ギリギリ険道酷道‐1487‐

 昨日、今日と雨が続きます。

 今朝、食卓にイチゴがでていました。

 小振りだなと思って聞いてみると、「地物のいちごはこんなものよ」と。

 小振りで甘さ控えめ。近頃の果物は、どれもびっくりする程甘いので、これくらいが丁度良いのかもしれません。

 先日、車で現場を回っていると、燃料タンクのガソリンが底をつく寸前に。

 足りると計算していたのですが、走行可能距離が「1km」に。

 ガス欠は後が面倒と聞いていたので、まずはエアコンを切り、赤信号ごとにエンジンをストップ。

 ドキドキしながら、ガソリンスタンドに滑り込みました。

 街中なら何とでもなりますが、肝を冷やしたことがあります。

 20年程前、和歌山県の最南端にある、七川ダムへ妻とキャンプに出掛けました。

 高速が今ほど伸びておらず、大阪から4、5時間掛かったでしょうか。人は少なく、秘境と言って良い場所でした。

 大阪へ帰るには、海沿いの国号42号線に出たあと、2つのルートがあります。

 1つは西に回って、和歌山市を目指すルート。もう1つは、東へ回って熊野まで行き、紀伊半島中央を169号線で北上。吉野へ抜けるルートです。

 この時はお盆だったので、すいているであろう東回りを選択しました。更に、念には念をいれ、出来るだけ山側を抜けて、まずは新宮市を目指したのです。

 カーナビはありましたが、この辺りに来ると調子の悪いことが多く、この日も駄目でした。

 一本山側を走るだけなので、間違うこともないだろうと行くと、小さな村が見えてきました。

 通過する時、道端で話をしていたお爺さん達が、私の車を不思議そうに見ていたのです。

 以下のようなルートを通っていたのだと思います。

 ボートを積んでいたので「この辺りでは珍しいのかな」とか妻に言いながら通り過ぎました。

 少し行くと「車幅1.7m以上は通行不可」とありました。山道とは言え5、6kmのつもりだった私は、「大げさに書いているんだろう」くらいの気持ちでやり過ごしました。

 道幅が徐々に狭くなり、肌寒くなってきました。

 標高が上がったなと思っていると、道路の真ん中にコケが生えているのが見えました。初めて、道を間違っていることに気付いたのです。

 変わった滝があったので、その景色を覚えていたのですが、後で調べると「滝の拝(はい)」でした。

 日記の写真は自分で撮ったものと決めているのですが、当時の写真がなく……

 逆向きのルートでしたがこちらのサイトから拝借してきました。

 また、通過した集落は小川という村だったと思います。

 一旦止まって地図を確認すると、山中を北に向いて走ってきたようです。

 先は山の尾根を走る九十九折の道でしたが、瀞峡 のほうに抜けています。

 戻るという選択肢もありましたが、ガソリンが半分位になっており、そのまま行くしか帰る方法はないと判断しました。

 道は更に狭くなります。

 曲がりくねっていて、もうUターンできるような場所は一切ありませんでした。

 当時乗っていたハイラックスサーフは車巾が1.8m。

 確かに道幅は1.7m程で、冗談抜きでタイヤが路肩からはみ出していました。何度も、何度も降りて確認したのです。

 一台だけ出合ったバイクとは、あわやぶつかりそうになってバイクが転倒。

 起こしてあげると、逃げるように行ってしまいました。今思えば、一刻も早くここを抜けたかったのでしょう。

 断崖絶壁のがけにも係わらず、ガードレールが無かったり、岩盤が崩落した後の大きな岩が転がっていたり。

 夕暮れが迫り、更にガソリンは減り、道は細く、深いカーブの連続。

 もう神聖というより、薄ら寒いというか……

 間もなく国道168号線というところまでくると、ようやく景色が開けてきたのです。

 3時間くらい掛かって国道に出たとき、ブレーキを踏む右足はパンパンに張っていました。

 こちらの写真は昨年ですが、20年前はもっと悪路だったと思います。

 あの村で、お爺さんの顔を見たとき、どうして立ち止まれなかったのかと、何度悔やんだことか。

 もうガソリンが無くなるというタイミングで国道169号線に出ました。

 時刻は19:00頃。もう閉めようかというところで、この時程ガソリンスタンドに感謝したことはありません。

 調べていると「険道」「酷道」という言葉があるようです。

 和歌山県道43、44、45号線は、ちょっと知られた「険道」でした。

 また、紀伊半島の中央を、御坊から十津川温泉へ抜ける国道425号線は「日本三大酷道」のひとつだそうです。

 この道もハイラックスサーフで走っことがありますが、「国道だからって信用できないな」と思ったのです。

 今年、国道を169号線を走っていると事故渋滞につかまりました。

 少し戻れば、天川村を抜ける国道309号線があります。

 「待ってるくらいなら、少々険しくてもUターンして行ってみるか」と思っていると、車列が動き出しました。生来のギリギリ、険道、酷道好きなのでしょう。

 しかし命あってこそ。ほどほどにしなければと自戒しています。

■■■毎日放送『住人十色』4月14日5:00pm~5:30pm
「回遊できる家」放映

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『住まいの設計05・06月号』3月20日発売「回遊できる家」掲載
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『houzz』5月28日の特集記事「あちこちでお茶できる家」掲載

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建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
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これが私の生きる道‐1486‐

