
社会は概ね三角形です。お金持ちが一番多い逆三角形にはなりません。
そう考えると、コストが高い仕事が少なく、低い仕事が多い方が自然です。
今もローコストの建物を設計したくないということは全くありません。
ミース・ファン・デル・ローエが
Less is more.
と言った通り、少なきことは豊かなことでもあると思うのです。
「厳しいですね~」などと言いながら、何とか建築を生み出して行く。それが私の日常でした。
若い時に「君の得意はどっちなんだ」と聞かれたことがあります。
「クライアントが本気なら、どっちでも構いません」と答えると、「そんなことでは差別化できないよ」とアドバイスを貰いました。
それはそうだと思いますが、思っていないことを口にすることはできませんし、設計料には下限を設けているので、尚更なのです。
小学生の時は、たった80円で天国へ行けました。今でも、220円のビールをプシュとやれば結構幸せです。
本質は何も変わっていませんが、子供が受験をし、スマホを買えといい、海外研修など聞こえてくると、800円、8千円、8万円……
もう我武者羅には働くしかないのです。そして分かったことがあります。
少なきこと=豊かなこと
ではなく
少なきこと⇒豊かなこと
なのだと。
ピンチの中以外に、チャンスなどある訳がないのです。
■■■ 『Houzzユーザーが選んだ人気写真:キッチン編』2019年12月3日で「「中庭のある無垢な珪藻土の家」」が5位に選出
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■『suumoリフォーム 実例&会社が見つかる本 関西版』2019年9月30日発売に「回遊できる家」掲載
■『大改造!!劇的ビフォーアフター』7月21日(日)BS朝日で「住之江の元長屋」再放送
■『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから2017年11月27日出版
amazon <民家・住宅論>で1位になりました
■『homify』5月7日に「碧の家」掲載
■『houzz』4月15日の特集記事 に
「中庭のある無垢な珪藻土の家」が紹介されました
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