日本橋で見る狭小住宅‐1495‐ 

 中学に入学して、一番うれしかったのは定期を持ったことだったかもしれません。

 梅田、なんば、天王寺で自由に乗り降りできる、まさにゴールデンチケットでした。

 この3駅以外で、一番降りた駅はおそらく日本橋です。

 千日前通と堺筋が交差するのが日本橋1丁目。通称「日本一」。

 マクセルのカセットテープ、UDⅡが1円でも安い店を探して「小鉄」という友人と、このでんでんタウンを何往復もしました。

 当時面影を残す店も残っています。

 しかし、現在はネット社会となり、小売店舗は減小。

 ゲーム・アニメ・コスプレカフェなどサブカルチャーで知られる「西の秋葉原」となりました。

 でんでんタウンの西にあるこの通りは、通称「おたロード」と呼ばれるようです。

 たしかにメイド?のコスチュームで客引きする女性も。

 愛着のある街なので、寂れるよりは……と微妙な気分ではあります。

 この界隈に、有名な狭小住宅が2軒あります。

 いつ「美園」がなくなったのでしょうか。

 ただの「ユニバース」を通り過ぎます。

 1軒目は、安藤忠雄設計の「日本橋の家」。

 1994年の完成の個人邸ですが、現在はギャラリーとなっています。

 1979年に個人住宅で初めて日本建築学会賞を受賞した「住吉の長屋」が最も有名ですが、それより更に間口は狭く2.5mとのこと。

 しかし、この日は閉館日だったのか、入館できませんでした。

 また機会を改めます。

 もう1軒の「日本橋の家」は岸和郎の設計で1992年の完成です。

 日本建築家協会新人賞を受賞した作品で、氏のサイトによるとこちらの間口も2.5mとあります。

 外壁は鉄骨にセメント成形版を直接取り付けてあります。

 そのディティールは何度も住宅誌で見ましたが、本物を見たのは初めてでした。

 現在も個人邸だと思うので、写真はここまでにしておきます。

 4階に住居部分があり、それがふわりと持ち上げられています。

 何と言えばよいか「これは本物だな」と感じました。


 
 狭小住宅で言えば、「住吉の長屋」が西の横綱でしょう。

 対して、東の横綱は東孝光の自邸、1966年完成の「塔の家」でしょう。

2008年の3月に、表参道を雨の中ひた歩き見に行きました。

 すでに日が暮れていましたが「これこそが本物」という迫力でした。

 建築家として生きたいと思ったのは、学歴をものともしない安藤忠男の活躍があったからです。

 仕事をしていて、時には理不尽なことも起ります。

 そんな時「僕は安藤じゃない」と自分に言ってきかせます。

 誰もが認めてくれる所までたどり着けてないという意味です。

 人は誰もが同じではありませんし、価値観も違うと言えます。しかし、一番は一番です。

 その道のりの遠い事……

 しかし、その足跡をたどって歩いた時、「まだまだ」という気になります。

 可能性がある限り、すべてを振り絞って働くだけだと吹っ切れるのです。

■■■毎日放送『住人十色』4月14日5:00pm~5:30pm
「回遊できる家」放映

■■■『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
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建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
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楽しむという魔法‐1494‐ 