 郊外を走っていると、田植えの季節だとわかります。

 温暖で多湿な日本は、放っておくと何かが生えてきます。

 雑草の手入れを最小限にするために考えられたのが水田という手法です。

 苗床といったか、小さな苗がぎっしりとあります。

 植えられてすぐは水面が広く、まるで水盤のようです。

 本日、houzzというサイトで「あちこちでお茶できる家」を取り上げてもらいました。

 「心地よい暮らしを追求する都市型住宅、大阪の家12選」の中の1軒です。

 正直、1番目でなく少しがっかりしていたのですが。

 こちらのクライアント、この時期は田植えでとても忙しく、打合せを1ヵ月くらい空けたことを思い出します。

 立派な家業があるのですが、代々の兼業農家でもあり、この時期は家族総出なのです。

 田植えが始まったということは間もなく梅雨。九州と四国で梅雨入り宣言がありました。

 先週金曜日はトレジャーキッズたかどの保育園へ、追加の撮影に行っていました。

 鯉のぼりも青空の下、気持ちよさそう。

 何とか梅雨までに、一通りの撮影を済ませたかったのです。

 「中庭のある無垢な珪藻土の家」は少し雲がありました。

 それでも粘って、粘って青空に。

 「碧の家」は快晴でした。

 晴れると色がさらに映えるのです。

 日本人として、利休の唱えた「詫び錆び」の精神を理解しているつもりです。

 クライアントに求められなければ、私から原色を使うことはありませんでした。

 しかし、色彩に対して吹っ切れたのは、「あちこちでお茶できる家」を設計してからだと思います。

 スタート当初「生活には沢山の色があるので、まずは背景としての色使いから考えたほうがよいのでは」と言っていました。

 「人は、建築は自由であるべき」と唱えていたにも関わらず、です。

 しかし、ご家族の「大好き」や「本気の夢」を私が止める理由など全くありませんでした。一緒に考え、悩み、幸せの景色を創造できたと思っています。

 この春に撮影した写真が続々と届いてきます。

 それらをまとめ、整理して世間へと発表。そして、自分達の存在意義を問います。

 営業にでる訳でなく、誰かに仕事を紹介して貰う訳でなく、ただこのルーティンを延々と繰り返し、オファーを貰い続けてきました。

 そう考えれば、奇跡的だなと思うことがないでもありません。

 謙虚でありたいと思いますが、意味もなく頭を下げるのは嫌いです。定期的に付き合いがあるから発生する仕事も不要です。

 何故なら、本気で求めてくれるクライアントと仕事をしたなら、そのような仕事はとても出来ないからです。

 この日記もそうですが、どこかで、誰かの目に触れることを信じて、または夢見て、描き、創り、撮り続けます。

 何の担保もありません。しかし、これが私の生きる道だと思っているのです。

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革命は小より起こる‐1485‐

 昨日の雨で、葉には雫が残っていました。

 清々しい朝でした。

 長男は奈良の中学校へ通っているので、朝7時前には家をでます。

 私は休みの半分を奈良の南部で過ごすので、なにかしらの縁があるのかもしれません。

 海に面しない古都奈良。○○ビーフなどあまり似合わないと思うのは私の思い込みでしょうか。

 三輪素麺の老舗「池利」も古いスキーの仲間ですが、これぞ奈良の名産品と言った趣きです。

 また、柿の葉寿司も名産品のひとつ。

 川上村にある柿の葉寿司の「松屋」

 吉野川が大きく蛇行する169号線沿い、川上村の大滝という所にあります。

 この辺りには柿の葉寿司を売る店が何軒か並びます。

 5月前半に立ち寄った際は、70歳前後の気さくなご夫妻がでてきてくれました。

 「進物でなければ上に置いてあるものが安いですよ」と。 柿の葉寿司、11個入りが1,100円です。

 話をしていると、「明日、テレビ朝日の取材があるんですよ。何でも、外国人の方が食べてみて、日本一美味しいと評価してくれたそうで……」と。

 いつも前を通過するのですが、時間帯が合わずで食べるのは今回が初めて。

 チェーン店のものは何度か食べましたが、流石は日本一の柿の葉寿司。

 柿の葉の香りがよく、塩がしっかり効いた〆サバと甘めの酢飯が絶妙。各段に美味しかったのです。

 地ものだというので、干し椎茸もかってみました。

 これもゴールデンウィークのことですが、長男のクラブがあり、それ終わりで橿原まで迎えに行きました。

 買い物をしていると、向かいに海苔専門店がありました。

 長男が「買物をしている間、店に誰も入らなかった」と言うのです。

 で「可哀想だから何か買ってあげよう」と。

 なかなか高級そうな店ですが、子供達にはそんな事は関係ありません。2人とも海苔が大好きなのです。

 店内の雰囲気は、なかなか好感がもてます。

 溌剌とした店主に聞くと、主に寿司屋さん等の専門店に卸しているそう。

 店構えというのは正直なものです。仕事に困っていたら、ここまで手を掛けることはできないでしょう。

 上手くいっているんだろうと想像はしていましたが、ほっとしました。

 いやいや、明日は我が身と思い、心配して貰わなくて済むように、日々頑張るだけですが。

 有明産とのことで、娘は塩のりを購入。

 長男はこちらの梅のり。

 そこそこのお値段でしたが、美味しかったようです。

 「松屋」のある川上村のwebサイトに、「2045年の人口は270人になると予想され、その減少率は全国で一番高い」とあります。

 村長は続けてこう語っています。

 それにしても、あえて御幣を恐れずに言うと、今回の「報道」そのものに違和感を覚えます。もちろん報道の使命もその役割も十分認識していますが、今回この結果を報道することで「地方創生に水をさす結果にならないか」「その地で〝今〟を生きる人たちの希望はどうなるのか」等々、あまり好ましくない影響を与えるように思えてなりません。

