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重力に抗え‐1671‐

 先日、八尾空港を訪れた際に、初めてヘリコプターを真近に見ました。

 望遠レンズをのぞいてみると紫の機体には「ABC」のロゴ。

 朝日放送のヘリなのかもしれません。

 バリバリと大きな音が聞こえてきたので見上げると、真っ赤な機体が見えてきました。

 大阪市消防局のヘリのようです。

 八尾空港には大阪市消防局航空隊の建物があるのです。

 着陸するのかなと思ったら一旦ホバリング。

 訓練でもしているのか、低い位置で移動、停止を繰り返します。

 きびきびとした動きが、かなりの迫力でした。

 1月末にNBAのスーパースターだったコービー・ブライアントを乗せたヘリコプターが墜落するという事故がありました。

 あまりにもショッキングなニュースで、ヘリコプターを話題にすることをためらっていたのですが、傍観するだけでその圧倒的な性能を体感できました。

 これだけ繊細な動きができるから、災害救助や救急医療に使われることがよく分かったのです。

 中世の天才芸術家、レオナルド・ダ・ヴィンチは科学者としても一流だったと言われます。

 そのダビンチも構想を持っていたというヘリコプター。

 当時の動力では実現できなかった訳ですが、1939年にアメリカの航空技術者イゴール・シコルスキーが現在のようなヘリコプターを完成させました。

 80年前のことで、飛行機の実用化に比べて、いかにハードルが高かったかが分かります。

 シコルスキーは、ホバリングできるヘリコプターなら人命救助や、けが人の安全な輸送に力を発揮できると考えたのです。

 その純粋な動機が、ヘリコプターを実現したのですが、完成までに30年を費やしています。

 天才ダビンチも現実に出来なかった要因は、やはり重力でしょう。

 重力を振り切り、遠心力と釣り合っている状態が人工衛星です。

 理論上、重力と遠心力で釣り合う為に必要な速度を第一宇宙速度と言いますが、28,400 km/hとありました。

 例えば惑星探査機のように、地球の重力を振り切るために必要な第二宇宙速度は40,300 km/h。

 音速が1,225 km/hなので、一桁違う速度です。

 重力を振り切ろうと思うと、ロケット打ち上げのような膨大なエネルギーが必要となるのです。

 学生の頃、また働き始めた若い頃、「いつになれば楽になるんだろう」と思っていました。

 しかしこの世には重力があります。

 ローターを回すのを止めると、すぐに地表まで引きずり降ろされてしまうので、結論で言うと楽になることはないという身も蓋もない話でした(笑)

 唯一方法があるなら、重力を振り切ってしまうことでしょうか。

 ビル・ゲイツなら、第二宇宙速度をも超えているかもしれません。

 どうやらビル・ゲイツにもスティーブ・ジョブズにもなれそうにはないので、精一杯ローターを回す方を選択させて頂こうと思います。

■■■2月13日 『Best of Houzz』「中庭のある無垢な珪藻土の家」が受賞

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■7月21日BS朝日『大改造!!劇的ビフォーアフター』「住之江の元長屋」再放送
■2017年11月27日ギャラクシーブックスから出版『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀がamazon <民家・住宅論>で1位になりました
■4月1日発売『デンタルクリニックデザイン事典vol.1』「さかたファミリー歯科クリニック」掲載
「トレジャーキッズたかどの保育園」
地域情報サイトに掲載されました

メディア掲載情報

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
 アトリエmの現場日記

天才の勤勉と孤独‐1244‐ 

 現在、グランフロントで「ダ・ヴィンチ展」が開催中です。

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 芸術家、科学者、技術者としてもすぐれた、言わずと知れたルネサンスの天才。

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 彼の手稿(メモ書きのようなもの)が精巧に復元され、多数展示されています。

 自画像のデッサンを見ると、異次元なのだと理解できます。

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 展覧会のwebサイトに、彼の言葉が載っています。

 「簡単でいいのでメモを取る。その為に、小さなメモ帳をいつも持ち歩く」

 同じレベルでは描けないまでも、これはすぐに真似出来ます。早速、小さなメモを買いました。

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 彼の考えたヘリコプター等、多くの模型が展示されていますが、メインはやはりアンドロイド。

 目の動きなど、今まで見たなかで、最も精巧でした。

 現実に働く、人型ロボットが生まれる日が、確実に近づいていることを実感します。

 それが人類の幸せに貢献するものであることを祈るのみです。

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 レオナルド・ダ・ヴィンチ=ヴィンチ村のレオナルド。

 言わば「村の天才」という意味です。生家の写真がありましたが、なかなかに恰好のいい建物でした。

 彼はここで庶子として生まれ、祖父の元で育てられました。

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 ヴィンチ村はフィレンツェ近郊の村です。

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 15世紀中頃、フィレンツェは隆盛を極めていました。

 この街でヴェロッキオに師事し、芸術家としてのスタートを切ります。

 しかし、横暴な政治を行っていたメディチ家を、ダ・ヴィンチは嫌っていたようで、活動の拠点をミラノに移します。

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 花の都には劣るもの、繊維産業や兵器産業が盛んなミラノで、画家として、技術者として、徐々に仕事を得て行ったのです。

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 2012年に訪れた際、ミラノのサンタ・マリア・デッレ・グラッツィェで「最後の晩餐」を観ました。

 完成まで3年の時間を要しています。

 彼は完璧主義の為、作品として残したのは十数点にすぎません。その意味でもこの大作は貴重だと言えます。

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 1995年、24歳の時にルーブルで「モナ・リザ」をみました。

 感激で心震えた、と言えれば良いのですが、第一印象は「意外に小さいんだな」というもの。

 しかし、当時も天才の本物を観たいと思っていたのです。

 ダ・ヴィンチは、溢れる才能と、繊細な神経ゆえ、人に心を悟られるのを嫌い、鏡文字を書いたそうです。

 こんな言葉を残しています。

 「独りでいる時、人は完全に自分自身になれる。ところが、たった一人でも連れがいれば、自分の半分になる。連れの言動が思慮に欠けるものであれば、それにより、さらに自分は減るかもしれない」

 この展示会では触れられていませんが、後年、彼の回りには、常に若い男が居たことや、男色の容疑を掛けられたことがあることから、ホモセクシャルだったのではと言われています。

 独りを愛し、鏡文字を書く天才。孤高という言葉がしっくり来ます。

「撰ばれてあることの恍惚と不安と二つわれにあり」

 太宰治が引用したフランスの詩人、ポール・ヴェルレーヌの一節ですが、少し分かると言えば、失礼でしょうか。