 チームスポーツというものは、つくづく奥深いものだと感じます。

 苦悩し、成長し、結果をだす様は、まるでドラマか映画を見ているよう。

 サッカー日本代表は、本戦出場を決めた後の不調がまるで嘘のような躍進振りです。

 勝って予選通過が最高の結果ですが、格上とされる相手と勇敢に戦い、むしろ試合の主導権を握る姿は、誇らしくさえありました。

 何より、監督によってこれだけの違いがでるという現実に、リーダーとしての自分の資質を思わず省みてしまうのです。

 土曜日の夜は、クラブ終わりの長男を奈良まで迎えに行きました。

 長男は、日曜日も殆どクラブですが、昨日は試験1週間前で休み。

 どうせ家では勉強しないので、一緒に池原ダムへ行くことにしました。

 日曜日はそれまでの雨の影響で、あちこちに小さな流れ込みができていました。

 暑い時期、これらは魚にとってクーラーのようなもの。

 その下を狙って、移動しながら釣っていきます。

 午前中の良い時間帯に、まずは1匹目を仕留めてくれました。

 これで最低限の仕事は完了です。

 子供たちは、釣りというより野外遊びに来ている感じ。

 一仕事終えたら長男は早速昼寝を始めました。

 ミイラみたいなのでやめてくれと言うのですが、日焼けガードで顔を覆って熟睡中。長男はおちょけたところがあるのです。

 結局1時間半は寝ていました。

 一番楽しみにしているのは、多分カップラーメンの昼食。

 焼きそば、カレーヌードル等から好きなのを選んでいいと言うと、担々麺をセレクト。

 野菜は必要なので、父さん手製のサンドイッチも一緒に食べて貰いますが。

 「映画が見れる時間には、家に帰りたい」とのオーダーでしたが、釣れそうな魚をみつけると「もうちょっと」と言い出しました。

 その魚を釣り上げることはできませんでしたが、楽しんで貰えたら何よりです。

 3時頃にはボートを上げて、大阪へ向かいました。

 帰りの車でも1時間半は寝ていました。それでも、一日一緒に居れば色々な話ができます。

 年に1回は行きたいと思っている2人旅。4年前は、前回ワールドカップの開幕前でした。
 
 この時、活躍が期待されていたネイマールのコーチの言葉を引いています。 

 「子供に勝つ責任はない。しかし、楽しむ責任はある」

 反対の見方をすれば、「大人は勝つ責任も、楽しむ責任もある」ということです。

 勝ち負けは担保されませんし、過程が常に楽しいということもありません。むしろ苦悩の方が多いはずです。

 それでも、「勝つ」「楽しむ」と決めなければなりません。多くのトップアスリートがそうするように。

 「楽しむ」は魔法の言葉だとようやく分かりました。

 「楽しませる」は、コントロールできない相手が含まれていますが、「楽しむ」は、自分の意思で出来ることです。ここに、「楽しむ」の真意がある気がします。

 他人と過去は変えられません。自分と未来だけが変えられるのですから。

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サッカーも、人生も、実に単純だ‐1493‐ 

 サッカーのワールドカップ、ロシア大会が始まりました。

 日本代表は19日(火)のコロンビア戦を「歴史的勝利」で飾るという最高のスタートを切りました。

 海外メディアも大番狂わせという報道です。

 1人少ないとは言え、強豪相手に引き分けで終わらなかったことが、日本のサッカー文化をまた一歩前進させることになるのでしょう。

 後半25分に出てきて、すぐに大迫の勝ち越しゴールをコーナーキックで演出した本田圭佑。

 「プロフェッショナルとはケイスケ・ホンダ」

 そう言うだけの迫力はみせてくれます。

 随分前の新聞ですが、名選手3人の言葉が載っていました。

 サッカーは実に単純だ。俺がシュートを全て止めればチームが負けることはない。

  ジャンルイジ・ブッフォン

 イタリア代表のゴールを20年間守ってきた大ベテランは、ロシア大会を最後に引退を表明していました。

 しかし、優勝4回を誇るイタリアは今大会の出場を逃しています。

 ボールをキープしていれば、相手は得点できない。

  ヨハン・クライフ

 近代サッカーの開拓者で、トータルフットボールを体現した名選手であり、名監督。強豪オランダも今回は予選で敗退しています。

 サッカーは単純だ。22人がボールを奪いあい 最後はドイツが勝つ。

 ゲーリー・リネカー

 1986年のメキシコ大会で得点王となり、選手としてのキャリアを名古屋グランパスで終えたイングランドのストライカー。

 ワールドカップになると、滅法の強さを発揮するドイツを指したアイロニックジョークですが、2014年ブラジル大会は、リネカーの言葉通りとなりました。

 ヨーロッパ人独特の言い回しなのかもしれませんが、どことなくネガティブな印象も持ってしまうのです。

 話のスケールが、ワールドから急に半径3mになります。

 前回、友人の店で朝方まで飲んでいたと書きました。

 滅多にないことが続くもので、翌日の夕方からOhanaでのBBQに呼んで貰っていました。

 近畿の駅100選に選ばれた京阪萱島駅。

 その近くにある写真スタジオで、竣工は2009年です。

 人の身長ほどしかなかったオリーブが、ここまで成長しました。

 年1回、ここに訪れる機会を楽しみにしているのです。

 買い出しも準備も、すべてカメラマンの石井さんが済ませてくれていました。

 親族がドイツから直接持ち帰ってくれたというビールまで。

 本当に幸せな時間でした。

 設計終盤は、何とか金額を合わせるのに精一杯でしたが、粘り強く打合せをして良かったと思います。

 石井さんはとにかく明るく、めげない人で、そのパーソナリティに随分救われたと思います。

 勝負事において「もし」は禁句ですが、日本代表の監督交代がなければ、本田選手のアシストの場面はやってこなかったかもしれません。

 やはり、幸運はどこまで行っても前向きな人の所にやってくるし、自力で引き寄せるしかないのだと思います。ネガティブな言葉を発すれば、少なくとも良い側へ転ぶことはありません。