 都市計画のある説で、「自然災害で壊滅的なダメージを受けた都市と、そうでない都市の10年後は、前者のほうが発展を遂げる」というものがあります。

 海のない奈良に美味しい柿の葉寿司があり、こだわりの海苔を売る店が立派に商いをしています。

 データやマーケティングを無視するつもりはありませんが、それが全てなら、いつも有利なものが必ず勝つことになります。

 しかし、人にはバイタリティや意思があります。少々の困難は、むしろ発奮材料。〝今〟は、過去とも未来とも違うのです。

 中国のことわざに、「革命は小より起こる」というものがあります。

 主流派ではなかった者のたわごとかもしれませんが、生きるということはそういう事だとも思っています。

 頑張れ栗山村長。本当に陰ながらですが応援しています。

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どんな街も一目千軒、一目千夢‐1484‐

 近鉄特急で行く小旅行も、今回で4回目になりました。

 第1弾は名古屋城とひつまぶし。第2弾は、ジュゴンの居る鳥羽水族館。第3弾はテレビ塔に感激し、名古屋人の意気地を知ったのです。

 昨日は、鶴橋から乗ってみました。

 片道2時間半の電車旅。それはそれで貴重な時間です。

 今回は志摩スペイン村のパルケエスパーニャへ。

 大阪市立の小学校は、修学旅行がここになっており、長男から「楽しかった」と聞かされ続けていたのです。

 フェイスペインティングは500円と良心的。

 何より、近鉄特急とセットになっているチケットが、破格と言ってよい値段です。

 電車代だけでこの金額を超えており、利益があるのか心配してしまいます。

 ペイントのあとは、ジェットコースターへ一目散。

 こちらのジェットコースター「ピレネー」は、吊り下げ式タイプです。

2月のUSJ行きで、ジェットコースター卒業宣言をしました。

 しかし、今回は父娘2人旅。再度付き合わされることになってしまいました。

 振り回され、ひっくり返され、揺さぶられで、またも完全ノックアウト。その後は1人で乗ってもらいましたが。

 ストリートミュージカルという出し物があったのですが、これらは南国のお祭りムードを盛り上げます。

 もう少し観客が多いと、パフォーマーも遣り甲斐があるのでしょうが、全体的に人は少なめでした。

 アトラクションはどこもそれほど変わりないので、この園の特徴を少し。

 パルケ(=パーク)+エスパーニャ(=スペイン)なのでスペインの公園という意味です。

 建物はレンガ造りだったり、塗り壁だったりと、しっかり造りこまれ、好感がもてます。

 田舎街を再現しているエリアも良い感じです。

 建物だけで、南欧の気分になれるのだから不思議なものです。

 園の中央にある建物はアントニ・ガウディ風。

 子供用ジェットコースターのデザインもどこかで見たことがあるような……

 こちらもガウデイが設計した、バルセロナのグエル公園でした。

 スペインは2012年の夏に訪れました。

 ガウディ設計のサグラダ・ファミリアは、100年を経た今も建築中。

 また、カサ・ミラ風はみることがあっても、ここまでの建築は他で見たことがありません。

 これだけ有機的な建物をつくるには、多くの時間、お金、職人が必要です。

 また、一歩裏路地に入ると、突き出した洗濯物が見えます。

 これはこれで、街の心地よい風景です。

 知らない街を歩き回ることは、野外へ出掛けることと併せて、私にとって人生の両輪です。

 あるインタビューで、「なぜバックパックの旅が好きなのか」と質問がありました。

 街は建物の集合体です。建物が草木のように勝手に生えてくることはありません。

 思い入れの差こそあれど、誰かの夢や希望の産物です。

 「一目千本」は桜の名所、吉野を指しますが、どんな街も「一目千軒、一目千夢」と言えるかもしれません。

 誰かの夢を見渡しているのだから、ワクワクしない訳がありません。

 あるクライアントが、「僕は人がつくったものが好きなんですよ」と言っていました。

 本、絵、音楽等なども同じでしょう。人の考え、夢や希望に興味があるのだと思います。

