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お目が高い!‐1647‐

 庭木のサザンカが満開です。

 築38年の古家を買ったのが8年前。

 よって、私が選んだ庭木は1本もありません。

 毎朝、この小さな庭に向かって瞑想しますが、花木の変化が、日々に僅かな平静を与えてくれるのです。

 初代阪急梅田駅のホームだったコンコースもクリスマス仕様になっていました。

 14年前に書いた「阪急梅田の歴史」はこの日記で、最も読まれている記事のひとつだと思います。

 私にとっては、中学、高校、予備校の通学路でもあり、原風景のひとつなのかもしれません。

 火曜日に「おめでとうございます! あなたの写真が Houzz の特集記事に取り上げられました」というメールが届きました。

 Houzzは、建築関係の専門家紹介サイトですが、世界規模のサイトでもあり、作品が完成する度にUPしています。

 貼り付けてあったURLをクリックすると、

【2019年】日本のHouzzユーザーが選んだ人気写真:キッチン編 

 とあります。

 2018年1月〜2019年11月15日までにアップロードされた写真のうち、2019年1月〜11月15日までの間に日本のHouzzユーザーがアイデアブックに保存した写真のデータに基づいています。

 ともありました。

 「中庭のある無垢な珪藻土の家」のキッチンが、日本で5番目に多く保存されたということでした。

 こちらの奥様は本当に忙しい方で、相談に見えてからも、動きやすい配置をよく勉強、研究されていました。

 ゴミ箱を置く位置や、ゴミ箱上にある小さな棚にはストック用のゴミ袋を置いて置きたいなど、詳細までイメージが出来上がっていたのです。

 キッチン裏にある家事スペースは、仕事も出来るようにダイニングと距離を取りながらも、顔を上げればお子さんが見えるような開口で繋がっています。

 もの凄く広いLDKなら無条件に賛成したのですが、家事スペースをキッチン後ろにとると、少しリビングが狭くなるかもと懸念していました。

 本当に奥様の希望通りの配置にしても良いものか、随分悩んだのです。

 悩みに悩んだのですが、希望の通りのプランで行くことにしました。

 おそらく人生で最も沢山のお金を掛ける「家」に関わらせて貰っているので、悩んだり逡巡することばかりです。

 しかし、ある時気が付きました。

 自分が答えをどうしても出せない位に迷っている時は、どちらに進んでも大丈夫だと。

 このキッチンは、特別な材料を使っていたり、驚くような配置になっている訳ではありません。

 もっとはっきり言えば、格好のよいキッチンは他にも沢山あったはずです。
 
 その中で、この写真が選ばれたことに、見る人がどれだけ真剣に何かを探しているかを感じるのです。

 「お目が高い!」と言えば、目線が上から過ぎるでしょうか。

 こんなプレゼントが時々届くと、「ああ、間違っていなかったんだ」と勇気が湧いてきます。

 小さな結果の積み重ねが、一所懸命に働けば、必ず誰かが見てくれているという確信へと繋がって行くのです。

 これを、梅田のコンコースを通って通学していた頃に分かっていれば、最終学歴はマサチューセッツ工科大学だったはずですが、それはもう叶いません。

 ただ、エリートではないから分かり得ることもあると思います。負け惜しみかもしれませんが。

■■■ 『Houzzユーザーが選んだ人気写真:キッチン編』2019年12月3日で「中庭のある無垢な珪藻土の家」が5位に選出

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【News】

『suumoリフォーム 実例&会社が見つかる本 関西版』2019年9月30日発売に「回遊できる家」掲載
『大改造!!劇的ビフォーアフター』7月21日(日)BS朝日で「住之江の元長屋」再放送
『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから2017年11月27日出版
amazon <民家・住宅論>で1位になりました
『homify』5月7日「碧の家」掲載
『houzz』4月15日の特集記事
「中庭のある無垢な珪藻土の家」が紹介されました
『デンタルクリニックデザイン事典vol.1』4月1日発売に「さかたファミリー歯科クリニック」掲載
「トレジャーキッズたかどの保育園」
地域情報サイトに掲載されました

メディア掲載情報

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記

最高学府も万能じゃない‐1459‐

 今年は、庭木が例年より元気な気がします。

 サザンカは、秋頃から咲き続けていますが、今が盛りでしょうか。

 ウメも大雪の日あたりがピークかなと思っていたら、更に蕾も花も増しています。

 どこどこのお子さんが、○○中学に通ったとか、○○大学に通ったらしいとか、風の便りが届きだす季節です。

 このまま温暖化が進んだなら、合格を「ウメサク」という時代がくるかもしれません。

 その真剣勝負の場が入試ですが、□□大学の問題に不備があったという記事を時々見かけます。

 正解が無かったり、複数あったり等というケースですが、今朝も関東圏の私学が紙面にでていました。

 正直、酷な時代だと思います。

 素晴らしく優秀な大学教授が、何度チェックしたとしても、これだけ多くの人が問題を共有し、多くの進学塾や予備校が粗さがしをしたなら(適切な表現ではないかもしれませんが)、確実にそのほうが発見能力は高いと思うからです。

 比べられる話ではないのですが、この日記の誤字脱字を、的確に指摘してくれる後輩がいると書いたことがあります。

 メールで知らせてくれるのですが、それを3回読み直しても、どこが間違っているか分からない時があります。

 我ながら情けないのですが、まず、自分が創ったものを、懐疑的に、否定的にみるのは、相当に難易度の高い行為です。

 また、クリエイトする能力も高く、チェック能力も高いというケースは、かなり稀だと思います。

 入試は外部に出せないという性格上、この種の問題が無くなることはないはずです。

 私にとって受験は、苦い思い出しかありませんが、社会にでるハードルとして、あったほうが良いと考えていました。

 長い受験の歴史で、採点ミスで合格した人、不合格になった人は、どのくらいいたのだろうかと考えます。

 また、中国の科挙においてのカンニング史を読んだこともあります。

 そんなことまで含めて人生だと思いますが、1日、2日のペーパー試験で、人の優劣を決めるという制度は、すでに時代と合っていないのかもしれません。

 それは、実社会の入社試験が、ペーパーテストだけでないことからも明らかです。

 誤解を恐れず言えば、大量消費社会において、大量に、効率よく人を判断する時代は終わりつつあると思います。

 ではどんな制度がいいのかと問われても、名案がある訳ではないのですが、入社試験は「皆で食事をつくる」という話も聞きました。

 企業のほうから真剣度が伝わってくるのは事実です。

 ちなみに、当社の入社試験は模型作りからスタートします。

 まずは敷地模型から。

 徐々に建物本体へと難易度を上げて行きますが、これを3日程見せてもらえば彼らの人生がある程度は透けて見えます。(と思っています)

 映画監督、宮崎駿は「私はマルチを信じない」と言いました。

 権威に対する抵抗と、応援の意味をこめて、最高学府の英知とて万能ではないと、繰り返し書いておこうと思います。