 多くの成功者がそうするのを見て、ネガティブな言葉は限界まで使わないよう、私も心掛けているつもりです。

 昨日寝てない、頭がちょっと重い……そんなことは、周りの人からすれば、知ったことではありません。

 大体遊びなので、嫌なら行かなければ良いのですから。

 そんなことを書いている時点で、私のスケールが知れてしまいますが、そう心掛けるだけで、この日も素晴らしく楽しかったのです。

 誰からも、どんな事からも学ぶことはできます。

 やはり、サッカーも人生も、実に単純だと思うのです。

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今夜、どこかのバーで‐1492‐

 今朝の7時58分は、庭に向かって瞑想していました。

 「何がガサガサいってるんだろ」位の感じでしたが、目を開けると妻が結構驚いており、子供の顔だけ確認しに行きました。

 私の家はそこまで揺れませんでしたが、府内には亡くなった人もおられます。いつも心の準備だけは怠らないようにと思います。

 娘に「神様が、時々『こらっ!』て怒りはるんやわ」と軽口を言うと、「私なにか悪いことした?」と。

 いい答えです。

 先週の金曜日、中学・高校の先輩から声を掛けて頂き、西天満のお店へ。

 20期以上離れた先輩方で、元百貨店の取締役、また百貨店の顧問と錚々たるお顔ぶれ。

 そんな先輩と気軽に話せるだけでも、高槻高校へ行った甲斐があるというもの。

 こちらのお店、おでんが名物とのことでしたが、それは勿論のこと、お造り、和牛網焼きと絶品でした。

 その後、北新地のお店も2軒程お供させて頂きました。

 飲みながら話をするのは大好きですが、時々新地へという余裕も正直なく。

 久し振りに歩いてみると、新しいデザインも結構見かけます。

 白い四角の重なりがマレービッチを思わせるファサード。清潔、かつアピール力もあり、好感がもてます。

 先輩方と別れたあと、最後に友人の店へも寄ってきました。

 北新地の外れにある雑居ビルの1階。

 ちらとのぞくとほぼ満席。何故かほっとします。

 「2年振りくらい」と言われてしまいました。

 定期的に顔をだす義務はありませんが、大学時代の友人なので、時々は気楽に話をしたいとも思います。

 まあ、彼にとっては仕事なので、気楽かどうかは分かりませんが。

 黒板に「レーズンバター」という文字を見つけ、なんだか久し振りに食べたくなりました。

 ここはショットバーですが、私は4軒目だったこともあり、「ワインってあるの?」と聞くと数本はあると。

 枝豆のペペロンチーノとレーズンバターで、朝方まで話をしていました。

 店も14年目に入ったそうで、みな頑張っているのです。

 3軒目のお店で、プロダクトデザイナーの喜多俊之さんの隣になりました。

 アクオス、カッシーナのチェア等、ニューヨーク近代美術館をはじめ、多くのミュージアムがその作品を所蔵しています。

 彼はこんなことを書いていました。

 いい空間を作るには人を呼ぶこと。呼べば整理をする。いらないものを捨て、欲しいものを奮発して買う。

 いいインテリアを集めればいい空間を作れるのではない。人を集めるのがいい空間を作る。

 とてもてにこやかな紳士でした。

 そんなトップランナーに私が言うのも僭越ですが、ここまでの哲学をもって物創りをし、良くないものが出来ようがないと思います。

 物は誰かの幸せの為にあります。この視点が、大きな分岐点だと思うのです。

 『今夜、すべてのバーで』は故・中島らもの書いた小説です。

 アルコール依存症の話で、確か読んだはずなのですが詳細までは思い出せず。
 