 この園では、スペインの文化についても色々な展示がありました。

 長くなってしまったので、また機会を改めて紹介してみたいと思います。

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俺らはあの時精いっぱい生きたんだ‐1483‐

 火曜日は、昨年竣工した住宅の1年点検でした。

 昨春は竣工が間に合わずでしたが、この春、桜並木が一斉に花開く写真を見せてもらいました。

 まさに壮観。

 現在は青々と若葉をつけ、景色が一変しています。

 四季の景色を楽しめるのが、なんと言っても日本のよいところです。

 誰から聞いたのか忘れてしまったのですが、小学校の先生が授業中に言った言葉に衝撃を受けたそうです。

 「絶対分かっていることは、人はいつか必ず死ぬということだ」

 こういったことを、しっかり認識するのはいつ頃のことでしょうか。

 頭では理解しているつもりですが、本当の意味では、まだ分かっていないのかもしれませんが。

 4月5日、アニメーション映画監督の高畑勲さんが82歳で亡くなりました。

 タイトルの言葉は、5月15日のお別れの会で盟友・宮崎駿監督が彼に投げかけた言葉です。

「アルプスの少女ハイジ」「母をたずねて三千里」「じゃりン子チエ」「火垂るの墓」「おもひでぽろぽろ」

 私の人生においても、間違いなく影響を受けているはずです。

 例えば「母をたずねて三千里」のようなアニメを他に観たことがありません。

 1991年公開の「おもひでぽろぽろ」は、今井美樹、柳葉敏郎らが声優をつとめました。

 田舎を持たない27歳のOLが、農家の暮らしにあこがれ、その短い滞在を描いた物語です。

 映画館へ足を運びましたが、私にとっても青春時代の淡い思い出です。

 2人は東映動画を辞めて、ジブリを立ち上げることになりますが、後に社長となる鈴木敏夫は、当時アニメ雑誌の記者でした。

 高畑勲の初監督作品『太陽の王子 ホルスの大冒険』が発表されたのを受け、取材を申し込みます。

 その場面を、以下のサイトから抜粋します。
http://japan-business-headline.com/interview-ja/ghibli/2/

 でも高畑さんは取材は受けないという。高畑さんは非常に理屈っぽい人で、電話口で一時間、なぜ自分がコメントしたくないかを延々に話すわけ。それで最後に、「僕はコメントできないが、隣に宮崎駿という男がいる。彼は同じスタッフとしてやっていたんだが、彼は別の意見を持っているかもしれない。だから電話を換わりますか」と。それで宮崎さんに電話を換わってもらった。

 そうすると今度もまた一時間。しかし今度は、「僕は話したいことがいっぱいあるから、ページを16ページは下さい。そのくらい無いと自分の思いは伝えられない」って。いったい、この男たちは何なんだと思いましたよ(笑)。

 自分が物創りをしているからか、どんな人が、どうやって作品を生み出していくかに興味があります。

 これは小説家や画家においても同じです。初めて司馬遼太郎が話す姿を見た時も、軽い衝撃を受けました。

 落ち着き払った、仙人のような人をイメージしていたのだと思いますが、むしろ逆でした。情熱的で、ある意味完全ではない子供のような印象を受けたのです。

 記事には、お別れの会での宮崎駿監督の様子がこう書かれています。

 何度も、何度も眼鏡をとって涙を拭い、「パクさん、俺らはあの時精いっぱい生きたんだ」と別れを惜しんだ。

 パクさんは高畑勲監督の愛称です。

 自分なりに、一所懸命生きているつもりですが、自分に盟友などいるのだろうか、77歳の時にこういった言葉がでてくるだろうかと思います。

 高畑監督は東大仏文科卒のエリートでもあります。

 「おもひでぽろぽろ」では、ベット・ミドラーの「The Rose」を和訳し、主題歌として都はるみが歌いました。

 訳詞は彼がつけたものです。

「愛は花、君はその種子」

作詞 MC BROOM AMANDA 訳 高畑勲

長い夜 ただひとり
遠い道 ただひとり
愛なんて 来やしない
そう おもうときには
思いだしてごらん 冬
雪に 埋もれていても
種子は春 おひさまの
愛で 花ひらく

