苦渋はなめつくす‐1437‐

 12月に入って、よい天気が続いています。

 昨日は、大阪ビジネスパーク(OBP)へ行っていました。

 ビジネスパークなのでビル建築ばかりですが、それを背景にした紅葉も美しいもの。

 奥にのぞいている濃いグレーの建物は「大阪東京海上日動ビルディング」。

 OBP側からはちらとしか見えませんが、1990年完成の名建築といってよいと思います。

 構造のフレームを外部に追いやり、自由な平面を実現しています。

 鹿島建設の設計施工。

 振り返って西をみると、左に1990年完成の松下IMPビル。

 そして中央も同じく1990年完成のクリスタルタワー。

 竹中工務店の設計施工ですが、高層ビルのひとつの到達点ではないかと思っています。

 2011年1月、『住まいの設計3・4月号』に「地元建築家がガイドする名建築 大阪編」というコラムを寄稿しました。

 その際も、このビルを取り上げました。

 OBP行きの目的は、ニューオータニで開催された盛和塾の勉強会でした。

 盛和塾は、京セラの名誉会長であり、KDDIの創設者、経営破綻したJALを、2年で世界最高収益航空会社へと回復させた稲盛和夫さんから経営を学ぶ場です。

 昨日も1400名以上の参加者があり、ロビーは熱気であふれていました。

 「経営を学ぶ」と書きましたが、この日の講和は西郷隆盛(南洲)の遺訓から学ぶという内容でした。

  命もいらず、名もいらず、官位も金もいらぬ人は、仕末に困るもの也。この仕末に困る人ならでは、艱難(かんなん)を共にして国家の大業は成し得られぬなり。

 そういう人しか、リーダーはつとまらないし、リーダーになってはならない、というものでした。

 命も、名も、名誉も、お金も全く要らないとまではいえませんが、気持ちとしてはそのつもりです。

 幾たびか辛酸を歴(へ)て志始めて堅し

 これは多くの人がうなずいていたと思います。

 仕事をしていると、本当に色々なことが起ります。

 幾度も辛酸をなめ、それを越えていかなければ、志は固まらないのです。

 ミスタープロ野球、長嶋茂雄はこういっていました。

 「日々を丁寧に生きる。そして苦渋はなめつくす」

 華やかに見える成功者は、これらの過程を経てその立場にいます。

 成長したい、成功したい。しかしその覚悟があるのかという問いに、改めて身を引き締めざるをえないのです。

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