 しかし、スケールの大きなタイトルです。

 今夜、どこかのバーで、素敵な出会いがあるかもしれません。

 いつかそんな時間を持てるようになれるのか……

 しかし神様は「お前にはまだ早い」とお考えのようで、当分は遮二無二働くしかなさそうです。
 
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大名古屋と小名古屋‐1491‐

 先週の日曜日、CSでビフォーアフターの再放送をしていると、中高の大先輩が教えてくれました。

この建物を、6年の間に何度紹介して貰ったかと考えると、多くの時間とエネルギーを投入して良かったと思えます。

 梅雨入り後ですが、今日も気持ちの良い朝でした。

 縁側の掃き出し窓をあけると、「チリーン、チリーン」と涼しげな音色。

 休みの日に、娘が風鈴を作ってきました。

 学校も元気に行っています。担任の先生がとても熱心で、週に何回かは放課後にまで勉強を見てくれるそう。

 こんな話を聞くと、まだまだ日本も捨てたものじゃないと思うのです。

 先週末は名古屋へ出張でした。

 大阪で進めている住宅のフルリノベーション計画ですが、クライアントは名古屋在住です。

 その打合せに、今回は私が伺うことにしました。

 名古屋駅周辺の建築は3月に回りました。スパイラルタワーズをはじめ、個性的なものが沢山あります。

 JRセントラルタワーズは名古屋駅の上に建つ高層ビルで1999年の完成。

 一時は、世界一規模の大きな駅ビルとしてギネスブックに載っていたそうです。

 JR名古屋駅の改札前に、沢山の人が待ち合わせをしていました。

 大阪で言えばBIG MAN前といった所でしょうか。

 少しは早めに着いて、味噌煮込みうどんの山本屋本店エスカ店へ。

 注文すると、先に漬物がでてきてこちらはお代わり自由。

 隣のおじさんは、まずは焼き鳥と漬物で一杯やっていました。

 仕事でなければ、あやうくビールを頼んでしまうところでした。

 グツグツと煮立って出てきました。

 エビ天を入れて1600円程。大阪の人間からすると、うどんがちょっと粉っぽいのですが、地域の食べ方なら納得できます。

 味、店員さんの応対も含めて十分満足できました。

 名古屋名物で言えば残すは、手羽先、エビフライ、モーニングでしょうか。

 いずれも楽しみです。

 その後、名古屋駅の向かいにある大名古屋ビルヂングへ。

 2015年の完成です。

 旧ビルも同じだったようですが、なかなか思い切った名前です。

 ここにショールムームが集まっており、TOTO、YKK、タカラスタンダードと回りました。

 高層階からは名古屋城を見下ろします。しかし、濃尾平野はとにかく広い。

 トイレ等のTOTOは福岡のイメージでしたが、前身の会社は名古屋で創業されたと知りました。

 1876年、森村市左衛門が東京の銀座で貿易商社を起こしました。

 その後、海外で人気の高い陶磁器を早く調達するため、瀬戸、美濃の近い名古屋に、「日本陶器合名会社」を設立。

 1904年のことです。

 ここから「東洋陶器株式会社」が生まれ、後に「TOTO」となります。

 ノリタケカンパニー、日本碍子なども同じ源流をもつ企業のようです。

 便器に関しては、やはりTOTOのクオリティは高いものがあります。

 「世界最大級のセラミックス集団」という言葉に、迫力と納得を感じます。

 詳しくは書きませんが、あるショールームでアテンドしてくれた女性の言葉が少し気になりました。