 現場にクライアントが植えた白バラが咲いていました。

 花ことばは「純潔」「私はあなたにふさわしい」「深い尊敬」 だそうです。

 日本が世界に誇るアニメーションの先駆者に、深く尊敬の念を捧げたいと思います。

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くたびれる者は、役に立たざるなり‐1482‐

 昨日は生憎の雨でしたが、土曜日は天気に恵まれました。

 上京区の「山本合同事務所」まで撮影に行っていました。

 この春、竣工写真の撮影は4件目です。

 電線だらけなのが日本の街並み。

 その中で、少しでも影が少なく、美しいタイミングで撮影したいのが、設計者というものです。

 写真家にも無理をいい、朝の7時半頃から待機していました。

 このオフィスは、車が多く停められるよう、1階は最小限の階段と看板があるだけ。

 白い箱が浮いているような建物です。

 内部は3階から撮影をスタート。

 道路と反対の、南に向いた窓から光が回ってきます。

 3階は、打合せとリビングを兼ねたような空間で、小さなキッチンとロフトもあります。

 それが、南側の吹抜けでワークスペースとつながっています。

 道路のある北側は、間接光となるので全面開口としました。

 消防法上必要な非常用進入口。

 北側の吹抜け上のブリッジで繋がります。

 そこに掛けられていた苔玉。クライアントのグリーン好きは私の想像を超えていました。

 この日は、昼から日本建築家協会主催の相談会がありました。

 観光客で賑わう二条城を横目に一旦中座。

 河原町の丸善京都本店へ向かいます。

 途中の教会が目に入りました。

 時間があれば入ってみたいところですが、おにぎりを食べながら足早に通過します。

 夕方に戻ってから、2階の撮影を再開しました。

 2つある大きなデスクは、人の流れに合わせてデザインしています。

 仕事場なので多くの書類、荷物があります。それらを動かしながらの撮影です。

 なかなか大変でしたが、動かすことを許容して貰えるなら、空間が最もよく伝わる風景にしたいのです。

 内部撮影終了の後、30分程休憩して夕景の撮影を始めました。

 全ての片づけが終わったのは夜の9時頃。正直クタクタでした。

 クタクタになった時、「もうこのくらいでいいんじゃないか」と、優しい顔をした悪魔がささやいてきます。

 「いやいや、天気もよく、皆のスケジュールが合うこのタイミングは一生に一度。もっと粘り強く」と厳しい顔をした、天使がささやきます。

 心の中では押し合い圧し合い続きますが、悪魔と天使なら天使が正しいに決まっているのです。

 不幸せの時くたびれる者は、役に立たざるなり

 -山本常朝- 江戸時代 武士

 山本常朝は『葉隠』に武士の心得を記しました。

 日本人で、普通に会話できない人はそういません。人の能力には、それほど差がないのではと私は思っています。

 クタクタと不幸を一緒にするのは大げさですが、差がつくなら、そんなタイミングしかないと思っているのです。

 ちょっと、風呂敷を広げすぎました。

 しかし、写真の仕上がりが楽しみなのです。

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雑草魂‐1481‐

 ゴールデンウィーク中は、海と湖のことを書きました。

 建築設計が好きでこの仕事に選んだのに、「休みは野外に居たい」というのは、少し矛盾するかもしれません。

