ひとこと目には「暑い暑い」と言ってしまいます。
この夏の日射は容赦ありません。
私は夏大好き、晴れ大好きですが、今朝の曇り空にはややほっとしました。
自転車の反射板がプリズムの役割を果たし、美しい虹色を見せてくれました。
こうしてみると、夏の日差しも少しは涼やかでしょうか。太陽は生命の源で、何の罪もありませんが。
京セラ名誉会長の稲盛和夫さんから、経営を学ぶ場が「盛和塾」。
私は2007年に入塾しました。
人生にとって、経営者にとって、最も大切なのは「考え方」と教えて貰いました。
稲盛さんの著書、「成功への情熱」の中に、以下のような言葉があります。
「強さ」の秘訣のひとつは、完全に客観的でいる勇気を持つことです。もうひとつは、個人の感情を上回る強い信念を持って、自分自身の能力を信じることです。
繰り返し読んでいる本ですが、ハッとします。
先日世界遺産に指定された、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」を思います。
私の大好きな坂の街、長崎。2015年9月に訪れました。
この年の7月、明治日本の産業革命遺産が世界遺産に登録されました。
軍艦島等と共にグラバー邸も登録されています。
大浦天主堂は今回の登録で、現在は壁が真っ白に塗られているよう。
この旅では、高倉健の最後の映画となった「あなた」の舞台、平戸もまわることにしていました。
薄香漁港がその撮影現場です。
集落内は、ひっそりとしていました。
初めて訪れたひなびた漁村に、強いノスタルジーを抱くのはなぜなのでしょう。
そのまま、平戸ザビエル記念教会も訪ねました。
その色使いは、南欧の雰囲気も感じさせます。
日本ではないような空気感さえあるのです。
強い信念という意味においては、信仰ほど強いものはありません。
キリスト教が禁じられた260年の間、それらを守るために、踏絵で命を落とした人が実際に居たのです。それはごく普通の市井の方々だったはずです。
それを思うと、どのくらいの信念を持っているのかと、自分に問わざるを得ません。
1984年、稲盛さんが50歳の時に通信事業が自由化されるという機会がやってきます。これを「100年に一度のチャンス」と捉え、第二電電(現KDDI)創業に乗り出しました。
当時、セラミックの世界では知られた存在であったものの、通信事業という全く門外漢の仕事で成功するとは誰も考えていませんでした。
京セラが成功したのは、稲盛さんの技術が優秀だったからとか、時流に乗っただけとか言われるけれどもそうではない。フィロソフィ(哲学)があったからなのだと言います。
通信について何も知らない私が、哲学ひとつで事業を成功させれば、経営にどれだけ哲学が大切かということを証明できると思うと考えたそうです。
その後、鉄道網をもつ会社、高速道路をもつ会社も参入してきました。
自社のもつ全国規模の施設を利用し、通信網を敷けば良い他社と比べて、京セラを中心とした第二電電は何のインフラも持っていません。
山の頂上にパラボナアンテナをこつこつと建てていくしかありませんでした。どう考ても、初期投資の金額が違いするぎるので、勝ち目などないはずです。
しかし、現在まで残っているのは第二電電(現KDDI)だけです。
78歳の時には、経営破綻したJALを、政府からの強い要請を受けて率いることになります。そして、2年で世界最高収益を上げる航空会社へと変貌させました。
よく知るとは言わないまでも、真近で拝見する限り、身長は高いものの、ごく普通の方です。
それが、奇跡のようなことを成し遂げて行きます。
稲盛さんは、「人として何が正しいのか」それだけを考えてきたと言います。
これらの結果は、正しい考え方があったからこそ、成し得たものなのです。
正義、公平、公正、誠実、勇気、博愛、勤勉、謙虚。それを実践するだけで良いと。
人は機械ではないので、スイッチひとつで切り替えることはできません。
繰り返しそう在りたいと願い、行動を繰り返すしかありません。
この暑い時に何を力んでいるんだと言われそうですが、「個人の感情を上回る強い信念」という言葉に、そんなことを思います。
人は弱いもので、つい不平、不満を口にしてしまいます。しかし、太陽に罪はないのです。
■■■毎日放送『住人十色』4月14日5:00pm~5:30pm
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