 そういったことは、はっきり言わせて貰うので、何も腹に残っているものはありませんが、やはりビッグエンタープライズにこういった傾向は強いと思います。

 現在の成功は、これまでの偉大な先人、先輩の努力の賜物です。

 そういった会社に入るには、多くの競争があるのでしょうが、それは仕事のスタートに過ぎません。

 そこに居る人が偉いと勘違いしてしまう人を時々見かけるのです。

 その中心にあるのは「あなただけがお客さんじゃない」という思想だと思います。

 多くのシェアがあるので、ある意味そうとも言えます。しかし、それを公言しても求めてくれる人はどのくらい居るのかなとも思うのです。

 現実は大名古屋。心構えは小名古屋。そんな姿勢が、繁栄を生み、持続を生むのだと思うのですが……

 名古屋はあくまで例えですので、誤解なきよう。

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ジューン・ブライド 祝辞 ‐1490‐

 昨日、当社のスタッフが結婚しました。

 2009年の3月に面接をした日から9年と3ヵ月。

 本当に色々なことがあったと思いますが、よくここまで頑張ってくれました。

 素晴らしくない結婚式など1つもありませんが、本当に素晴らしい式でした。

 新婦側で参列させて貰ったのは、親戚以外では初めてかもしれません。

 新郎側と、新婦側でこうも景色が違うものかと驚いたというのが正直なところです。

 男同士は少なからず「ライバル」という視点があると思います。そういったものがなく、ただただ暖かいのです。

 私は主賓のスピーチがあったのですが、2013年の後輩の式以来です。

 この時も、祝辞は3分から5分がいいと言われましたが、自分の伝えたい話をして8分程掛かりました。

 一緒に出席した弟が「飽きはしなかった」と言っていまいしたが、おそらくその言葉のままだと思います。

 もっと彼の良さを上手く伝える言葉があったのではと、悔いが残っていたのも事実です。

 今回も7分位を目指しましたが、妻によると8分50秒掛かったそうです。

 しかし、感想を貰った人の全てから「良かった」「感動した」と言って貰えました。

 スピーチの途中で、一番前にいる妻が泣いているのが目に入り、私も泣いてしまいそうになりましたが、何とか持ちこたえたのですが。

 スタッフの友人と会うことなど滅多にないので、それも新鮮でした。

 本人の頑張りが一番ですが、実際は多くの友人たちが支えてくれていたことを、彼女たちのスピーチからひしひしと感じます。

 「何だ、お礼を言って回らなければならないのは、私の方じゃないか」と実感したのです。

 新婦側だけになりましたが、各テーブルにお酒を注いで回ったのです。

 高校時代の友人達が席にみえて、「内緒でAKB48の『恋するフォーチュンクッキー』を踊るんです。所長さんには是非一緒に踊ってもらいたいんです!」と。

 「ごめん、AKB48の名前くらいは知ってるけど、観たことがないんだ」と言うと、「大丈夫、大丈夫、前で映像も流れますから」と。

 実際何とかなるものです。

 忙しい仕事を続けながら、精一杯の準備をしてきたのが、進行、料理、デザート、引き出物とよく伝わってきました。

 私が涙してしまったのは、お色直しの退席の時。御祖父母の3人と手を取って中座した場面です。

 久し振りに、ドラえもんの「おばあちゃんの思い出」という短編映画を思い出していました。

 親族代表の挨拶、新郎の挨拶で宴も結び。

 命は紡がれ、人は多くの人に支えられて私たちは生かされています。

 それが実感できるのが結婚式なのでしょう。