 自分なりに考えてみると、やはり小学校時代の経験によるのだと思います。

 自宅の1kmほど南を流れる大和川。

 小学校時の教科書には、「日本で一番汚い川」として紹介されていました。

 周辺にはため池も沢山ありました。

 簡単ではありませんでしたが、どこの学校にもいる釣り名人に教えて貰ったり、自分で工夫したりで、フナ、コイ、ザリガニ等を獲って遊んだのです。

 近くにある、西除川との合流点は、やはり大物が釣れました。

 童謡「故郷」にある「水は清き故郷」とは随分趣きが異なりますが、いつも変化する、自分の思い通りにならない野外で、工夫し遊ぶ楽しさを知ったのです。

 この時期、土手は青々とし、花もちらほら咲いています。

 紫の花はマメ科の花か。

 雑草の中のエリートは、誰もが知るシロツメ草。

 白と黄の花は、キク科でしょうか。

 しかし何と言う名か分かりません。

 当時は、土手の北に城東貨物が通っていました。

 この土手は、ダンボールのソリで遊ぶにはもってこいの場所でした。

 アトリエmは天王寺で設立したのですが、2002年に地元の平野に戻りました。

 2003年、弟の家を設計し、その1階に入居しました。

 それまでの間は、隣に見える倉庫を仮アトリエとしていました。

 まさにバラック

 これは父の会社の倉庫で、無料で借りていたのですから、文句など言えませんが。

 会社は大阪の中心地にあるほうがイメージはよいはずです。

 それでも、「自分が設計した建築」、「駐車場が前にある」、「自宅が近い」という3つの理由で、この地で頑張ってきたつもりです。

 昨年は倉庫の跡地に「R Grey」を設計しました。

 弟がオーナーの、アトリエmとしては初めての共同住宅です。

 1984年、「投げたらアカン」という言葉が流行語大賞に選ばれました。

 座右の銘、「草魂(そうこん)」で知られる近鉄の鈴木啓示投手の言葉です。

 現在では考えにくい300勝投手です。

 今年ジャイアンツに10年振りに復帰した、上原浩治投手の座右の銘は「雑草魂」。

 一浪し、野球の名門とは言えない大体大から、ジャイアンツ、そしてアメリカメジャーリーグでの成功を収めました。

 クライアントにとっては、大阪一、日本一、世界一の建築家でいたいと思っているので、雑草魂を語るのは少し違うかもしれません。

 しかし、親が医師、家が芦屋の六麓荘、旧帝大に合格した等の友人、知人をみていると私など雑草以外の何物でもありません。

 常に変化し、自分の思い通りにならない自然。

 その自然の中に、安全で安定した、しかも光と風と笑顔に満ちた空間を創造したいのです。

 しかし、現実は問題、課題の連続です。

 そこから逃げずに、踏まれても踏まれても立ち上がるしかないのです。まさに「雑草魂」です。

 琵琶湖を「マザーレイク」と言いますが、私にとって母なる川は大和川か……

 ちょっと様になりませんが、縁あって下町に生まれたので仕方ありません(笑)

 勿論、それを卑下するつもりもありません。

 京セラ名誉会長の稲盛和夫さんは、「人生は運命という縦糸と、因果応報という横糸が織られ、形作られる」と言いました。

 ゴールデンウィークぼけをしている暇など、雑草にはありません。

 何があっても、立ち上がり続けるだけなのです。

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◇一級建築士事務所 アトリエ m◇
建築家 守谷昌紀のゲツモク日記
アトリエmの現場日記<</a

