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小さな歓声、小さな成功体験‐1457‐

 月曜日、ジャンプの高梨沙羅選手は3位に入りました。

 前回の4位と銅メダルの差は、明るい涙が物語っていました。まだ21歳。次回は頂点に立つ姿を見たいものです。

 彼女のワールドカップ53勝は最多勝タイ。もうひとりはオーストリアの28歳、アルペンスキーのマルセル・ヒルシャー選手です。

 自分が試合に出なくなり、全くアンテナを張っていませんでしたが、ワールドカップで6年連続総合優勝をなし遂げています。

 「総合」とあるのは、アルペンスキーは主に4つの種目があり、種目別優勝もあるからです。

 コース内の旗門をくぐりタイムを競うのは同じですが、最も旗門がすくなく、最もスピードがでるのが「滑降」です。

 ピョンチャンのコースでは最高速度が120km/h。

 そこから「スーパー大回転」「大回転」「回転」と旗門数が多くなり、ターンはより細かくなって行きます。

 「回転」では、ターン技術や俊敏性が求められるので、「滑降」とは必要とされる筋力も変わっくるのです。

 「滑降」と「スーパー大回転」を『高速系』、「大回転」と「回転」を『技術系』と区分けします。

 マルセル・ヒルシャーは主に『技術系』の2種目にエントリーする選手。

 2016-2017シーズンまでの総合6連覇の間、「回転」「大回転」ともに4度の種目別優勝。まさに絶対王者です。

 しかしその彼も、オリンピックでは2014年ソチ大会で、回転の銀メダルのみでした。

 5つ目の種目として、「滑降」と「回転」という両極端な種目の合計タイムで競う、「複合」という種目があります。

 火曜日に、この種目で男子アルペンスキーは開幕しました。

 まず前半は滑降。

 ヒルシャー選手と、『高速系』のスペシャリストとの差は僅か1.32秒。安定した滑りで7位につけました。

 そして後半は得意の「回転」。

 前半の急斜面は、少しセーブしている感もありましたが、中盤から後半の滑りは圧巻。

 早く美しい。

 6人を残してトップに立ったのです。

 2位のフランス人選手に0.2秒差に迫られましたが、そのまま逃げ切って、悲願の金メダルを手にしたのです。

 絶対王者でも、簡単に勝たせてくれないのがオリンピックなのです。

 極上のドキュメンタリー映画を観せて貰ったような気分でした。

 まさか、世界最高の選手と張り合うつもりはありませんが、「回転」は私が最も得意としていた種目でした。

 大学3回生の3月。岩岳で開催される、日本一大きな草大会に出場しました。

 スタート順はほぼ最後尾の394番。1本目、荒れに荒れたコースを攻めて、300人抜きの100位に入りました。ゴールエリアで僅かに歓声があがったのです。

 回転は、1本目が早かった順からスタートし、2本合計で競います。2本目はコース状況も良いので、100人抜きのつもりで攻めました。

 が、気負いすぎて片足通過反則でタイムなし。この日で大学のスキー生活は終わったのです。

 この日の1本目が、私にとって人生最高のランでした。

 体格に恵まれなくても、環境に恵まれなくても、仕事だけは頑張った分だけ応えてくれます。

 しかし、何かしらの小さな成功体験があったからこそ、頑張れるのかもしれません。

 1993年の3月。

 春のスキー場で聞いた小さな歓声は、私の人生に少しの勇気を与えてくれました。

 トップ選手であれ、アマチュアであれ、スポーツは人生の縮図だと思うのです。

這ってでも、光へ向かって‐1456‐

 建国記念日の朝は、大阪でも雪積がありました。

 青空と雪のコントラストは本当に美しいもの。

 自分の住む街だから、なお更なのかもしれません。

 普段はパッとしない公園も(失礼)、まるでキャンパスのようです。

 子供達は早速雪遊びです。

 大阪で積雪があったのは7、8年振りでしょうか。

 隣の塀の上には雪だんごが残っていました。

 小さいお子さんがいるのです。

 私のジョギングコースには結構お寺があります。

 瓦屋根と雪の景色もなかなか相性が良いもの。

 あるお寺の前に、今日はこの言葉が張り出されていました。

 諦めるな 光に向かって

 這って 行きなさい

 昨年のノーベル平和賞で、広島で被爆したサーロー節子さんが、被爆者として初めて演説したときの一文でした。

 壊された建物の瓦礫の中で、誰かが励ましてくれた時の言葉だそうです。非常に暗示的でもあります。

 先週末にピョンチャン(平昌)オリンピックが開幕しました。

 政治ゲームが透けて見えるのだけは勘弁してもらいたいですが、アルペンスキーは、日本、他国を問わず気になります。

 最も気になるのはジャンプの高梨沙羅選手。

 前回のソチオリンピック時は、絶対王者としてのぞみながら、苦汁をなめました。

 男女を通じてワールドカップ最多勝のレベルにある選手ですが、オリンピック前のワールドカップでは、メダル圏を行き来する状況のようです。

 4年に1度という時間軸が、選手の人生を翻弄するのがオリンピックですが、何とか文字通り雪辱を晴らして貰いたいものです。

 予定通りなら、今晩が試合開催のよう。応援したいと思います。

 這ってでも、光へ向かって頑張れ!