 幸せや笑顔を見て、むしゃくしゃするという人は居ません。また、「過ぎる」という事もありません。

 周りに伝播するほど幸せに、周りを照らす程、明るい家庭を築いて欲しいと思います。

 実際、私たち夫婦もとても幸せな気分で帰路につきました。

 今日、皆忙しそうにしているので、私が備品を買いにいくと、ドラッグストアでスクラッチカードが出てきました。

 コインでこすると「当たり」の文字が。

 若い女の子の店員さんが「わ~、私初めて見ました。ホントに当たりって入ってるんですねッ」と。

 店を出て行く時も、隣にいる同僚に「さっき初めて当たりを見たんですよ!」と話かけています。

 思わず笑ってしまいました。

 でも、それはそうでしょうとも思います。

 ムスッと不機嫌そうにお金を払っているおばちゃんと、ニコッとお金を払っている人の、どちらに神様が当たりカードをしのばせてくれるのか。

 考えるまでもありません。

 いやもしかすると、これも幸せのおすそ分けなのかも。

【祝辞】

 いつかこんな日がくるのかなと思っていたのですが、実際にこの場に立たせて貰うと、本当に感慨深いものがあります。

 さちかさんが、当社に来てくれたのは2009年3月でした。

 あれから9年間。真摯に仕事に打ち込み、成長し、今では当社になくてはならない存在となってくれました。

 私どもの仕事は建築設計ですが、大きな夢を持ったクラアントの皆様からオファーを頂き、それを何とか形にし、感激して引き取って貰うというのが目的です。

 遣り甲斐も大変大きいものがありますが、非常にプレッシャーも掛かる仕事です。

 多くの若者が、その重圧に2ヵ月、1ヵ月が持たないなか、なぜさちかさんだけがここまで頑張ってこられらのか。ターニングポイントであろう場面を少しお話しさせて頂こうと思います。

 入社から2年程経った2010年の冬、「Shabby House」という住宅が完成しました。Shabbyとは「着古した古着のような心地よさ」というような意味です。

 クライアントご夫妻は完成したお家を大変喜んで下さり、お礼の席を設けたいということで、さちかさんと私を「Shabby House」に招いて下さいました。

 手料理を振る舞って頂き、美味しいお酒を準備して頂き、本当に幸せな時間だったのですが、その席で奥様が「完璧、もう完璧だったわ」と言って下さいました。

 大きな夢があるからと言って、予算はいくらでも良いと言う方はおられませんので、ありとあらゆる手段を使って、金額を合わせに行きます。

 こちらのお家では、食器棚や本棚を量販店の既製品を組み合わせ、壁に埋め込むことで、職人がつくった家具とそん色ないものにしようという試みをしていました。

 それには、入念なリサーチ、設計図面への落とし込み、現場との調整と、オリジナルの家具を設計するよりも、余程手間のかかる仕事です。

 ともすれば、日の当たり難いこのような仕事をさちかさんは、丁寧に、労を惜しまず取り組んでくれるのです。それをこちらの奥様はよく見て下さっており、先の言葉になったのだと思います。

 彼女はその場で、うれし泣きで大粒の涙を流していました。

 多くの若者が、この場面を経験できず仕事が続けられません。彼女はそれを自身の努力でつかみ取り、決して安くはないお代を頂いているクライアントから、本気の感謝、本気の感激のことばを掛けて頂いたのです。

 おそらく、プロとしてやっていけるという自信ができた瞬間だったと思います。

 よく気が付く、聡明、礼儀正しい、字が綺麗と、およそ欠点など無いさちかさんですが、唯一の問題があるとすれば、仕事をするしか能のない私のもとで、働いていることだと思います。