子供ってのは、預かりもの‐1480‐

 連休明けの月曜日、大阪はしっかり雨が降りました。

 そのぶん、ゴールデンウィーク後半は天気に恵まれ、絶好の行楽日和でした。

 私たちは、奈良の池原ダム近くのバンガローを取っていました。

 いつもは夜に走る東熊野街道(169号線)も、昼に走ると新緑が目に痛いほどです。

 少し余裕があると全く違う景色が見えてきます。

 前回に続いて釣りですが、今回は多少趣きが違います。

 家族の反対を押し切って、船を乗り換えた結果を出さなければなりません。

 結果とは「楽しませる」と「釣らせる」です。

 子供たちはスピード大好きなので、湖面を滑走するだけで喜んでいました。

 むしろ、そっちの方が楽しいようですが。

 長男と同船するのはいつ以来か。

 受験、中学に入ってのクラブ活動と忙しく、3年振りくらいでしょうか。

 今回は幸先よく、1尾を手にしてくれました。

 「魚はお父さんの大事な友達なので」とずっと言ってきたので、リリースは丁寧です。

 今回は家族に楽しんで貰う釣行です。

 昼は早めに上がって、ぱぱっとパスタを作りました。ソースはレトルトですが。

 夕方の部は、妻と長男。

 妻と釣りをするのも、2005年に長男の生まれる前以来です。

 ということは13、14年振り。

 それまでは結構一緒に行っていたものです。

 僅かの時間でしたが手早く2尾をキャッチ。

 母親の面目躍如です。

 夜は、家族3人を温泉に行かせ、本気モードで、最速、最善を尽くして食事の準備をしました。

 たかが炭火焼、されど炭火焼です。

 渾身の焼き鳥とステーキを、3人とも喜んで食べてくれました。

 2日目の朝の部も、長男、娘と早起きして湖上にでました。

 以前はそこまで熱心でなかった長男ですが、中学生になって色々なことの呑み込みが早くなった感じ。

 今回の最大のサイズをキャッチ。全て自力で釣りあげました。

 こうなってくると娘に釣らせなければ、ヘソを曲げてしまうパターンです。

 多少裏技を使ってまずは1尾。

 そしてもう1尾は、正真正銘、全て自分で釣りあげました。

 これで最低限の任務は完了です。

 船上で湯を沸かし、インスタントラーメンと、お父さん特性のチーズレタスサンドの昼食です。

 娘はカップラーメンが辛すぎて嫌いなのですが、何とか食べられると分かったのがチキンラーメン。

 安藤百福さんに感謝です。

 反対に、長男はカレーヌードル大好き。これも日清とは、やっぱりすごいメーカーです。

 バックウォーター(最上流部)での冒険アトラクションも忘れてはなりません。

 オールを使っての急流下りも必須なのです。

 サルなどが出てきてくれると、更に雰囲気は盛り上がります。

 この時期は子ザルが多いので、出会える確率がぐっと上がるのです。

 私は自然の中に居るのが好きだし、この大自然を子供に見せてやりたいと思っています。

 また、深く自然と関われる釣りの楽しさも伝えたいとも思っています。