 しかし、彼女は懸命に仕事に打ちこむことによって、全てが変わったと言ってくれます。

 考え方、行動、言動、全てが前向き、ポジティブなものになったと言ってくれます。

 そして、○○さんと出会われたのです。

 パナソニックの創業者、松下幸之助さんは

 「全てのことは、必要、必然、そしてベストのタイミングで起る」

 と言われたと思います。2人は、必要、必然、そしてベストのタイミング出合われたのです。

 実は結婚のお話を聞いたとき、大変嬉しかったのですが、身勝手にも、「相手の方は、私たちの仕事に理解を示してくださるだろうか」と思ってしまいました。

 しかしそれも全くの杞憂に終わりました。

 この春、私どもが設計した保育園が完成し、お披露目の会が開かれました。その場で彼女は少し測定をしなければならない仕事があったのですが、○○さんも一緒に参加してくれました。

 ○○さんは、メジャーの一端を持ってくれ、こうもったほうが分かりやすい?このほうがいい?などと聞きながら、献身的にサポートしてくれたと、翌日のミーティングで聞きました。

 普通なら、休日に彼女、奥さんが仕事だと言ったら、「そこまでしなくてもいいんじゃない」と言われても不思議のないところです。

 一度3人で食事に行ったのですが、その席でも、互いを想い合い、リスペクトし合っていることがよく伝わってきました。

 もとより2人の幸せに疑いなどありません。

 喜びは分かち合えば2倍に、苦しみは分かち合えば半分になります。

 これこそが結婚する本当の意味だろうと思っています。どうぞ際限ない幸せを実現して欲しいと思います。

 最後に。

 社員というには近すぎる、かといって家族ではない。

 そういった存在にまで成長してくれたこと、そういったスタッフを持たせて貰ったことを心から誇りに思います。と伝えようと思っていました。

 ところが、メッセージカードに、「仕事上の父」と書いてくれていました。

 もちろん、本当にお父様の愛情には及ぶべくもありませんが、私なりに精一杯2人をサポート、応援させて頂きたいと思います。

 そのお名前の通り、幸せが香るようなご家庭を築いて頂きたいと思います。

 長くなってしまいましたが、これをもって私からのお祝いの言葉とさせて頂きます。

 本日はご結婚誠におめでとうございます。どうぞ、末永くお幸せに。

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できるかぎり美しく、できるかぎりドラマティックに‐1489‐

 昨日、近畿地方も梅雨入りしました。

 しかし早速の梅雨の晴れ間。

 お母さん方をこれほど喜ばせるものはないかもしれません。この時期、洗濯物が皆さん悩みの種です。

 アジサイの葉に残るのは、今朝方までの雨の証。

 梅雨の間は露を楽しむしかなさそうです。

 6月までにバタバタと撮った竣工写真が、どんどん上がってきます。

 まずはwebサイトのページを作って行きますが、「中庭のある無垢な珪藻土の家」はようやく下書きが完成しました。

 「碧の家」は現在鋭意製作中。

 「山本合同事務所」の写真も本日上がってきました。

 トップライト、吹抜、緑が良い感じです。

 早速、写真、データの整理から始めます。

 昨日公開した「トレジャーキッズたかどの保育園」

 写真はカメラマンの平井さんに撮って貰いました。

 やはり、プロの仕事はアングルを決めることだと実感します。

 現場日記の完結編には、人物ありの写真をいくつかUPしました。

 これらは私が撮ったのですが、他にも好きな写真が沢山あります。

 園児とシャボン玉で遊ぶ先生。

 砂場で。

 芝生の上で。

 園庭で遊ぶ写真は動きがあります。

 しかし、一番好きなのはこの写真。

 何というか、愛情が伝わってくるのです。

 この保育園へは、撮影だけで2回足を運んだのですが、実は今日も行っていました。

 2階にある「あおぞらえほんしつ」は4畳ほどの部屋です。

 しかし、この園にとっては大変重要な空間です。

 トップライトがもう少し分かりよいアングルはないだろうかと思っていたのです。

 階段側を見返す。

 真正面から撮ってみる。

 やっぱり、プロが選んだアングルは間違いないなと思いながら、「もりのひみつきち」を再撮影していました。

 このカットは、初めから私の担当です。

 撮影していると、強い日が差してきました。

 向かいにある「あおぞらえほんしつ」をのぞくと、トップライトからの日が落ちていました。

 急いで準備をして再度撮影したのです。

 3回目に、最も良い条件と巡り合うことができました。

 当たり前ですが、写真はその場にいなければ撮れません。

 自分の人生における、ある時間の、ある一瞬を切り取る行為です。

 できればその一瞬を、できるかぎり美しく、できるかぎりドラマティックに切り取りたいものです。

 昨年2月に幕が開いた「たかどの劇場」。私達の出番はひとまず終わりました。

 プロジェクトが終わる時、いつも一抹の寂しさがよぎるものです。

■■■毎日放送『住人十色』4月14日5:00pm~5:30pm
「回遊できる家」放映

■■■『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
ギャラクシーブックスから11月27日出版
amazon <民家・住宅論>で1位になりました

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【Events】
■4月1日「トレジャーキッズたかどの保育園」開園

【News】
『住まいの設計05・06月号』3月20日発売「回遊できる家」掲載
『関西の建築家とつくる家 Vol.2』2月1日発売「阿倍野の長家」掲載
『homify』6月29日「回遊できる家」掲載
『homify』6月2日「イタウバハウス」掲載
『houzz』5月28日の特集記事「あちこちでお茶できる家」掲載

メディア掲載情報

◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記<</a

花には蝶が、臭いものには……‐1488‐

 2週前に、柿の葉寿司の「松屋」のことを書きました。

 その時、取材があると聞いたテレビの放送は5月19日(土)だったそうです。

 爆笑問題がMCをつとめる、「世界が驚いたニッポン!スゴ~イデスネ!!視察団」でした。

 バックナンバーに奈 良 県、柿の葉寿司とでていましたが、「ご当地魚めしグランプリ」でチャンピオンに選ばれたそうです。

 見ていると、バイクの一行も「ここ、ここ」と手で合図をおくり、少し先に停まりました。

 チャンピオンと聞くと更に食べたくなるのが人の心情。

 それは皆同じで、列までできていました。

 「今が一番いい時期で、柿の葉まで食べられますよ」と。

 実はこちらのお店、古い知人と繋がりがあるのですが、「たまにだけど店頭にでている」と。

 この時は不在でしたが、正直、かなり驚きました。

 そうなれば更にひと押ししたくなります。

 このあたりは景色も良いところです。気になる人は是非。

 昨晩、父の日、母の日会が実家であり、皆で集まっていました。

 魚が得意でない長男以外は、皆喜んでパクパクと食べてくれました。

 その長男ですが、昨日もクラブの卓球で帰ってきたのが夜7時前。

 思ったような結果が出なかったそうで、1つ下の従兄弟と実家の1階でさらに練習していました。

 好きなことがあるというのは、本当に幸せなことです。

 学年は1つ下ですが、誕生日は2ヵ月違い。

 本当によく似た背格好ですが、切磋琢磨して成長していって欲しいものです。

 長男が一度入ってみようと言った橿原にある海苔専門店の「植田商店」

 ご親族に、別の知人ですが旧友が居るそうで、「世間って狭いね」と言っていたのです。

 「類は友を呼ぶ」と言いますが、やはり同じようなタイプの人が集まるものです。

 食べ物の話の後で気が引けますが、始道塾の恩田さんはこう表現していました。

 花には蝶が集まり、ウンチにはハエがたかる

 失礼しました。

 しかし表現として秀逸です。良い人生を送りたければ、花になるしかありません。

 心は花のようでありたい。

 齢47ですが、これは真剣に思っているのです

■■■毎日放送『住人十色』4月14日5:00pm~5:30pm
「回遊できる家」放映

■■■『建築家と家を建てる、という決断』守谷昌紀
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