 現地で話した、同年代の子供を持つ男性が「釣らせたいから、もっとこうしなさい、ああしなさいというと、最終的には一緒に来てくれなくなった」と言っていました。

 よく分かります。

 親とはそういうものです。

 ビートたけしは、こんなことを言っていました。

 子供ってのは、預かりものだと思わないと。

 出来ているかどうかは別にして、この感覚もよく理解できます。子は自分の所有物ではないのです。

 神様なのか、天からなのか、お預かりし、何とか世の役に立てる人にしてお返しする。

 それが親としての究極の理想だと私も思います。

 長男の身長が160cmになり、足のサイズは私を超えました。

 中学2年生と言えば14歳になる歳です。大学で家をでるなら、一緒に暮らすのはあと5年弱。

 預からせて貰う時間も、終盤に入りました。

 力みすぎるでなく、達観するでなく、自分にできることをしたいと思うのです。

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いちばん小さな海‐1479‐

 前回は、仕事のことを書きました。

 今回、次回はゴールデンウィークモードでいきたいと思います。

 久し振りに父の船で釣りに行ってきました。

 大阪湾と友ヶ島の間にある紀淡海峡。潮流が速く、魚も豊富です。

 岸和田から出船し、1時間程かけてやってきました。

 今回は、父、私、娘、弟、甥っ子の5人で釣行です。

 小5の子供が2人なので、いわゆるファミリーフィッシング。

 確実に釣れる、根魚狙いです。

 娘も釣りは久し振りですが、早速ベラを釣り上げました。

 ベラ、ガシラが飽きない程度にポツポツと上がってきます。

 甥っ子は子供たちの中で一番の釣り好き。マイロッドまで持っていました。

 2人で楽しんでくれたなら何よりです。

 今回一番大きい魚は私の釣ったアジ。

 40cmくらいでしょうか。

 で、夜の食卓へ。

 船上で父が〆てくれたので、身が引き締まって歯ごたえが別次元。

 娘はアジの刺身が何よりも好物で、その歯ごたえを満喫していました。

 ガシラとベラは、から揚げに。

 淡白な白身に旨みが増すので、私この食べ方が一番好き。

 開高健は「顔のヘンな魚ほどうまいものだよ。人間もおなじ。醜男、醜女ほどおいしいのだよ」といいました。

 こんなことを書くと、ガシラとベラが夢にでてくるかもしれません。

 肉より、魚のほうがいい年齢になりましたというか、なってしまったというか……

 これも豊かな海の恩恵です。

 生命はこの海から40億年前に誕生しました。最後は、ちょっとロマンティックに締めたいと思います。

 なみだは人間の作るいちばん小さな海 -寺山修司-劇作家

 全ての源である母なる海。ひととき波間を眺め、心静まるのを待ちます。

 私の体の中にも海があるのです。

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